【最新版】「広報」って何?広報学会の定義から考えてみた

普段、弊社には広報・PRに関する様々な相談を寄せられています。

・こういう商品があって、世の中に広めたい。
・こんな人物がいるがメディアに出したい。
・もっと自分たちの会社を有名にしたい。
・メディアに出て採用力を上げたい

などなど、いずれも良く聞くお悩みや課題だと思います。

もちろん手法として上記のような悩みや課題を解決するための方法はあると思いますが、一度立ち止まって、「何故広報に取り組みたいのか?」ということについて考えたことはあるでしょうか。

私自身この業界に入るまでは≪PR=Public Relations≫ではなく、プロモーションの略だと思っていたように、広報やPRってそもそも何なのかというのは中々分かりにくいようです。

今年6月に、日本広報学会が広報の定義を1995年の発足以来、初めて更新しました。
「広報」の最新定義を年次総会で発表 | 日本広報学会

組織や個人が、目標達成や課題解決のために、多様なステークホルダーと双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である

今回はこの定義を元に「広報とは何か」「何故広報活動をするのか」について考えてみたいと思います。

活動の主体は誰なのか

まずはじめに、広報活動を行うのは「組織や個人が」になります。
組織なので株式会社に限らず、大小さまざまな組織が行ってよさそうです。
また、インターネットが生まれる前までは広報の主体のほとんどは組織でしたが、SNSなどの出現により、個人での発信が可能になったため「個人」も含まれるようになりました。

Q1:皆さんは「組織」あるいは「個人」のどちらとして広報に取り組みますか。

広報活動の先のゴールを決める

次に、「目標達成や課題解決のために」とあります。
広報活動はあくまでも手段ということですね。
冒頭に述べた自分たちは何に困っているのか、何を達成したいと考えているのかをまずは言語化しましょう。

Q2:広報活動を通じて「達成したい目標」や「解決したい課題」は何でしょうか。

「誰と」コミュニケーションをとるのか

次に「多様なステークホルダー」とあります。
ステークホルダーの意味を辞書で調べると、あらゆる組織の利害関係者を指し、株主などの投資家だけでなく、従業員、顧客、取引先、金融機関、債権者、地域社会、自治体、政府などがステークホルダーに含まれると考えられているようです。
「広報とは広く報じることである」という表現があります。目標や課題が明らかになったら、そのために次は誰に向けて情報発信するのかを考えてみましょう。

Q3:「組織」「個人」として誰とコミュニケーションをとりますか。

どのようにコミュニケーションをとるのか

そして、その相手と「双方向コミュニケーション」を取るとのことですが、具体的にはどんな方法があるでしょうか。
例えば、ホームページやオウンドメディアでの発信、SNS、広告、メディアでのパブリシティなどが考えられるでしょうか。PESOモデルなどを取り入れて、どんな情報発信をするか考えるのも良いかもしれません。
それだけでなく、「双方向」なのですから顧客からのクレーム、口コミ、不祥事が起こった際の記者会見、出資関係者への説明など、双方向なのでこちらが情報を受け取ることもあるというのは無視できないでしょう。

Q4:コミュニケーションを取る手段として何を使いますか。

社会的に望ましい関係を構築・維持する

「社会的に望ましい」というのは非常に抽象度が高いのですが、逆説的に「これは社会的に望ましくない関係だろうか」と考えてみてはいかがでしょうか。
特に近年、SDGsなど世の中にとって良い企業であるかどうかということを求められるシーンが増えているように思います。100年前、1923年の社会と2023年の現代社会では「社会的に望ましい」の意味合いも変わることでしょう。それぞれのタイミングで「社会的に望ましいかどうか」を考えることがまずは重要なのかもしれません。

Q5:ステークホルダーとの関係は社会的に望ましい(あるいは望ましくない)でしょうか。

経営機能である

最後に、広報=経営機能とのことです。
経営機能が分かりにくいので、広報学会のホームページから説明を引用すると、

広報を経営機能の一つとして位置づける。
経営機能とは、継続的・計画的に事業を遂行するために必要な役割であり、企業経営においては、人事機能、マーケティング機能、販売機能、財務機能などと並ぶのが広報機能である。

となっています。

これは経験則も含まれますが、冒頭に述べたような課題が目の前にあり、またそれの緊急性が高ければ高いほど、マーケティングの一手法として広報を捉える可能性は高いように思います。
目の前の課題を解決することも大事かもしれませんが、この機会に広報活動をマーケティングや人事機能、財務機能などと並ぶ、大きな役割を担う経営機能であるととらえ直してみてはいかがでしょうか。

Q6:あなたの取り組む広報は「経営機能」ですか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
正直、こんなことをいくら考えたところで、メディアに載るわけではありません。
さらに言えば、広報・PRは様々な定義がされているので、今回の広報学会の定義がすべてではありません。
しかし、この土台があるからこそ「私たちは何者なのか」「その私たちから発信される情報を何故メディアが取り上げる必要があるのか」など、広報活動の意義が明確になり、1本筋の通った活動ができるように思います。

今回の記事が、広報活動を見直す考えるきっかけになれば幸いです。

株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】しいたけ君
【これまで担当した業界】食品、健康アプリ、美容など
【趣味】庭いじり、料理、旅行、占い
【プチ自慢】立ったまま寝れること