自社の強み=差別化ではない⁉メディアに響く「他社との差別化」とは?

メディアは取材を検討する際に、無意識のうちに判断基準にしている項目というものがあります。

これまでにこのPRマガジンの中で、「時事性(ニュース性)」「独自性」「意外性」「話題性」「季節性」「新規性」などについてご紹介しましたが、今回はこの中から「独自性」や「新規性」に関係する、「他社との差別化」について詳しく掘り下げてみたいと思います。

1. PRにおける「差別化」の重要性

テレビ、新聞、WEBなどメディアのジャンルに関わらず、PRや広報活動において他社との差別化を打ち出すことはとても大切です。
メディアは常に新しい情報を探しているため、これまでにどこかで取り上げられたようなネタはできるだけ避ける傾向があります。
一日に多くのプレスリリースが届くなかで、「この情報は面白い!」「ぜひ取材したい!」と担当者に思わせるには、やはりこれまでにないような目新しさがあるとそれだけで大きな武器になります。

「うちは小さな会社だからメディアに取り上げられるわけがない」と思っている方も多いかもしれませんが、他社の商品やサービスとの差別化が図られていれば、企業規模や業界シェア、世間での認知度は高くなくても、メディアが取り上げる可能性は十分にあります。
他社と違う特徴や強みがあるからこそメディアが取り上げる理由になるということです。

2.「自社の強み」は企業の宣伝と捉えられてしまうケースも

なかには、「他社との差別化をしっかり打ち出してプレスリリースを作成したはずなのに全くメディアに取り上げられない」という方もいるかと思います。
そういう場合は「差別化」という言葉の捉え方が少し違うかもしれません。

「差別化」という言葉について調べてみると、「自社の消費やサービスを他社と区別するために、明確な違いを生み出すこと」だったり、「他社製品と比較して優劣の差をつけ、競合より勝ることで顧客の指示を得ようとする戦略」という説明が出てきます。

どちらもその通りで、間違いではないのですが、PRや広報活動において求められる「差別化」とは、ただ単に「他社の商品やサービスとの違い」だったり、「他社に比べて優れている点」を打ち出せばいいということではありません。

例えば、自社の商品を買ってもらうための差別化であれば、

・味がおいしい
・価格が安い
・ボリュームが多い
・こだわりの素材を使っている
・性能が優れている
・デザインがオシャレ
・うちにしかない技術で作られている

などの要素が考えられますが、これはあくまで、たくさんある商品の中から自社の商品を選んでもらうための、消費者に向けた差別化です。

「他社との差別化」というと、このような味や価格、機能性などのポイントに目が向きがちですが、正直これらの要素はメディアにとってはあまり重要なことではなく、取材を検討する上でのプラス材料にはほとんどなりません。

商品のクオリティーや技術の高さについてどんなに語っても、そのような商品は世の中にたくさん溢れていて、メディアがわざわざ取り上げる理由としては弱く、企業の宣伝として捉えられてしまうケースも意外と多いのです。

実際にメディアにアプローチを行なった際に、「それだと企業の宣伝になってしまうんですよね…」という理由で断られた経験がある人も多いのではないでしょうか。

3. メディアが求めている差別化とは?

では、メディアが求めている「他社との差別化」とはいったい何なのでしょうか?
それは、消費者が普段の生活のなかで感じている、不満、不安、不便、不足、不快などの負の要素を解決してくれるようなものだったり、世のためになるような社会的意義のある商品やサービス、取り組みなどです。

例えば、お昼の情報番組などでよく企画になっている「便利グッズ」は、多くの人が家事に対して感じている「面倒くさい」「煩わしい」という不便を解決してくれるものですし、「Uber Eats」をはじめとする近年多様化している代行サービスも「自分の代わりに他の人がやってくれたらいいのに…」という不満を解決してくれるものです。
また、企業のSDGsの取り組みについてもよくメディアで取り上げられていますが、これもまさに社会的意義のある情報です。

メディアの役割とは、企業の商品やサービスを紹介することではなく、視聴者や読者にいかに有益な情報を届けるかということにあります。
もちろん、メディアのジャンルやコーナーによって取り上げる内容は異なるので一概には言えませんが、メディア担当者の多くが、「世の中や社会のためになる情報か、ただの企業の宣伝になっていないか」という基準を持って取材の検討をしているのです。

4. まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はPR・広報活動において重要な「他社との差別化」についてお話ししました。

「メディアは企業の宣伝がしたいのではない」「日常生活に潜む不満や不便を解決してくれるもの、世のためになる社会的意義のあるものが取り上げられやすい」という点を意識していただけると、今後の活動がよい方向に向かっていくかもしれません。
ぜひ参考にしていただけると幸いです。

【元TVディレクターが教える!】「テレビ番組の担当者に刺さりやすいネタ」とは?

2021年6月15日
株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】 ナイトウォーカー
【これまで担当した業界】 食品・飲料・医療・美容・自治体関連・出版社
【趣味】 夜の散歩、温泉めぐり
<個人的おすすめ温泉BEST3>
1、宝川温泉(群馬) 川沿いの絶景露天、紅葉や雪の時期が最高です
2、ほったらかし温泉(山梨) 眼下に甲府盆地が広がり富士山も見えます
3、西の河原温泉(群馬) 山に囲まれた日本有数の巨大露天風呂です
【プチ自慢】
テレビディレクター時代に、レオナルド・ディカプリオやミラ・ジョヴォヴィッチなどハリウッドスターのインタビュー取材をしたこと

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