社会現象化する映画『この世界の片隅に』から学ぶ、消費者の共感を呼ぶ方法

大ヒットを記録しているアニメ映画『この世界の片隅に』

社会現象化している映画

みなさま、『この世界の片隅に』という映画はご存知でしょうか?
2016年の秋に公開された同映画は、わずか全国63館(「君の名は」は300館規模の公開でした)という小規模公開にも関わらず、口コミが口コミを呼び、大ヒットを記録しているアニメ映画です。
戦時中の広島・呉を舞台にしながらも、同作品では戦争や原爆を主題に置いていません。あくまで普通の女性が日常生活を送りながらも、「戦争」という“出来事”に巻き込まれてしまう、愚直に生きる市井の人の姿を描いています。
この映画は多くの映画賞を席巻しているほか、新聞やビジネス系WEB媒体でのヒット分析記事、そしてNHK「クローズアップ現代+」にも取り上げられた、まさに社会現象化している映画なのです。

さて、映画のPRというと出演する役者たちがテレビ番組に出て宣伝をすることが一般的ですが、この映画に出演する役者(朝ドラ「あまちゃん」でお馴染みの「のん」さん)は、テレビに出演し宣伝する機会がほとんどありませんでした。そして宣伝費も限られていたため、テレビCMを大々的に打つことすらできなかったほどです。

テレビ出演による作品の認知度の向上が見込めず、テレビCMも打てない、いわゆる正攻法的なやり方が全くできなかったこの映画はどのようにしてヒットに至ったのでしょうか?

どのようにしてヒットに至ったのか

作品や演技の素晴らしさが評価されたことはもちろんなのですが、ここで特筆すべきは映画製作の過程が「ストーリー」として情報発信されたことにあります。

完成までに6年の歳月がかかったこの映画は、当初製作すら危うい資金難に喘いでいました。製作資金を出してくれる協賛企業や映画配給会社が見つからず、作ることすらできない状況だったそうです。そこで、クラウドファンディングで一般の人から支援を募り、集めたお金でパイロットフィルムを製作しました。そのパイロットフィルムを活用し各企業への協賛をお願いして回り、ようやく製作資金が集まったというわけです。

「見たい映画」から「応援したい映画」へ

ストーリーはお金集めだけではありません。
その瞬間その場所に生きていた人を描こうと、監督は現地考証や時代考証を重ね、昔あった理髪店や商店、実際に生きていた人々、天気や気温までを、当時そのままに描いてみせたのです。かつての町の様子を知る人たちからは「自分の親が映っている」、「そうそう、ここに手すりがあったのよ」と驚嘆する声もあったほどです。作品を完成させるまでの苦労と執念にも似たこだわりを持った製作ストーリーは、やがて「見たい映画」から「応援したい映画」へと変わっていったのです。

「宣伝」では決して伝わらない、「共感」がこの応援から生まれました。

「これ、いいよね」と思わせるためには『共感』させることが必要

これは商品やサービスをPRするときにも同様のことが言えます。商品やサービスの便利さ、素晴らしさを世の中に発信することはもちろん重要なことですが、口コミになって「これ、いいよね」と思わせるためには『共感』させることが必要なのです。

そのためには、PR商材の特徴や優位性などを一生懸命アピールするだけではなく、開発秘話や製作者の想いなどを盛り込み、販売までのストーリーも併せて発信してみてください。そうすることでその商材に懸けた想いが、メディアにも消費者にもきっと届くはずです。
もしストーリーの組み立てが難しければ、弊社にお問合せいただければと思います。