メディアに自社の人物やサービスが掲載された時、社内で多くの人に共有したい!と思う方もいるかもしれません。しかし、共有をする前に一旦立ち止まって確認や許諾申請をする必要があることを忘れないでください。掲載された記事は、その媒体の著作物になるので、無断で新聞記事をコピーして社内でシェアしたり、営業活動などに使ったり、イントラネットにアップしたりすることは、著作権の侵害になってしまいます。
過去には、掲載した新聞記事を媒体社に無断で社内イントラネットに共有したことが明るみとなり、何千万円もの損害賠償を求めて提訴された事例が実際にいくつも存在します。著作権法には、私的利用であれば、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用出来る旨が規定されていますが、会社で扱うものはたとえ社内向けの情報共有であったり、少人数の内での共有であっても、私的利用には当てはまらないと考えた方が賢明です。
では、どうすれば、著作権を侵害せずに記事の二次利用が出来るようになるのでしょうか。
以下に3つの方法を述べます。
①媒体社に許諾料を支払う。
社内で共有する記事などは、個別に媒体の著作権を扱う部署に連絡し、記事利用の許諾料を支払うことで、初めて利用することが出来ます。
許諾料は、紙で2次利用をするのか、ネットで2次利用をするのかで、料金が異なる場合があるので、都度確認を取る必要があります。ただ、雑誌等の定期刊行物や書籍、新聞紙の複製に関する権利を扱う、公益社団法人日本複製権センターによると、同法人と契約をしている企業や団体であれば、以下の金額を支払うことで、2次利用を行うことが出来ます。
・記事の2次利用に関する年間使用料(紙でのコピーのみ)=全従業員数×80円
・記事の2次利用に関する年間使用料(紙でのコピーとネットでの使用)=全従業員数×200円参考元:新聞著作権協議会 URL:https://www.ccnp.jp/product.html
②記事を複製せずに回覧する。
元々の掲載記事自体を複製せずに回覧する分には著作権の問題は発生しません。
なので、ある程度の規模感の企業で、社内共有をしたい場合、回し読みをすることも実は著作権侵害を回避する方法になります。
③リンクの共有を行う。
Web上に掲載されている記事のURLを共有することは著作権の侵害になりません。
インターネット上の記事のURLをメールやSNS等でシェアすることで、著作権に抵触せずに記事の2次利用をすることが出来ます。
ただし、URLリンクを出した時の条件を指定している媒体もあるのでご注意ください。例えば、リンク先の媒体の説明の記載や、営利目的禁止等のガイドラインを指定している媒体もあるので、1つ1つ確認をする必要があります。
まとめ
PRパーソンとして、これらのルールはきちんと把握しておく必要があります。ルールの中でより効果的なPR活動を進めることで、メディアは勿論のこと、その他社員や一般の方々にも信頼感を醸成することにつながります。
また、許諾料を媒体に支払ったからといって、永久に自由に2次利用が出来るわけではなく、期限や2次利用が出来る範囲などが細かく定められていますので、2次利用については、事細かに確認を取りながら進めることが肝要です。
細かい規定や、曖昧に感じてしまいやすいルールがあるのも事実かとは思いますが、1つ1つの曖昧な点を確実なものにするということもPRパーソンがやるべき仕事です。「なんとなく大丈夫だろう」という気持ちで著作権侵害行為をしてしまうと、思わぬ場所、思わぬタイミングで指摘を受け、信頼やブランドを失墜させてしまうことにも繋がりかねません。
たとえ、仮に会社の慣行としてこれまで問題なく社内共有等が出来てしまっていたとしても、その行為が著作権侵害をしている可能性はないのか、改めて確認を取る必要があります。著作権や、記事の2次利用についての詳細は媒体に確認をするか、新聞著作権協議会などの著作権を定める団体のWebページ閲覧、自社の法務部などに確認してみることをおすすめします。
【これまで担当した業界】スポーツ、学校、
【趣味】おでかけ、音楽鑑賞、ピアノ、ジェットスキー
【プチ自慢】イントロを聴くだけで全ての国の国歌を当てられる。世界のトイレ事情、下水事情を知っている。