専門家を鵜呑みにする日本人の特性を活かす ~ サイバーエージェント・東証一部上場の葬儀会社から学ぶ「専門家PR」

こんにちは
サイバーエージェント社の代表の藤田晋氏が、
日経ビジネスアソシエでの寄稿記事の中で、
下記のような発言をしていました。

「マスメディアで評価されれば、会社の認知度だけでなく、
 対外的な信用も高まります。総じて仕事がやりやすくなる」

特に同社の創業当初においては、マスメディアでの露出が、
「どれだけ重要なのかを分かっていた」として、
先に決まっていた営業先のアポイントを再調整してまで、
取材を受けていたと述べています。

一方で、カラオケ店チェーン大手のシダックスの社長・志太勤一氏は
「社長一人が発信してブランドを強化していく時代は終わったのではないだろうか」
(出典:日経ビジネス)と述べるなど、
対外広報に否定的な意見があることも事実です。

このように賛否が分かれる中、企業の代表者がマスメディアに露出することで、
なぜ会社の信用が高まったり、仕事がやりやすくなるのかを最近考えました。


この理由を考える中で、ジャーナリストの池上彰氏の書籍を読んでいた際に、
池上氏との誌面対談の相手だった作家の佐藤優氏が、興味深い発言をしていました。

その対談の中で、佐藤氏は、
「日本人はマスメディアに登場する専門家の解説を、鵜呑みにする傾向にある」
と紹介しています。

◆ 専門家を鵜呑みしがちな日本人の特性
~ ドイツを代表する哲学者の見解を元に紹介 ~

佐藤氏は、世論が形成される過程などを研究する
ドイツの代表的な哲学者であるユルゲン・ハーバーマス氏の見解を元に、
日本人の「情報の真偽を見極める能力」について解説。

その中で、情報の真偽を見極めることは、
時間とエネルギーが掛かり疲れてしまうため、自身で検証せずに、
「誰かが説明してくれるだろう」という発想・態度に行きつくとしています。

この発想・態度を、〈順応の気構え〉と説明したハーバマス氏の見解を踏まえ、
日本人がマスメディアに登場する専門家の解説を、
鵜呑みにしてしまうまでのプロセスについて説明しています。

(下記、佐藤氏の説明を引用)

佐藤氏:
・〈(ハーバマス氏は)どうしてわれわれは大量の情報があって、
  教育水準も上がっているのに、
自分の頭で考えることを辞めてしまうのかについて説明しています〉

・〈つまり、こういうことです。一つ一つの情報を検証して
正しいかどうかを判断する能力は、我々にはある。
  しかし、それにはものすごい時間とエネルギーがかかる。〉
〈だから、とりあえず自分が理解できないことは専門家が説明してくれるという
「順応の気構え」が出てくる(以後省略)〉

・〈ワイドショーのコメンテーターは、15秒で森羅万象について説明してくる。
 それを見ている視聴者は、「これは専門家がそう言っているんだから正しいだろ
う」と
  だんだん主体的に考えることができなくなってくるわけです〉

※以上、池上彰のニュースの学校 (朝日新書)236~237ページから引用

断っておきますと、メディアに出てくる専門家の意見を鵜呑みにすることが、
絶対に間違っているとは言えませんので、事の当否の判断は控えます。

一方、別の視座から捉えると、マスメディアに出ている専門家は、
情報の受け手から、「正しい情報」として認識される可能性があります。

この現象を利用し、専門家として露出し、
自らのビジネスに有利な発言をすることで、
発言の受け手から、「信頼できる情報」として認識される可能性があるのです。

例えば、専門家としてマスメディア上で、ある社会問題を提起し、
その問題を解決する商品・サービスを提供していることを合わせて紹介すれば、
商品・サービスに対する信頼度は、かなり高くなる可能性があります。

◆ 代表者を露出させて、お客さんの数が倍増!
~ 東証一部上場の葬儀会社の事例 ~
この現象を上手く利用している企業として、
東証一部上場の葬儀会社のティア(名古屋市)が、当てはまります。

同社では、葬儀業界のサービス内容が不明朗会計であるため、
サービスの受け手(葬式を挙げる人たち)が、適正価格で
サービスを受けられていないという問題点を、各種マスメディアで訴求。

その問題点と同時に、葬儀内容を明朗会計にしたサービスを
展開していることを紹介し、お客さんの数が倍増したと、
同社社長が述べています。

ティア社長:
・〈(不明朗会計を問題視し)私たちは“生前見積り“という言葉で
  メディア戦略をしています。〉

・〈(メディアの中で)繰り返しこの言葉を使うことで、去年と比べると、
  お客様が倍になっています。〉

※引用先:企業家倶楽部(2008/06/27)67~69ページ

◆ 専門家として、メディアに露出する方法とは?
答えは簡単、当社にご相談いただくことです!
という、セールストークに進みたいところですが、
ここでは、露出までのプロセスと所感を以下記載します。

1.プロフィール資料の作成
・人物の生い立ちなどを、できるだけ細かく具体的に・・・。

・「そんなこと言われなくたって、分かっとるわ」という声を良く聞きます
 (言うは易く行うは難しですね)

2.掲載候補先の選定
・各種メディアを通読して、人物紹介欄を探して担当者を特定して・・・

・「そんなこと言われても、暇がないんだよ」という声を良く聞きます
 (同上)

やはり、PR会社を使うというのは、
成果を出すためには必要だと思います。