テレビ番組を制作する上で大きな指標となる“視聴率”。情報番組・報道番組・バラエティ番組などのジャンルに関わらず、番組制作に関わるスタッフは皆この視聴率を意識して番組構成や企画を考え、少しでも高い視聴率を獲るために知恵を絞っています。
そんな視聴率の調査方法が変わり、新たな指標となる「個人視聴率」ができたのをご存知でしょうか?実はこの「個人視聴率」の導入によって、いま番組制作の方向性が変わってきています。
そこで今回は、「個人視聴率とは何なのか」、そして「番組にどんな変化が起きているのか」についてご紹介したいと思います。
1.「個人視聴率」とは?
まずはじめに、これまで指標となっていた視聴率は「世帯視聴率」といい、一定の地域内でどれだけの「世帯」がその番組を見ていたかを表したものになります。
一方、新たに導入された「個人視聴率」はどれだけの「人数」が見ていたかを示したものになります。
例えば、ある番組を100世帯のうち20世帯が見ていれば「世帯視聴率」は20%になりますが、20世帯の中で何人が見ているかによって「個人視聴率」は変化します。この「個人視聴率」が今春から全国で導入されたことによって、全国でどれくらいの人が番組を視聴しているかを推計できるようになり、性別や年齢、職業といった視聴者の属性も分かるようになりました。そのため今では多くのテレビ局が世帯視聴率より「個人視聴率」を重視するようになっています。
2.番組制作に与えた変化
これまでテレビ番組は「世帯視聴率」を指標としていたため、老若男女問わず全ての年代の人が興味を持つような番組づくりではなく、家にいる時間が長くテレビを見る機会が多いシニア層を意識した番組づくりというのが鉄則になっていました。ですが「個人視聴率」の場合は一部の層を取り込むだけではく、若者からシニア層まで多くの人に視聴してもらわなければ視聴率が上がりません。
そのため、日本テレビやフジテレビでは13~49歳、TBSでは13~59歳をメインターゲットとし、「コアターゲット」や「ファミリーコア」等と名付け、この層に向けた番組づくりを意識するようになりました。中でも特にテレビ離れが進んでいるとされている10代や20代の「若者」にいかに見てもらうかに力を入れる番組が増えています。
番組のメインターゲットを若者に移すこの動きが特に顕著に表れているのがゴールデンタイムのバラエティ番組における「脱・情報」化です。これまでこの時間帯にはシニア層を意識した健康番組や生活の知恵などを紹介する雑学バラエティ番組が多くありました。
今年の春をもってTBS系「名医のTHE太鼓判」、テレビ朝日系「名医とつながる!たけしの家庭の医学」の2つの健康番組が終了。代わりに人気お笑い芸人などを起用したバラエティ色の強い番組がスタートしました。これは、これまでの「健康情報や雑学などシニア層にとって有意義な情報を紹介する」という方向性から「難しいことは考えずに気楽に見られる若者向け番組」への変化に他なりません。
このような変化は今年の夏から秋にかけて、雑学バラエティ番組でも起きています。
●日本テレビ系「世界一受けたい授業」
●TBS系「この差って何ですか?」
●テレビ朝日系「林修の今でしょ!講座」
3.まとめ
「個人視聴率」の導入によって一時期ブームと言われていた健康番組が減少するなど、いま番組制作のベクトルが大きく変わりつつあります。
この状況の中で効果的なPR活動を続けていくためには番組のリサーチを怠らず、いま番組が何を求めているのか、どんなネタが取り上げられやすいのかを把握しておく必要があります。
【これまで担当した業界】 食品・医療・美容・自治体関連・出版社
【趣味】・夜の散歩・温泉めぐり
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