企業やブランドの“ファン獲得”を促進 「ファンマーケティング」の成功例

SNSの台頭で様々な情報が錯そうする今、ブランドの認知度を高め、新たな顧客やファンを獲得することが競争力を維持し成長を遂げるための重要な鍵となっています。

そこで企業は「ファンマーケティング」を積極的に活用してブランドの認知度を向上させ、顧客の確保や新しいファンを獲得する様々な施策を展開しています。

では、具体的にどのような施策があるのか、ご紹介します。

SNS施策など多くのマーケティング施策が存在しますが、中でも「オンライン工場見学」「リアルファンイベント」などのアプローチは、ブランドの認知度向上とファン育成や顧客獲得に効果的な方法として注目されています。

それぞれの特長と成功事例を通じて、ブランドの認知と顧客獲得の視点から探究してみます。

オンライン工場見学

製造プロセスの透明性と知識増・教育的な観点がポイント

【特長】
ブランドの透明性を高め、製品やサービスに対する顧客の信頼を築きます。製造プロセスの公開により、製品の品質や安全性に対する疑念も解消できます。
また、製造プロセスに関する詳細な情報を提供し、顧客の知識を向上させます。ファンは製品についてより深く理解し、商品に関する知識を好んで共有できるようになります。

成功事例①：テスラ

クリーンエネルギー関連企業のテスラはバーチャルオンライン工場見学をYouTubeで発信しており、電気自動車の製造プロセスをファンに公開しています。これにより、ファンはテスラの取り組みや革新的なテクノロジーについての理解を深め、ブランドに対するロイヤルティを高めています。
製造工程の透明性とファンへの好奇心醸成が、新たな顧客を獲得する要素として機能しています。

成功事例②：土屋鞄（かばん）製造所

ものづくりメーカーにとっても、オンライン工場見学は有効な戦略となっています。職人がひとつずつランドセルを手作りする土屋鞄は、コロナ禍で中止になった工場見学を「どこでも社会科見学」と題して“ランドセルの作り方”などを動画で公開。クイズや職人の想いなども盛り込み、興味がそそられる内容になっています。
丁寧な製造工程の紹介により、ランドセルがどのように大切に作られているかが理解でき、ブランドに対する信頼を高めています。

成功事例③：三井農林

紅茶の老舗メーカーとして国内のトップシェアを誇る三井農林。公式オンラインショップで会員限定の特別イベントとして、オンライン工場見学を開催しています。例えば、日東紅茶の「デイリークラブ」がどのように作られているのか、おいしさのヒミツなどが楽しく学べます。
少額の会費制で人数は限定されますが、参加者には事前に紅茶製品が送られるなど、紅茶ファンによる人気が高く、毎回好評を博すイベントになっています。

リアルファンイベント

直接的な触れ合いとカルチャーの共感、心理的なつながりがポイント

【特長】
リアルファンイベントは顧客とのつながりを強化し、ファンの忠誠度を高める機会を提供します。ファンはブランドに対して深い感情を抱き、それを共感し合うことができます。
また、独自のカルチャーや特別な体験を提供し、思い出に残る瞬間が共有されます。

成功事例①：パタゴニア

パタゴニアは環境保護に取り組むブランドとして知られており、リアルで開催されるイベントを通じて顧客と深いつながりを築いています。カルチャーやクライミングなど、独自の分野に関したイベントを開催し、環境活動にも通じる機会を提供することで、ファンはパタゴニアの価値観に共感し、ブランドを支持する理由を見つけています。
これらは心理的なつながりを強化し、ファンのロイヤルティを高めるのに役立っています。

成功事例②：ザ・ノース・フェイス（ゴールドウィン）

アウトドアブランドのザ・ノース・フェイスは、子どもたちに“自然から生きる力を学んでほしい”と、「KIDS NATURE SCHOOL」を実施しています。お子さまとその保護者が参加できるアウトドアイベントになっており、経験豊富なアウトドアプロデューサーによるガイドのほか、世界中で活躍するザ・ノース・フェイス アスリートが登場することもあります。
フィールドで学び成長する貴重な時間は、長くココロに残る特別な体験になると思います。
 
これらの事例は、「ファンマーケティング」のアプローチがさまざまな業界やブランドに適用できることを示しています。
 
オンライン工場見学やリアルなファンイベントは、ブランドの認知度向上やファンの育成、顧客獲得につながる効果的な方法として、幅広い企業に適用されております。

競争の激しい市場で差別化され、顧客との強固な結びつきを形成し、持続的な成功を収めることに寄与するマーケティング施策の一つとして覚えておいてはいかがでしょうか。