ユーザー参加型ブランディングの成功モデルとは?

こんにちは。
梅雨のうっとおしい季節ですが、元気にがんばりましょう!
さて、突然ですがみなさんは、最近話題の「まんとくん」をご存知ですか?
「せんとくん」に対抗して選ばれたキャラクターです。


「せんとくん」は、平城遷都1300年祭記念事業協会が選んだ公式キャラクターです。
http://www.1300.jp/
ところが、「気持ち悪い」「角をつけるのは仏を冒涜している」といった批判の声が高まりました。
そこで、奈良在住のクリエーターで構成する「クリエイターズ会議大和」が、代替キャラクターを自主的に募集。Webや奈良市内でも投票を呼びかけました。
http://image.itmedia.co.jp/l/im/news/articles/0805/19/l_yuo_netlab_01.jpg
その結果、6月2日に発表されたのが「まんとくん」です。
http://creators-yamato.net/mascot.html
これは、平城遷都1300年祭記念事業協会にとっては想定外の出来事だったことでしょう。
それにしても、この報道によって「平城遷都1300年祭」の認知度が高まったことは間違いありません。
この出来事を、「キモカワイイ」VS「ゆるキャラ」の構図で取り上げた報道もいくつかありました。
従来はキャラクターのほとんどが「ゆるキャラ」だったのに対し、最近は「キモカワイイ」キャラクターも人気だからです。
「ゆるキャラ」とは「ゆるいキャラクター」の略で、全国各地で開催される地方自治体主催のイベントや村おこし、名産品などをPRするために作られたキャラクターのことです。「まんとくん」はこれに該当すると思います。
「キモカワイイ」キャラクターは、最近人気が高まっている、「気持ち悪いけどかわいい」キャラクターのことです。「せんとくん」はこれに該当すると思います。
「キモカワイイ」で最近人気となっているもう一つのキャラクターは、中日ドラゴンズのマスコットキャラクター「ドアラ」です。著書『ドアラのひみつ かくさしゃかいにまけないよ』は、12万部を超える大ヒットになっています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569698239
今、「ゆるキャラ」「キモカワイイ」とは異なる、新たな要素がキャラクターの世界で重要になっています。
それは、Web2.0時代の中で話題となるために、「ユーザー参加型」の要素を備えることです。
ユーザー参加型のキャラクターと言うと、「初音ミク」を思い浮かべた方も多いかもしれません。
「初音ミク」についてはここではあまり触れませんが、「初音ミク」を使った動画を作った人が、
動画をYoutubeやニコニコ動画などに掲載することで、ユーザー参加型のキャラクターとして一躍有名になりました。
このたび、私がご紹介したいのは、多数の企業や有名人とコラボレーションを実現してブランディングに成功しているキャラクターフィギュア、BE@BRICK(ベアブリック)です。
http://www.bearbrick.com/index3.html
BE@RBRICK(ベアブリック)は、約7cmのクマ型フィギュアです。
株式会社メディコム・トイが、2001年4月テディベア生誕100周年の年に、「デジタルなイメージのテディベアを作る」というコンセプトで生み出しました。
今までに、次のような企業や人、イベントなどによってBE@BRICKがプロデュースされました。
◎企業:ヴァージンシネマズ、HMV、伊勢丹
◎アーティスト:藤井フミヤ、嵐
◎Jリーグ:浦和レッズ、アルビレックス新潟
◎映画:「キルビル」「ゴジラVSメカゴジラ」
◎アパレル:リーバイスがデザインコンテストを開催
他にも、様々な店舗やイベントで限定品がプレゼント提供されています。
その結果、BE@BRICKは今までに2000万個が販売され、年商30億円の売上となっているそうです。
なぜここまで人気が高まったのでしょうか。
その要因を次の3点に見出すことができます。
1.男女問わず受け入れられる視覚的デザイン
つるんとした丸みがかわいらしく、シンプルなので男性にも違和感がありません。
2.キャラクター自体のブランドデザイン
有名企業や有名アーティストとのコラボレーションをしたことにより、ブランドを構築してきました。だからといって、特定の企業の色に染まることなく、BE@BRICKとしてのブランドを保っています。

BE@BRICKから感じるブランドイメージとしては、多様性を「かわいさ」をもって受け入れ、やさしくて、楽しい、そんな情緒を感じます。この情緒イメージの芯がブレていないのだと思います。
3.ユーザーが使って自己表現できる参加のデザイン
BE@BRICKのデザインコンセプトには、「本体を構成する基本となる9つのパーツ以外には何も付け加えず、プリントという技法だけで展開する」というものがあります。このコンセプトが、コラボレーションを生み出す上で大変有効でした。
ユーザー参加型のデザインコンテストも行われています。
◎「BE@RBRICK 若手クリエーターデザインコンペ」
http://www.dclabo.net/dcl_creator/competition_detail.php?com_id=204   こちらは18歳~29歳の方を対象にしたコンペです。
(締め切りは2008年6月30日10時。今ならまだ間に合います!)
コラボレーションやユーザー参加によって、無数のデザインを生み出していく。
それがまたBE@BRICKのブランド価値を高めることに繋がる。
このサイクルを生み出したことが、成功の秘訣だったと思います。
私は、今までに見てきたたようなBE@BRICKの成功事例が、Web2.0時代に話題となるブランドを構築する上で、一つの成功モデルを示しているように思います。
BE@BRICKのように、『“他人が参加したくなるフレーム”をデザインする』ことは、Web2.0時代のブランディングにも有効な手段だと思います。

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