「アンダーヘア脱毛」というと、男性に見られることを意識した若い女性の中の流行という印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

しかし今、さまざまなメディアで話題になっている『介護脱毛』や『ハイジ男子』をはじめ、最近では『妊活脱毛』が増えてきています。中高年や男性、そして妊娠を希望する女性など、これまでと異なる新たな層が医療機関やエステサロンで「アンダーヘアの脱毛」をしているといいます。

なぜいま幅広い層にアンダーヘア脱毛が広がっているのでしょうか?
またそれぞれの脱毛する目的は何なのでしょうか。
脱毛業界の最新事情について調べてみました。

1、中高年の希望者が急増中「介護脱毛」

中年の夫婦
最近メディアでよく取り上げられている「介護脱毛」とはどのようなものなのでしょうか。中高年がアンダーヘア脱毛に駆け込む背景に迫りました。

2、介護脱毛とは

皆さんは『介護脱毛』という言葉を聞くと「入浴やトイレなど介護が必要になったご老人が介護の手間を少なくするために脱毛をする…」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

実は将来自分が介護を受ける時に備え、事前にアンダーヘアやワキの永久脱毛を済ませる中高年女性が増えているそうなんです。

3、「介護脱毛」が増えている背景は?

大地まさ代院長今なぜ中高年層の利用者が増えているのでしょうか?

リゼクリニック東京新宿院の大地まさ代院長にお話を伺いました。
「実際に親の介護を体験した方が、おむつ交換の時などに手間がかかった経験があり、自分が介護を受ける時には迷惑をかけたくない、と思っている方が多いようです。またお嫁さんや若い介護士の方に汚いと思われたくないと考える方も少なくありません。近年、脱毛が身近になったことや子育てが終わり、自分にお金をかけられるようになったことも中高年の利用者が増えている理由に挙げられると思います」

数年前は40歳以上のアンダーヘア脱毛というと美意識の高い人がやっている、というイメージでしたが、最近は自分が介護をされる時は人様に迷惑をかけたくないという日本人特有の思いやりの気持ちが新たなアンダーヘア脱毛のニーズ、「介護脱毛」の急増につながっているようですね。

4、「介護脱毛」の具体的なメリット

では実際に「介護脱毛」をしておくとどのようなメリットがあるのでしょうか。

そこには医学的な理由がありました。デリケートゾーンは、拭き取ったつもりでも、毛や皮膚の間に排泄物が残りやすい部位で、炎症や感染症を引き起こすこともあります。高齢で介護を必要とする状態の方は免疫力が低下している場合も多く、またオムツなどでは菌の増殖が増え、より感染症のリスクは高くなります。

そのため、トイレでの排泄介助や、オムツの交換の際に、介護者はより丁寧に清拭をする必要があります。脱毛により、感染症や皮膚トラブルのリスクが軽減され、オムツ交換の際の臭いが軽減されたり、清拭が楽になり、介護される人、介護する人、双方にメリットがあります。

介護中

5、脱毛クリニックでは中高年の利用者が15.06倍に

脱毛クリニックでは中高年の利用者が15.06倍に
脱毛専門院の『リゼクリニック』では2010年の開院時と比べ、45歳以上の男女の利用者が8年間で15.06倍に伸びており、中高年層の脱毛需要が年々高まっていることがわかっています。

6、脱毛できるのは毛が黒いうちだけ

永久脱毛の施術に使用されるレーザーは毛母細胞の黒い色素に反応するため、白い毛には反応せず毛が残ってしまいます。そのため脱毛は白髪になる前に受けておくのが良いそうです。

7、男性も脱毛が当たり前の時代に!

サラリーマン
さて、続いては男性の脱毛です。脱毛をしている男性、というとごく限られた方がしていると思われる方も多いかもしれません。最近の男性の脱毛事情はどうなっているのか探りました。

8、最近よく聞く「ハイジ男子」って?

「ハイジ男子」とは、アンダーヘアを脱毛している男性のこと。
ハイジは「ハイジニーナ脱毛」の略でハイジニーナというのは、元々は「衛生・清潔」などを意味する英単語【hygiene(ハイジーン)】に由来し、ビキニライン、男性器周辺、肛門周辺を合わせて脱毛することを指します。

9、価値観の多様化が影響している?

ハイジ男子ブームの背景のひとつには、価値観が多様化したことにあるそうです。
近年「LGBT」や「ジェンダーレス男子」「美容男子」といったワードがよく聞かれるようになり、それまで一部の人に限られている印象だった「男性のアンダーヘア脱毛」が受け入れられやすい世の中になっているのかもしれません。

10、SNSの発展

SNSを見る
SNSが発展したことも男性のアンダーヘア脱毛が増えた一因にあるといいます。海外で活躍する日本の著名人がアンダーヘア脱毛をしたことなどの情報が手軽に入手できるようになったことや自撮りが人に見られる機会が増え、見た目を意識する男性が増えたと考えられます

11、脱毛クリニックでは男性の利用者が約17倍に

男性の脱毛院『メンズリゼ』では2013年時と比べ、男性の利用者が5年間で約17倍に伸びており、脱毛需要が年々高まっていることがわかっています。

脱毛クリニックでは男性の利用者が約17倍に

12、20~40代男性の約7割が「アンダーヘア」をケアしている

また、前出の『メンズリゼ』(新宿区)が都内20~40代の男女331名を対象にアンケートをとったところ、男性の約7割がアンダーヘアをケアしていることがわかったそうです。
これは驚きの数字ですね。また、未ケアの男性も、3人に1人が「将来的にはケアしたい」と回答しています。
解答

13、最近「妊活脱毛」がじわじわきている

妊婦
皆さん、「妊活脱毛」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。妊娠のための活動と脱毛、いったい何の関係があるのでしょうか。

14、「妊活脱毛」とは?

「妊活脱毛」とは、将来妊娠・出産を希望する女性が妊娠する前に事前にアンダーヘアの脱毛をしておくことをそう呼びます。妊娠してしまうと母体に負担がかかる可能性や脱毛効果がきちんと得られない可能性があるため専門機関では脱毛できないのだそうです。そのため妊娠する前に予め脱毛をしておくのですね。

15、妊娠前にアンダーヘアを脱毛する意外なワケ①

妊娠前に脱毛

妊娠前にアンダーヘアを脱毛しておくとどのようなメリットがあるのでしょうか。そこには医学的な利点があるようです。
皆さんは「悪露(おろ)」という言葉を聞いたことがありますか?出産をすると、子宮が非妊娠時の状態に戻ろうと、出産時に剥がれ落ちた胎盤や子宮内膜が混じった分泌物や血液を排出します。これを「悪露(おろ)」と言って、個人差はありますが、生理のような出血が1か月くらい続きます。

悪露は長期間続くことに加え、臭いも強いため、こまめにナプキンを変える必要がありますが、産後は赤ちゃんのお世話に忙しく、自身のケアが疎かになってしまいがちです。清潔にしていないと、菌の繁殖による感染症や臭いがきつくなるなどの症状が起こることがあり、これらを防ぐため、アンダーヘアの脱毛をしておくことが有効なのだそうです。

16、妊娠前にアンダーヘアを脱毛する意外なワケ②

悪露の他にも出産後の身体には大変なことがあります。出産時、赤ちゃんの頭が大きいことや会陰部(肛門と膣口の間)が伸びないことが原因で会陰部が切れてしまうことがあり、これを会陰裂傷といい、これを防ぐために予め会陰部を切開しておくことを会陰切開といいます。

出産後に縫合し、溶ける糸を使用しなった場合はのちに抜糸をしますが、この時に出来た傷は1か月ほど続くと言われています。アンダーヘアがないと、傷口の消毒などのお手入れがしやすくなるのですね。

17、「恥ずかしさ」の軽減も

医学的なメリット、ではありませんが、アンダーヘア脱毛をすると恥ずかしさを軽減できるという側面もあります。妊娠をすると、何度も病院へ検診に行かなければなりません。

その度に足を開く必要があります。また分娩時は長時間足を開いた姿勢のままでいなければならないこともあり、その場をたくさんの人が行き来するのは相手が医療従事者とは言え女性にとって恥ずかしいものですよね。
事前にキレイに脱毛しておけばそのような余計な心配をする必要もありません。

18、出産希望の女性は2人に1人が「妊活脱毛」を希望

脱毛専門院『リゼクリニック』が20~40代の女性568名に行った調査によると、出産希望の女性の2人に1人(56.1%)が「妊活脱毛」は必要だと答えています。

「妊活脱毛」を希望

妊娠前に脱毛しておけば、産後赤ちゃんのお世話に忙しくてもずっとデリケートゾーンを清潔に保てるので良いことづくめかもしれませんね。

今回は「介護脱毛」「ハイジ男子」「妊活脱毛」と3つの最新アンダーヘア脱毛事情をご紹介しました。脱毛する理由は様々ですが、脱毛が性別や年齢を越え幅広い層に広がり、より身近なものになってきていることは確かなようです。

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