出版プロデュースという仕事
この数週間、出版プロデュースの仕事をたくさんこなしてきました。
出版プロデュースという仕事、ご存じでしょうか?
通常、PR会社では行わない業務ですが、私たちの会社では重要なPR戦術のひとつと位置づけて取り組んでいます。
では、出版プロデュースの仕事について少しご紹介しましょう。
簡単に説明すると、私たちの仕事にとって、出版プロデュースとはお客さまのPR目的を理解したうえで、それを広めるための手段のひとつとして書籍出版を行うことを指します。
通常の出版プロデュースというのは、第三者が著者という素材を活かして、いかに売れる本をつくるかということを指すと思います。しかし、私たちは必ずしも「売れる」ことを最終ゴールには置いておらず、目的はPR効果の極大化に置いています。
ここで言う書籍出版とは、「商業出版」のことを言い、自費出版は基本的に行いません。なぜなら、本を出す目的がPR効果を極大化することを狙っており、自費出版ではその効果が期待できないからです。そもそも自費出版では書店にほとんど置かれないケースも多々見受けられます。
ですから、社会に受け入れられるためにも、出版社がリスクをとって出版する「商業出版」にこだわっています。とはいえ、PR効果を狙うとはいっても、商業出版は書店で「売れる」本である必要があります。金額にもよりますが、やはり1万部以上売れる可能性のある本であることが通常求められます。
では、商業出版のコツとは何でしょう?
それは、お客さまの強みやPRポイントを理解したうえで、出版市場で受け入られるテーマを企画・設定することです。こう書くと簡単そうに聞こえますが、実際にそうではありません。
まず、プロとしては出版市場を深く理解していることが求められます。そのために、各棚ごとの売れ行き状況などを把握している必要があるほか、お客さまからもうまくネタを引き出す技術も大事になってくるのです。
また、提案する編集者を選ぶことも重要です。どのような分野や作り方が得意な編集者かによって、同じ企画でもまったく違った本づくりになります。私もいつもどの企画をどの編集者にお願いするかたいへん悩みます。それはプレスリリースでも同じことですが、ベストマッチングはなかなか難しいのです。
このように、編集者の知り合いをつくれば、すぐできるという仕事ではありません。
特に、アマチュアの方が理解できていないのは、出版マーケットの状況です。出版業界は前例を大事にする慣習があり、過去にどのような本が売れているかを把握できていないと説得力のある出版企画書はできません。
たとえば、ひとつ具体的な例を出しましょう。
私がはじめて書いたビジネス書「全部無料で宣伝してもらう、対マスコミPR術」ですが、広報の棚に配本されると売れないことは始めからある程度予想ができていました。なぜなら、それまで広報のカテゴリーでベストセラーになった本が皆無だったからです。
ですから、そのような場合、勝負するマーケットを変える必要があります。そこで、同じ時期にベストセラーが出ていた広告やマーケティングのカテゴリーの本にすることで、売れる可能性のある土俵で競争することができ、広報の本としてはベストセラーにすることに成功したのです。
もし本を出されたいのであれば、ご自身の書きたい、伝えたい思いはいったん置いておいて、それが本当に世の中に求められている内容なのかどうかを冷静に判断する必要があります。
難易度は高いですが、非常に知的で面白い仕事ですよ。
仕事の一端が伝われば幸いです。