いろいろなものをブランディングしているSNS/ブログ

こんにちは。
最近、SNSやブログからの情報発信が
ますます盛んになっているのを感じます。
ラジオ番組での不適切な発言が問題となり、
連日メディアに取り上げられている、歌手の倖田來未さんの件は
象徴的です。


この話題、マスコミに先んじてSNSで議論が沸騰しました。
そして、マスコミで報道されると、
またSNSやブログで議論が沸騰する→報道になる…。
“人の噂も75日”という諺がありますが、SNS、ブログがある限り、
噂はなかなか消えなくなってきたように感じます。
こうしたSNSやブログの作用を利用して、
PRに反映させるインフルエンサーマーケティングも花盛り。
ブロガーが編集者となって
プレスリリースを自分自身のブログに掲載する、
「パブブログ」なるものも登場しています。
そうした中、ゴシップネタばかりでなく、
心温まるお話も、私はたくさん見つけました。
特に感動的なストーリーによって、機能的な付加価値を超え、
ブランド価値を高めている商品やサービスを数多く発見!

こういう発見から、やっぱりPRマンにとって、
いまやSNSやブログは無視できないな…と改めて感じています。
SNSやブログによって、期せずして「感動的なメッセージ」が
クローズアップされ、ムーブメントが起こった例を、ここにひとつ
ご紹介しましょう。
あの、『2ちゃんねる』発のコメントによって、
小さな鉄道が廃線を免れたお話です。
SNSやブログで話題になり、
いろいろな企業や個人が救われたお話。
その中から、「銚子電鉄」の物語をご紹介します。
千葉県の小さな町を走る「銚子電鉄」という鉄道があります。
資金の不足により、車両の検査さえ発注できないという
厳しい経営状況に陥っていました。
苦肉の策で、ぬれ煎餅を始めとする地元の名産品やグッズを売り出し、
収益の3分の2を鉄道ではなくそれらに頼る日々が続いていました。
そして、ついにどうにもこうにもいかなくなり、
銚子電鉄がホームページで発表したのが、
“敗北宣言”とも受け取れる以下の一文。
「電車運行維持のためぬれ煎餅を買ってください!!
電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」
すると、翌日の夜に『2ちゃんねる』に「銚子電鉄を救おう」
というメッセージが書き込まれました。それをきっかけに、
個人が運営するニュースサイトなどで次々と、
ぬれ煎餅に関する話題が掲載されていったのです。
そして、それまで日に10セットもなかったぬれ煎餅の注文が、
なんと2週間足らずで1万件を超えるに到りました。
それ以降も、銚子電鉄とぬれ煎餅の話題はSNSやブログで
盛り上がり続けました。
その流れはついに、マスメディアをも動かしました!
しかも一社や二社ではありません。
報道の内容も素敵でした。
テレビ露出の際には、困窮する電鉄会社の暗い話題ではなく、
お煎餅を焼く地元の「お母さんたち」の優しさや温かさが軸に
なった構成。
お煎餅のおいしさそのものが伝わってくるような、映像に
なっていました。
こうして、ぬれ煎餅の売上は飛躍的に伸び、銚子電鉄は危機を
回避したのです。
しかも、一連の報道で銚子電鉄に興味を抱いた出版社が、
電鉄自体を素材とした書籍を発売し、これまた大いに話題と
なりました。
お陰で、観光の一環として銚子鉄道に乗車する人も増え、
今でも列車は無事運行を続けているそうです。
銚子電鉄が断腸の思いで発表したメッセージが、
『2ちゃんねる』を経由して多くの人々の心を動かしました。
SNSやブログが銚子電鉄を救ったといっても、過言では
ないでしょう。
その結果として、大きな経済効果を生み出すほどのブランディングを
確立したと言えます。
不特定多数に発信された電鉄会社のホームページからのメッセージを、
たまたま見た人が、誰かに伝え、
ブログやSNSに乗って、また違う誰かが知ることになる。
銚子電鉄のような例は稀かもしれません。
ですが、SNSやブログで展開されるやりとりは、
もはや噂と言ってしまえるほど軽いものではなくなりつつあるように
感じています。
アカウントディレクターの宇佐美清さん(『USAMIのブランディング論』
TRANSWORLD JAPAN INC刊)は、
「ブランディング=好きになって買ってもらうこと」だと
おっしゃっています。
商品やサービスが溢れかえる昨今、機能的な差別化は難しい時代に
なっています。そうした中で、マーケッターが注目すべきは
機能的付加価値に加えて、情緒的な付加価値をどう表現するかだ
と思います。
つまり、多くの人に「好き」という感情を抱かせる
コミュニケーション戦略が求められています。
そして、そのコミュニケーション戦略が共感を得られた結果として、
SNSやブログを通じて、いろいろな人のメッセージが、
いろいろなコト、モノ、ヒトを、ブランディングしていくのです。
私もPRという、“伝えるという場所”にいる限り、
「好きになってもらう」メッセージをいろいろなところから拾い、
広く大きく伝えていきたいと思っています。

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