こんにちは。先日、私が担当している、中小・中堅企業への経営全般に関する支援をしているクライアント(経営コンサルティング業)から、以下のような相談がありました。
「数多くの競合他社が存在する中、見込み客(企業経営者)からの受注確度を向上するには、どうすれば良いのか」
おそらく、広報・PR業務の担当者であれば、企業経営者向けのビジネス・経済系媒体での露出活動の強化や、広告出稿量の増強などを提案するかと思います。実際に、私も当初そのような提案をクライアントにしました。
しかし、ビジネス誌「日経トップリーダー」が中小企業の経営者を対象に実施したアンケートを見て、その提案を再考することになったのです。
そのアンケートによると、中小企業経営者が、「経営で悩んだ時に相談する先」として、クライアントの業種(経営コンサル業)を、選んでいる割合は「約8%」とのことでした。もちろん、財務・法務・事業戦略など経営には様々な分野があるため、分野ごとの経営コンサルティング業への相談割合を調査すれば、それぞれ異なった数字が出ると考えられます。
ただ、この業種は経営全般に関する高い知識を売りにしており、また経営者を顧客としているため、経営者の相談先としては妥当とも言えます。
そんな中での、この相談割合(8%)には驚きました。
この事実から導き出される仮説としては、経営者が、クライアントの業種の広告・メディア露出媒体を見た場合、その業種への相談割合が「8%」のため、単純計算で、12回に1回の割合で、相談(問い合わせ)が来るということです。さらに、同業他社がいる中、その「1回」で、クライアントが指名されなければなりません。
私見ですと、なかなか「キビシイ」のではないかと思います。
(もちろん、露出内容など様々な要素があるため、一概には言えませんが)
では逆に、相談割合が最も多い、属性・業種は何なのでしょうか。前出のアンケートによると、相談先として、「家族・友人」が「約80%」との結果がありました。
考えてみると、中小・零細企業(特に地方)では、家族(兄弟・親戚)ぐるみで経営に関する相談をしていたり、馴染みの友人と、ビジネスでの強い協力関係を築いていたりする企業が多数存在しているはずです。
また、「家族・友人」と言っても、普段は法人として様々な業界で仕事をしているはずなので、経営者が、「法人」としての彼らの知恵を当てにして、財務・法務・人事を始めとする、経営相談をしていることが考えられます。
そこで、私はクライアントに対して、経営者の周りにいる、「(法人としての)家族・友人」へのPR活動(メディア露出・セミナー講師など)を提案しました。
しばらく経ったある日、クライアントから「特異な理由で、発注してくれた企業がいる」との連絡がありました。
クライアントが、その企業の経営者に、発注理由を聞いたところ、「信頼している妻からの推薦があったから」と回答したそうです。
クライアントは、ある業界・業種向けのセミナーにゲスト講師として登壇することがあり、そのセミナーに参加していた、発注元の経営者の妻が、クライアントの話に感銘を受け、「信頼に足る人物」として認識したそうです。
そのような中、後日クライアントの詳細な経歴・事業内容を見て、「うちの旦那(経営者)が抱えている、経営課題に詳しい人でもあるんだ」ということに気づいたそうです。
そして、旦那(経営者)にクライアントを推薦し、その経営者は、同業他社と比較検討しながらも、最終的には、「妻の推薦」により、クライアントへの発注を決断したとのことでした。
以上、今回は経営コンサルティング業を例にターゲットの周りにいる「関係者」(信頼している人)へのPR活動による、受注獲得の事例を紹介しました。読者の方の視点で申し上げると、ターゲットが信頼を置いている人物から、あなたの売りたい商品・サービスへの支持を獲得することで、彼らが、ターゲットに対してあなたの商品・サービスを推薦する可能性があるということです。
例えば、シニアをターゲットにするのであれば、信頼している息子・娘世代に対して、PR活動をすることで、「息子・娘が推薦してくれたから」とあなたの商品・サービスへの購入を検討するかもしれません。
(私見ですが、「シニアのサイフの紐は堅い」との見解はよく聞きますので、アリかと)
もちろん、ターゲットを主要層とする媒体への広告出稿やチラシ配布、PR活動は、どの業界でも必須です。ただ、ターゲットを主要層とする媒体へのPR活動だけが目的達成(受注獲得)までの、ルートとは限らないということを、頭の片隅に置いておくと、「新たなルート」が発掘できるかと思います。
PR戦略の策定において、「ターゲットが信頼している人」へのPRも考えてみてはいかがでしょうか。
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