BABYMETAL大躍進に見るPR論

いま世界を舞台に活躍している日本のアーティスト「BABYMETAL」をご存じでしょうか?

10代の女の子3人による音楽ユニットで、「かわいい」と「ヘビーメタル」を掛け合わせたコンセプトで世界を舞台に活躍しています。
今月19、20日には、半年間に渡るワールドツアーが東京ドームでファイナルを迎え、8か国22公演で延べ45万人を動員したそうです。
私もTVディレクター時代にたまたま彼女たちを取材したことがあり、今回のライブに参戦してきました。
独特の世界感と圧巻のパフォーマンス、ある意味宗教的とも言える観客の盛り上がりに圧倒されましたが、今回は彼女たちの活躍の理由をPR目線で考えてみたいと思います。

まずは「かわいい×ヘビーメタル」というコンセプトについてです。
そもそもPOPアイコン的な「かわいい」という概念と激しく荒々しい「ヘビーメタル」とは全く合い入れない真逆のものです。
この2つを組み合わせるというアイディアの斬新さ、それをショーとしてきちんと成立させる高いパフォーマンス力がBABYMETALの人気の根底なのですが、PR目線で見ると、ここには『意外性』と『独自性』というキーワードがあります。
メディアはネタを探す際には、これまでの概念を覆すような『意外性』のあるものや、他には無いオリジナリティ、『独自性』のあるものに面白みを感じ、採用する傾向があります。

さらにBABYMETALが面白いところは、海外で人気を得てから“逆輸入”のような売り出し方で日本のファンを獲得しているということです。
日本では無名に近かった3人が、世界の音楽フェスで数万人の観客を魅了し、レディー・ガガのオープニングアクトに抜擢され、米・ビルボードのチャートで坂本九以来のTOP40にランクインし、ビートルズもコンサートを行った“音楽の聖地”とされる英・ウェンブリーアリーナで日本人初の単独コンサートを開催、と次々にニュースを連発。
あれよあれよという間に世界的な人気を獲得していきました。
最近では、米の超人気バンド、レッド・ホット・チリペッパーズの英ツアーにスペシャルゲストとして参加することも発表されています。
これだけ大きなニュースを連発されたら日本のメディアも報じないわけにはいきませんし、必然的にその注目度は大きくなります。
BABYMETALも上記のようなニュースが出るたびにメディアに取り上げられ、倍速的なスピードで上り詰めていきました。
このように『話題性』や『ニュース性』を作ることも重要なPR手法の一つです。

一方、最近のBABYMETALは音楽番組にはほとんど出演していません。
海外ツアーで忙しいという理由もありますが、ある程度メディア露出を抑えることでファンの飢餓感を煽り、BABYMETALというブランドを神聖化させる戦略を採っています。
もちろんこの戦略は、メディア露出を抑えても影響が無い位置に達しているからできるものなのですが、非常に上手い売り方だと思います。

そしてやはり、日本で無名だった3人があっという間に世界を舞台に活躍するアーティストに上り詰めたという、にわかに信じがたい『ストーリー性』が多くの人の心を掴んだように思います。
もともとBABYMETALはアイドル的な立ち位置で、ファン層はアイドル好きとメタル好きの中年男性がメインでした。
ところが、数々の快挙がメディアに取り上げられたり、国内の音楽フェスに精力的に参加することで、これまで興味がなかった若者を取り込み、いまや幅広い層から支持されています。
先日のドーム公演でも国籍・性別・年齢問わず多くのファンが集まっていました。

このBABYMETALの事例が参考になるかはわかりませんが、『意外性』『独自性』『話題・ニュース性』『ストーリー性』はPRを行う上で大事な要素であり、これらが揃うと大きなPR効果に繋がるのだと思います
だいぶエンタメ的な話になりましたが、少しでも皆様のPR活動のヒントになれば幸いです。