クリエイターに学ぶPRの視点

こんにちは。

すでに大型連休に入っている方もいらっしゃるでしょうか。
弊社も昨日から連休スタートです。
私は大好きな芸術鑑賞をしに、金沢の21世紀美術館を訪ねる予定です。
絵画、造形、舞台など、現代のものから過去のものまで、
自分の発想を遥かに超える作品を観る度に、私は多くの刺激を受けます。
今日は、そんな私が、刺激を受けた分野のひとつ「産業デザイン」から、
マーケティングPRに重要な「視点」についてお話したいと思います。


ある仕事で、産業デザイン学科の教授にお会いした時のことです。
そこで私は大切なことを教わったのです。
その教授曰く、産業デザインを考える上で必要なことは、
『社会が「必要としているもの」(=NEEDS)
『「あったらいいな(欲しい)と思うもの」を見つけること』
(=WANTS)ということでした。
まさに、マーケティングPRと同じ「視点」です!
さらに、教授の話には続きがあったのです。
(※産業デザインとは、製品等の美的・機能的・経済的価値を最適化すること
により生産者及び消費者の物質的・心理的欲求を充足させるための創作及び
改善行為)
産業デザイン学科の教授に教わった、デザインを考える上での重要な
「視点」は、
『社会が「必要としているもの」
『「あったらいいなと思うもの」を見つけること』。
そしてもうひとつ、教授が教えてくれた、決して忘れてはいけない「視点」。
それは……
『人々が、「不自由である」ことに気づいてさえいないもの』
に気づくこと。
産業デザイン学科の学生のひとりは授業の中で、この「視点」を用いて
新たな金槌のデザインを考案しました。
私は、金槌を「不便だ」と考えたことすらありませんでした。
しかし、完成した金鎚を見て、私ははっとしました。
その金槌の柄はいびつに変形しており、指の力がない人でも、
その変形させた部分に指をかけることで、
容易に金槌を振ることができるように工夫されていたのです。
さらに、柄が手首に当たったり、的へのコントロールが効かないなど、
金槌特有の不便さを全て解消するものでした。
金槌の不便さは、私たちが不便と感じる前に、
当たり前と思っている、固定概念にしかすぎなかったのです。
消費者が潜在的に持っていて、しかも自分でさえも気づいていない
ポイントにまで発想を広げる力。
これこそ、PRマンが挑むべき領域なのではないでしょうか。
とはいえ、『「不自由である」ことに気付いてさえいないもの』に、
どうしたら気づくことができるのでしょう。
答えはいろいろあると思いますが、私自身、参考にしている方がいます。
装丁家の鈴木成一さんです。
鈴木さんは、月に60冊もの装丁を手掛ける、著名な装丁家です。
「金持ち父さん、貧乏父さん」の装丁も、鈴木さんの作品です。
情熱大陸やプロフェッショナル仕事の流儀などでも紹介されており、
超がつくほどの売れっ子クリエイタ-です。
そんな彼でも、デザインの最終形を描けないときがあるのだといいます。
そんなときに彼がすることは、
「出来そこないの表紙を机に立てたまま、あえて別の仕事に没頭する」の
だそうです。狙いは自分を≪無意識≫にすること。
ふとした瞬間に目に入る、出来そこないの表紙。
その瞬間に何を感じるか、その感覚を探るのだといいます。
この『≪無意識≫を意識すること』は
『「不自由である」ことに気付いてさえいないもの』に気付くための
一つの手段ではないでしょうか。
モノ・コトがあふれ、満ち足りていると感じている日常生活の中で、
『「不自由である」ことに気づく』ことは、簡単なことではありません。
しかし、そこを探して世の中に情報を発信していくことこそが、
PRにしかないオモシロミ(うま味)なのだと、思うのです。
この大型連休で、「視点」という感性を磨くべく、芸術鑑賞に浸ってきたい
と思います。

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