広報塾

「自社の損得最優先型PR」では伝わらない

こんにちは。
東日本大震災から、1年が経ちました。
この1年間は皆様にとって、どのような1年だったでしょうか。
改めて、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
長い長い復興への道のりを歩む被災地の皆様に
どのような言葉を送ることが正しいのか・・・正直わかりません。
それでも歩みだした皆様に、1日でも早く穏やかな日々が訪れますように。
復興と皆様のご健康を、心よりお祈りいたします。
3月11日前後、多くのメディアで
「震災から1年」をテーマとした特集が組まれ
各地で追悼式やイベントなども開催されました。
膨大な量の報道。
“ありのまま”の当日映像を、改めて放映したテレビ番組もあれば、
亡くなられた方のお写真とご家族からのメッセージを、
数ページに渡り掲載した新聞もありました。
報道の在り方を含め、私自身、非常に考えさせられる時間となりました。
各メディアの発信する情報を見ていると
震災直後から数カ月間は大変な話題になっていた「企業による支援活動」について
1年が経った今、取り上げられることが少なくなったと感じます。
そんな中、いくつかの「企業」の動きに印象的なものがありましたので
今回はそれを、ご紹介したいと思います。


3月11日の毎日新聞 総合面
「企業、的絞り被災地支援」
この記事で取り上げられている数社の中から
宅配便大手のヤマトホールディングスをご紹介したいと思います。
津波で魚市場がほぼ全壊した、宮城県南三陸町の志津川漁港。
ここは、秋にサケが遡上する地域です。
翌年以降の放流のためには秋サケの収穫が必要であり、魚市場の復旧は急務。
国の助成を待っている時間はありませんでした。
そこで地元が頼ったのが、ヤマトHDの支援制度。
同社は、2011年度に取り扱う宅配便1個につき10円の寄付を決定し
総額130億円が見込まれた寄付金を
行政では支援が届きにくい分野で活用してもらうため
ヤマトの財団通じて、被災地に渡すことにしていました。
この制度を活用し、志津川漁港は昨年10月
1200平方メートルの「仮設魚市場」を建設。
5年間使用可能なベルトコンベアーや製氷機も備えました。
市場では連日、威勢のいい競りの掛け声が響いているのだそうです。
ヤマトHDはこの魚市場の他に、養殖業者の資材購入、保育所の高台移転など
24件の支援先を2月末までに選びました。
これらの活動には「冷凍用宅配便を活用してくれた東北の農水産業者に恩返ししたい」
という想いもあったのだそうです。
他の企業にも、
●資生堂…化粧品セットの配布、避難所を回り約3万人へのメイク。
●築地銀だこ(ホットランド)…本社を石巻市に移転。現地に開業して約100名を採用。
●サントリーHD…缶製品1本につき1円を積み立て。漁業者の漁船取得を支援。
●トヨタ自動車…宮城県大衡村に企業内訓練校「トヨタ東日本学園」を開校予定。
●ファミリーマート…被災者によるFC出店時、加盟金など(約160万円)を免除。
●日本ロレアル…社内のカフェ文化を活用し、石巻市にコミュニティカフェを開業。
●ローソン…最大7年間、返還義務のない奨学金を寄付。
など、自社の強みを生かし
長期的な視点で支援を実施している企業が出てきています。
震災直後、使途を特定していない義捐金の拠出が相次ぎましたが
最近では、「目的を絞った支援」が始められています。
「一過性の支援ではなく、長期的に行う支援」へと
視点を変えて動き出しているようです。
震災支援活動を安易に
「PRのチャンス」などと考えている広報担当者がいらっしゃれば
その考えは今すぐ捨てて下さい。
震災支援活動やCSR等は「PRネタ」ではありません。
「企業としての社会貢献」は強い想いと目的、
トップおよび社員の努力があって初めて実現するのであり
その結果として、「企業のイメージ向上に繋がる企業もある」のです。
情報発信をする際に大切なのは、
独りよがりな「自社の損得重視型PR」をするのではなく
相手のことを良く知り、考えることです。
自社の損得を最優先に考えた情報発信は
世の中にとって“つまらない情報”、“Happyじゃない情報”です。
短期的でその場しのぎの活動では
当然、メディア露出も一過性のものになり、
企業のブランディングに寄与することもないでしょう。
「自社の発信したい情報」と「世の中がHappyになる情報」
その両方が共存するPR戦略を設計することこそが
PR会社としての社会的使命だと、感じているこの頃です。

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