オリンピックでは、メダルの数以上に人々の記憶に残る「物語」があります。今回、多くの共感を集めた存在の一つが、フィギュアスケートのペア「りくりゅう」(三浦璃来選手・木原龍一選手)でしょう。
また、日本のスポーツ史を振り返ると、同じように人々の心を動かした出来事があります。1998年の長野オリンピック、スキージャンプ団体の金メダルもそうでした。
これらに共通しているのは、単なる勝敗ではなく「共感を生むストーリー」です。本記事では、オリンピックの象徴的な事例を手がかりに、人が応援したくなる物語の構造と、広報・PRに通じる“共感力”について考えてみたいと思います。
この記事の目次
なぜ「りくりゅう」は多くの人に応援されたのか
フィギュアスケートのペア競技は、個人競技とは異なり、二人の信頼関係が大きな意味を持つ種目です。りくりゅうの魅力は、その高い技術力だけでなく、二人が歩んできた過程や関係性にもあります。
世界のトップを目指す中で、怪我やコンディションの問題など、決して順風満帆とは言えない時期もありました。そして、ショートプログラムでのリフトのミスは、挽回不可能かと思われるほど大きな痛手ともなりました。それでも決意を新たに、互いを支えながら果敢に挑戦した姿は、多くのファンの共感を呼びました。
また、インタビューなどで見せる互いへのリスペクトや感謝の言葉からは、二人の人柄が自然と伝わってきます。競技結果だけではなく、「この二人を応援したい」と感じさせる背景が、ファンとの強い関係性を生み出しているのです。
こうした歩みを振り返ると、りくりゅうのストーリーには、困難を乗り越える過程や二人の信頼関係、そして世界への挑戦といった要素が重なっています。人々が共感したのは、単なる結果ではなく、「人の物語」だったと言えるでしょう。
共感ストーリーは昔から人を動かしてきた―長野オリンピック・ジャンプ団体のドラマ
今回のりくりゅう以外でも、多くの人の記憶に残る出来事の一つとして挙げられるのは、1998年の長野オリンピックのスキージャンプ団体ではないでしょうか。
この物語を語る上で欠かせないのが、原田選手の存在でしょう。1994年のリレハンメルオリンピックで、日本は金メダル目前でした。しかし、原田選手のジャンプが思うように伸びず、日本は銀メダルに終わります。その悔しさは、多くの人の記憶に刻まれました。
それから4年後の長野オリンピック。日本チームは再び団体戦で世界の頂点を目指します。大きな期待とプレッシャーの中で戦う選手たちの姿は、まさに国民的なドラマでした。
最終ジャンパーの船木選手が大ジャンプを決めた瞬間、「ふなきぃー!」という声とともに、日本中が歓喜に包まれました。
この出来事が特別だったのは、単なる金メダルではなく、過去の悔しさや仲間との挑戦、そして再びつかんだ成功という物語があったからです。
人は、完璧な成功よりも「失敗や困難を乗り越える物語」に強く心を動かされるのです。
なぜ人は「共感ストーリー」に心を動かされるのか
りくりゅうの物語と長野オリンピックのジャンプ団体。この二つの出来事には、共通する構造があります。それが「共感ストーリー」です。
多くの人の心を動かす物語には、挑戦や困難、努力、仲間との関係、そして成長といった要素が見られます。こうした要素が組み合わさることで、単なる出来事が「物語」として共有され、人々の記憶に残りやすくなります。
人は数字や情報よりも、感情を伴うストーリーの方を記憶しやすいと言われています。オリンピックが世界中の人々を魅了する理由の一つも、こうした物語が数多く生まれる舞台だからでしょう。
広報・PRにも通じる「共感ストーリー」
共感ストーリーの力は、スポーツの世界だけに限ったものではありません。広報・PRの現場でも、同じような構造を見ることがあります。
私自身、PRの現場でメディアと接する中で感じるのは、「人のストーリーが見える情報」の方が記者の関心を引きやすいという点です。製品やサービスの特徴を詳しく伝えるよりも、「なぜこの取り組みが始まったのか」「どんな困難を乗り越えてきたのか」といった背景が伝わると、同じ内容でも記事化の可能性が高まるケースがあります。
実際に、ある記者から「商品スペックが詳しく書かれたリリースよりも、“なぜその会社がそれをやろうと思ったのか”という背景が見えると、記事として書きやすい」という話を聞いたことがあります。情報の新しさだけでなく、そこにどんな人の思いや挑戦があるのかが見えることで、ニュースとしての価値が生まれるというわけです。
実際の例として、ある飲料メーカーの新商品をPRした際に、当初は今までにない機能的な説明が中心の情報提供でしたが、思ったほど、記事化には至りませんでした。そこで、開発のきっかけとなった現場の課題や、開発担当者が試行錯誤した過程を整理し、さらにその人物プロフィールなども添えて伝え直したところ、記者の関心が高まり、開発秘話も含め質の高い魅力的な内容で記事化されたことがあります。
企業の取り組みを伝える際にも、挑戦の理由や困難を乗り越える過程、そしてそこに関わる人の思いが見えることで、情報は単なるニュースではなく「応援したくなるストーリー」として受け止められます。こうした視点を意識することが、広報・PRのメッセージをより多くの人に届けるための鍵になるのではないでしょうか。
オリンピックで人々の記憶に残るのは、単なる勝敗ではなく「共感できる物語」です。
りくりゅうや長野オリンピックのジャンプ団体が示すように、人は挑戦や努力のストーリーに心を動かされます。
広報・PRにおいても、共感を生むストーリーの設計が重要になることは間違いありません。
【ニックネーム】カープマニア
【これまで担当した業界】IT、自動車、食品メーカー、飲料メーカー、自治体、
医療、家電メーカー、レジャー施設、金融、教育、他多数
【趣味】高校野球、広島カープ、川崎フロンターレ、ハワイ
【プチ自慢】両利き。お箸も野球もサッカーも、手足を左右同レベルで扱えます
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