現場叩き上げのフリーランスが伝える“ラポール形成”の5つのポイント

どんな仕事でも介在するのは“人”であり、情報では人は動きません。
人で魅了し、人に好かれ、人と信頼を築いていく仕事にしていくために、会話を中心に意識しておくべきポイントを5つに絞ってご紹介します。

1:仕事のアポでも雑談9割

何かを提案するお仕事をしている方や契約を取りたい方は、出会い頭に自身の製品・サービスを提案しがちです。
しかし、相手のニーズもあまり知らない上で提案するのは信頼関係を失う可能性が高く、2回目に会ってくれる可能性も低くなります。結果的に受注に至らないことが多いです。初対面の時は特にですが、9割雑談、1割仕事の割合で話すことが大事です。

ただ単に雑談をするのではなく、その人の人間性や仕事において大切にしている点や価値観、趣味や嗜好、悩み、課題等など、アポ相手の状況・状態を雑談の中から拾い上げていき、相手のニーズを明確に把握することが大切です。「伝えることは聴くこと」です。

2:1回で決めようとしない

恋愛でも、出会ってデートを重ねる中でお互いのことを良く知ってから、お付き合いが始まるように、いきなりお付き合いを申し込む人はいませんよね。
ビジネスにおいても同じです。取引先になる方やお客さんになる方にいきなりあなたの要望を伝えても何も伝わりません。数回にわたり、会って話すことで信頼関係を築いていきます。

話す内容や話している時間よりも、”会う回数“が大切です。

会う回数が増えれば増えるほど、相手への興味や関心度合も高くなる「単純接触効果」という心理現象も期待できます。したがって、1回のアポは1時間程度で収めるのが適切かと思います。1回のアポで話し過ぎてしまうと、その回で満足してしまい次のアポに繋がりにくくなります。朝ドラがなぜ毎回15分で終わってしまうのか。「いまいいところなのに~!」というタイミングで終わるのは、次回も見たいと思わせる為の手法です。

これと同様に、会話が盛り上がっているピーク時に切り上げ、2回目以降のアポに繋げることで、「この人と話すの楽しい」「また会いたい!話したい!」と思われる可能性が高くなります。

3:製品・サービスではなく“人”で差別化をする

名刺を交換した際や、自身のセールスポイントを伝えた際に相手の方が無意識に行うことは、職業によるカテゴライズです。先方がその分野に興味を示さない場合や、過去の経験による偏見やマイナスイメージを持っている場合、脳内で、付き合いを深くする価値がないと判断されてしまうことが多いです。その場合、話す内容はほとんど相手に伝わっていないと思った方が良いです。

そうならない為には、人間性や人柄でマイナスイメージを払拭していくことが必要になります。

雑談などを通じて人柄を伝えていくことで「この人とは仲良くできる!」や「この人が扱っているサービスであれば検討したい」と思ってもらえる可能性が高くなります。逆に、どれだけ良いサービスを提供していても、人間性や人柄の部分で欠如している箇所が目立つようであれば、話はなかなか前に進みません。「製品やサービスで勝負せず、あなたの人柄で勝負する」ことが相手を前のめりに聴く姿勢にさせるコツだと考えます。

4:否定せず受け入れる+自分の意見も述べる

相手の考えを否定せずに受け入れ、なぜそのような考えになったのか?などと質問しながら話を深堀りしていく姿勢が大事です。傾聴にはキャリブレーションやミラーリング、ペーシングなどのコツもあるので、それらを活用しながら聞く姿勢に注力しましょう。

一方で、単純に受け入れすぎると同調するだけのスタイルになってしまい、「この人は本当に共感してくれているのだろうか、つまらなく思われていないか」などと思われるリスクもあります。相手が話しているトピックに合わせ、その相手の考えを受け入れながら、自分の考えも織り交ぜて話せると良いです。

5:Give and Takeの関係にしない

相手との関係性は「こっちは~するので、~してください」のGive and Takeの関係だけでは、どちらかにメリットが少なかったり、デメリットが多すぎたりとフェアな関係が少しでも崩れてしまうと関係の継続が難しい状況になります。

長く、良い関係を続けるためには、Takeを望まず、惜しまずにGiveをし続けることが大切です。自己犠牲をし続けるということではなく、今の自分ができることを少しでもいいので、惜しまずにすぐに提供することです。

例えば、相手の求めている人が知り合いにいるときはすぐに繋げることや、主催するイベントがある際には参加するなど、相手が求めていることを少しでも満たし続けていくことで、Takeを望まなくとも相手からも何かしらGiveしていただけるGive and Be givenの状態になることを目指しましょう。この関係性を形成することで、メリット・デメリットのバランスが多少崩れても良い関係性の継続に繋がる可能性が高まります。

最後に

信頼してもらうということは単に話がうまい、プレゼン能力が高いという理由で信頼を得るのではなく、相手を深く知ることに加え自分自身の人間性がきちんと伝わることが重要な要素です。それらができてはじめて、会話のスキルなどは効力を発揮します。

全てのことに人が介在しているからこそ、サービスを魅力的に伝えることに重点を置くよりも、自分という存在を魅力的に伝えることを意識していただければと思います。