『白い恋人』の北海道レポート&『働きマン』で知る編集者の実態

こんにちは。
新千歳空港内のお土産コーナーを片っ端から見て回りました。
今週は、まずはそのご報告から…。
『白い恋人』のメーカー、石屋製菓は、ホームページや記者会見で「商品を自主回収し、製造・販売を一定期間中止する」という姿勢を示しています。


空港内はその通りでした。空港内のお土産コーナーはもとより、どこにも『白い恋人』は売っていませんでした。わかってはいたものの、かなり寂しい気分になりました。
それよりも、愕然としたことがあります。
店頭から商品が完全に姿を消しているにも関わらず、空港内の広告類がそのままになっていたことです。
壁面に大きく掲げられた看板につられて、「もしかしたら」の思いで『白い恋人』を求めてお店を訪れた観光客も大勢いたようです。
広告を見ながら「商品がないのに広告はそのまま?」と不満をもらす人を何人か見かけました。
また、インターネットで『白い恋人』を検索してみると、通販の広告が先頭に登場します。もちろん、それらは全て品切れ扱いになっており、購入できません。
もしこの事件を知らなかった消費者がいたら、騙されてしまいます。「不祥事に対する企業の姿勢が一貫していない」と揶揄されかねません。
もちろん、街中のあらゆる販促物まで、すべて撤去せよとは言いませんが、せめて目につきやすい広告・宣伝には気を配るべきだと思います。
そもそも、今回の『白い恋人』事件では、製造元が賞味期限に関して嘘をついたことが問題視されています。そのうえ、品物がない状態で商品広告を放置することは嘘の上塗りです。
不祥事の時にこそ、消費者の視点で気を配ってほしかった。『白い恋人』が大好きな僕だけに、広報活動において“嘘”が人をがっかりさせることを思い知らされた、北海道旅行となりました。
僕が次に北海道に行くときは、『白い恋人』をたくさん買えるようになっていてほしいものです。応援してます。
さて、ここからは大槻眞美子が担当いたします。冒頭では青山が『白い恋人』を通して、広報活動における“嘘”の功罪について語ってくれました。
私は逆に、最近、あまりに真実すぎて、面白くてたまらないテレビ番組があるので、ここにご紹介します。
それは、10月より水曜22時からNTV系列で放映中の『働きマン』。
安野モヨコさんの漫画が原作となっており、20代後半の女性編集者の日常を描いた物語。
特定の職業にフォーカスをあてて制作されたドラマは、実際にその職業に就いている人が見ると、一般にデフォルメされすぎて嘘っぽくて不評を買うことが多いと言われます。
そりゃそうです、日常なんて、人が見て笑い転げるような事件だらけじゃたまりません。
しかし!『働きマン』はものすごくリアルなんです。編集者の生活そのもの!
PRの仕事に就くまで約20年もの間、編集畑でご飯を食べてきた私が言うのですから、間違いありません。
原作の段階から、私の周囲には『働きマン』ファンがいっぱいいました。ドラマ化決定後、編集者から映像関係者、広告マンなどなど、日頃から編集者の内幕をよく知る人々が、こぞってこの放映を楽しみに楽しみにしておりました。
そして、ドラマはものの見事に、もう、内輪ウケするほど、抱腹絶倒なほどに、編集者の生活を嘘偽りなく正しく描いてくれています。視聴率も2回目のOAを終えた段階で平均15%以上と好調とのこと。ドラマであっても、「嘘より真実が面白い」が実証されました。
PRに携わる皆様にとっても、編集者の実態には興味津津だと存じます。
編集者の生活の機微を知ることは、クライアントさんの企画を持ち込む際など、必ずお役に立つはずです。
では具体的に、『働きマン』のどこが編集者の生活をリアルに描いているか、第二話を例にチェックしてみましょう。“ ”内がドラマのクダリです。
“「20代も後半の主人公。彼氏あり。結婚はいつかはしてみたい。でも、仕事のことを考えると、踏み切れない…。」とつぶやく主人公”

そうそうそう! 編集って仕事、20代後半くらいが、企画も通り出して、面白いんです。
校正待ち、原稿待ちで、帰宅が深夜になることも多いので、周囲の人々と“同じように”働くには、とても夫の世話をやいている時間なんてありません。
…でも、結婚はいつかしてみたいのが、20代の乙女心ですね。
(上記の女性編集者のつぶやきに対して)
“「そんなことアイツも考える のか」と意外そうな顔の男性編集者”

周囲の男性は、女性編集者をオンナだとは思ってくれません。が、そのわりに、社内結婚が多いようです。まあ、それは他業種より労働時間が長いのだから、男女一緒にいる時間も長いわけです。
だから、PR活動において、褒め言葉であっても、女性編集者に「女性らしからぬ、働きぶり」だとか言うのはタブーです。
“彼氏との久々のデートも企画会議を思い出し、飛び出して行く主人公”

日常茶飯事です。役得で、プラチナカードのコンサートチケットを入手できることがあっても、それを自分で行けるとは限らないのが、編集者。
その代わり、真昼間でも時間が空けば、取材と称して映画見に行ったりも日常茶飯事。編集者にも、ものすごく暇な日だってあるのです。
“編集会議で企画が通り、鼻高々な主人公。
企画がなかなか採用されない中間管理職に悪態をつく”

営業職などに比べて、編集は包丁一本の世界です。腕さえよければ、役職が下でも企画が通ったものが勝者です。
若い編集者は、企画の通らない中間管理職を馬鹿にしがちとなります。ことに若い女性から無視された男性管理職は一見惨めです。
でも、やはり亀の甲より年の功で、彼らにもそれ相応の権限が委ねられているので、PR企画を持ち込むなら、活きのいい女性編集者より先に、狙うはデスククラスが王道です。
“煙草の害に関する記事を書いておいて、自分自身がヘビースモーカー”

よくある話です。取材に行って触発されて禁煙に至ることもありますが、特に雑誌編集者は好奇心の対象が次々変わるので、記事が印刷された頃には忘れています。
“美人編集者の企画が採用されると、実力ではなく媚たからだと思い込む、主人公”

これもよくある話です。男性編集者は、女性が取材に行くと人数的にに希少だから印象が残りやすくて得だなどと言う。でも、結局職人の世界なので、実力を認めあえた時点で和解成立が常。
ただ、従来編集者を扱ったドラマは、美人すぎない主役編集者が実力でのし上がり、女性を武器に大物作家を手玉にとる編集者を見返す…というパターンが圧倒的でした。
『働きマン』では、美人編集者が影で努力を重ね、実力で企画を通していることを主人公が知り、反省するという展開。
これ、この手のドラマでは、画期的なほどノンフィクションです。
“過去の取材記事を全部読みあさり、とことん研究して企画書を作成し、ついに大物野球選手の取材を勝ち取る主人公”

いかにもドラマ的エンディングですが、これもそんなに珍しくない話です。
出版社の大小や媒体の質だけで取材を拒む有名人が多いのは事実ですが、丁寧に調べて、練りに練った企画書が、とんでもない金星につながることも少なくないのです。私すら「企画書が気に入って取材受けることにしたよ」と、駄目モトで挑んだ大物引っ張り出し作戦を成功させたことが何度かあります。
PRマンの皆さんも、基本を守って丁寧に制作した企画書さえあれば、テレビ局だって、新聞だって動かすことができるはず。
ということで、皆様も、『働きマン』で編集者を研究して、彼らの心に響く企画書を作れるように、頑張りましょう!!
あー、真実一路、リアルライフって、ほんとうに面白いですね。『働きマン』、今週も録画予約しなくっちゃ…。

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