「取材チャンスを逃した」「記者からの信頼を失った」——広報の現場には、冷や汗モノのトラブルが日常茶飯事です。
メディアからの取材対応、記者発表やイベントの企画、SNSの運用など、広報やPRの仕事には、華やかなイメージがつきものです。社内外に向けて情報を届ける広報は、ある意味では企業の顔ともいえる存在です。
しかし、実際の現場では、「ちょっとしたうっかり」が、企業のブランドイメージや信頼性を傷つけてしまうことも。
例えば、連絡先の更新を忘れて記者との関係が悪化したり、確認フローが煩雑でタイムリーに対応できずチャンスを逃したり…。広報の現場では、大小問わず“ヒヤリ・ハッと”する場面が日常的に発生しています。
今回は、PR業界に10年以上携わってきた中で、実際に私が経験した失敗エピソードと、それを防ぐための具体的な予防策をご紹介します。
この記事の目次
PR担当者が実際に経験した、広報の“落とし穴”3選
① 記者が退職していた!?メディアリストを放置した代償
広報担当者にとって、メディアリストは“命綱”とも言える存在です。しかし、しばらく接点のなかった記者に久々に連絡したところ、すでに退職していた—–そんな経験、広報担当であれば、一度はあるのではないでしょうか。
私自身も、メディアリストの更新を怠っていたせいで、築いていた関係を無駄にしてしまったことが何度かあります。広報の現場では、取材対応やリリース作成、社内調整などやるべきことが山積みで、ついリストの見直しが後回しになりがちです。しかし、その“後回し”が、せっかく築いた信頼関係をゼロからやり直す事態を招くのです。
さらに深刻なのは、退職済みの記者にプレスリリースを送り続けていたことで、「この会社は相手の動向すら把握できていない」と、不信感を与えてしまうケースです。
メディアリストの更新放置は、ただの非効率ではなく、関係性の毀損という重大なリスクにつながる恐れがあります。
メディアリストの定期メンテナンスが、信頼維持のカギです。
②社内確認に時間がかかり、貴重な取材チャンスを逃した
ある日、キー局の報道番組から、「〇〇について解説してほしい」と弊社クライアントへの取材依頼が入りました。すぐにクライアントに連絡すると、初めての全国ネットの番組ということもあって非常に意欲的。
しかし、問題はここから。社内の稟議ルートが複雑で、関係各所の承認を得るのに丸一日かかってしまったのです。その間に、記者は他の企業にも声をかけ、迅速にOKを出した会社に取材先を決定。弊社クライアントへの取材は見送られる結果となりました。
「すぐに動ける会社」と「動けない会社」、記者が次に声をかけるのはどちらか—–答えは明白です。
この経験は、スピード感の欠如が、どれほど明確に“機会損失”に直結するかを痛感させられる出来事でした。
③想定外の質問にうまく回答できなかった
業界紙の記者による個別取材でのこと。テーマは新規サービスについてで、こちらも事前に質問事項をもらい準備を整えていました。しかし、取材終盤になって記者から予定外の質問が飛んできました。
慌てて一時的に取材をストップしてもらい、その場で確認をしたのですが、社内での回答の方針がまだ固まっておらず、結局あいまいな返答に留めることになり、記者もどこか消化不良な部分がある様子でした。
この経験から学んだのは、「もらった質問に答える準備」だけでは不十分だということ。特に経営判断や戦略的なテーマは、事前に“語れる範囲”を関係者間で明確にしておく必要があります。
インタビュー取材において想定外の質問が出るのは当然。その時こそ、ブランドとしての“軸”が問われる瞬間なのです。
同じミスを繰り返さないために──3つの予防策
①メディアリストは定期的に見直す
メディアリストは広報にとって基盤となる資産。
使っていない時期が続くと、情報が古くなり、逆にリスクの温床になります。
おすすめは「四半期ごとのメンテナンス」。記者の異動や媒体の新設・終了・統合などをこまめにチェックしておくことで、リレーションの崩壊を未然に防ぐことができます。
②【迅速な体制づくりがカギ】取材対応はスピードが命
報道の世界では「すぐに話が聞けるかどうか」が重要。反応が遅ければ、それだけで取材先として選ばれなくなるリスクがあります。
だからこそ、「誰が」「何を」「どの範囲で」答えるかを事前に整理しておくことがカギ。「サービス内容は広報」「数字は経営企画」「ビジョンは役員判断」と明文化するだけでも、社内の混乱を回避できます。
さらに、関係部署内で過去の取材対応のプロセスや結果を共有しておけば、属人化を防ぎつつ対応力も高まります。
③ “想定外こそ想定内”にする習慣を
取材にあまり慣れていないうちは「あれも言いたい」「これも言いたい」と言いたいことばかりを考えてしまいがちですが、実際の取材では、記者が“あえて”聞きにくいことを質問する場面も少なくありません。そのため、ネガティブな質問も含めた想定問答集を用意することが重要です。
また、関係者を巻き込んで“簡易ロールプレイング”を事前に実施しておくことも非常に有効です。本番さながらのやり取りを通して、想定外の質問が飛んできたときの反応力や、答え方のトーン・切り返し方などの実践力が磨かれます。
こうした準備があることで、取材現場での焦りや混乱を防ぎ、企業として一貫したスタンスを示すことができます。
まとめ|備えと仕組みが“事故”を防ぐ
広報・PRの現場では、一見些細に見える判断や行動が、企業の信頼やブランド価値に大きく影響します。
今回紹介した3つの事例はいずれも、「時間がなかった」「後回しにしてしまった」「準備したつもりだった」など、誰にでも起こりうる状況から生まれた失敗です。だからこそ、属人的な対応ではなく、仕組みやルールで“ヒヤリ・ハット”を未然に防ぐことが重要です。
メディアリストの定期的な更新、社内対応フローの明文化、そして「想定外の質問も想定する」準備の習慣。これらを日常的に実践することで、広報担当者は「対応に追われる人」から「信頼される窓口」へと進化できます。
今後の広報活動の参考にしていただければ幸いです。
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【ニックネーム】 ナイトウォーカー
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