広報塾

「共有したい欲」の刺激が、話題創出の源

新年度、まだ着慣れないスーツに身を包む新入社員を見かけると
なんだかこちらまで、気が引き締まりますね。
私自身はまだまだ若者だと思っているものの…
ここ2、3年の新入社員と自分との間にある大きな違い。
それは、彼らは私に比べると圧倒的に「WEB」で多くの情報を受け取っており
その情報を「シェア」するという文化を
“当たり前”に持っているということです。
Twitter日本語版が公開されたのは、2008年4月。
Facebook日本語版が公開されたのは、2008年5月。
今年の新入社員は2008年当時、高校2年生でした。
つまり彼らは10代のころから、SNSやWEBメディアに触れてきた世代です。
そう考えると、なんだか急にジェネレーションギャップを感じてしまいますね。
「その動画、私もネットで見たー!」なんて会話
私が高校生の時は聞いたことなかったな…と。
そんなアラサーの私が
つい最近の「話題の動画」について、紹介したいと思います。
その動画は、岩手県盛岡市にある音楽教室のCMです。
このCMは岩手県でのみ放映されているもので
教室自体も、岩手県内にしか存在しません。
『TOSANDO music CM 披露宴編 full』


YouTubeにて公開されたのは3月6日。
それから1か月後の4月7日現在、
なんと再生回数は35万回を超えています。
(ちなみに盛岡市の人口は29万人…!)


タレントを起用したわけでもなく、大手企業でもない。
地方の小さな音楽教室が作ったCMが
なぜこんなに多くの人に見られているのでしょうか。
火が付いたのは、まさに「シェア」がきっかけでした。
私が最初にこの動画を見たのは、
Facebookで岩手県出身の友人が「シェア」していた時。
それは3月8日の出来事です。
その後「泣ける!」とじわじわネットユーザーの間で話題になったようで
(もちろん私も、号泣したわけですが)
WEBメディア『みんなの経済新聞』の岩手版、『盛岡経済新聞』にて
「盛岡の音楽教室CMが泣けると話題に」と取り上げられたのが3月28日。
その記事がyahooニュースに転載されたことで爆発的に広がり
3月28日時点では6000回程度だった再生回数が
それからわずか10日間で、35万回にまで達しました。
動画のURLを含んだツイートだけを数えても
3月28日以降の約10日間で、ざっと650件ほど。
著名な経営者などが「涙腺崩壊」「泣いた…」などと呟いたことも影響し
一気に情報が拡散しました。
衝撃映像や人気アーティストのPVなどが話題になることはありますが
一企業、しかも地方企業のCMがこれだけ話題になるのは、非常に珍しいこと。
素晴らしい成功事例と言えるのではないでしょうか。
WEBメディアの普及により
いつでも、どこでも、好きな情報を選んで触れることが可能になりました。
さらに「シェア」という行動が世の中に浸透したことで
1人1人が考えたこと、感じたことを発信し、共有できるようになりました。
この変化は確実に、
消費者の情報に対する目を「肥えさせて」いると私は思っています。
良いものは良い、と自分の考えをシェアできるようになった今
どんなに莫大な費用をかけても、著名なタレントを起用しても
消費者の「共有したい欲」を刺激できなければ
話題にならないのかもしれません。
しかしそれは逆に、
「人の心を動かすコンテンツを作ることが出来れば、話題になる」
とも言えるのではないでしょうか。
そんな可能性を感じた、事例でした。