AI生成コンテンツ溢れる時代の「顔が見える」広報術とは

最近、「リリースはきれいに仕上がったけれど、読まれていない気がする」「ChatGPTで作った企画が、どこか無味乾燥に感じる」──。そんな声を、広報担当者からよく耳にします。
生成AIの普及により、誰もが短時間で整った文章を作れるようになった一方で、「量は出せても、届かない」という違和感を抱える人も増えています。今回は、AI全盛時代だからこそ価値が高まる「顔が見える広報術」について述べてまいります。

2026年、AI時代に必要とされる「人の言葉」

2026年現在、ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、誰もが短時間で「それなりに整った文章」を作れる時代になりました。広報・PRの現場でも、プレスリリースのたたき台やSNS投稿文の草案など、AIの活用はすでに日常業務の一部になりつつあります。
その一方で、「どこか似たような文章が増えた」「型どおりで味気ない」と感じている方も少なくないはずです。まさに、いま多くの広報担当者にとってのリアルな課題、とも言えるのではないでしょうか。

では、いま本当に求められているものは何か。それは“正しさ”や“網羅性”だけではありません。「誰が、どんな想いで語っているのか」という、血の通った言葉です。
AIと共存するこれからの広報において、「人が語る意味」そのものが、改めて大きな価値になっています。

一次情報・体験・気づきにこそ、共感と信頼が宿る

noteのCXO・深津貴之氏が先月公開した記事「noteの推しアルゴリズム」では、推奨コンテンツの優先順位として、次の点が明言されています。

1. 人間による生の一次情報・体験の記録・作品

2. 自身の一次情報を、AIを“ツールとして”編集・構成したもの

3. ユニークなAI自動生成記事

4. 新規性のない大量生成記事

これはAIを否定するものではなく、「独自性」「体験性」「検証可能性」を重視するnoteの姿勢を端的に示しています。
また、Forbes JAPANが報じた調査記事「最新調査が示す真実:AI技術よりも「人間力」が高業績チームを生む」では、「AIスキルが高い人材」よりも、「共感力・傾聴力・信頼構築力に長けた人材」がいるチームのほうが、業績が高いという結果が紹介されています。(出典:Forbes JAPAN)

さらに、私が関わった事例のひとつに、保育園を運営する法人の代表が、AIを活用した新たな取り組みについてnoteやPodcastで発信したケースがあります。内容は決して派手さはありませんでしたが、現場での気づきや工夫を丁寧に言葉にした発信でした。
その結果、記事や音声をきっかけにセミナーや講演の依頼が増え、社外からの認知や信頼が着実に広がっていったのです。
一次情報や人間的な気づきは、共感を生み、メディアや読者の記憶に残る「関係性を育てる広報」につながります。

「完璧なリリース」より「舞台裏」が刺さる時代

広報の現場では、つい「完成度の高いストーリー」や「整った情報発信」を目指しがちです。しかし、読者やメディアの関心は、必ずしも“完成品”そのものにあるとは限りません。
たとえば、あるスタートアップ企業では、資金調達リリースと同時に、代表者がnoteで「調達に至るまでの葛藤や裏側」を綴った記事を公開しました。その結果、リリース単体よりもnote記事への共感やSNSでの拡散が大きく広がり、取材依頼のきっかけにもなりました。

また別の企業では、新制度導入や新メニュー開発に至るまでの社内議論や失敗談を、社内報ブログとして外部にも公開しました。「そこまで見せてくれるのか」という驚きとともに、企業姿勢への好意的な反応が多く寄せられたといいます。
こうした“舞台裏”や“人の迷い”が垣間見えるコンテンツは、企業の温度感や誠実さを、雄弁に伝えるのです。

“顔が見える”広報を実現する3つのアクション

「顔が見える広報」は、決して難しいものではありません。少し視点を変えるだけで、実践できます。

1. noteなどで“中の人”が語る体験コラムを発信する
経営者の失敗談や担当者の気づきなど、「人としてのリアル」を大切にする。

2. プレスリリースと併せて“メイキング記事”を用意する
背景や裏話、感情の動きを伝えることで、情報に奥行きを持たせる。

3. 社内報やSlack/Chatworkなどのやりとりを再編集し、外部に公開する
社内のリアルな議論や意思決定プロセスは、企業文化を伝える貴重な資産になる。

いずれも共通しているのは、“整った文章”よりも、“語る人の存在”を届けることを重視している点です。

「人が語る広報」は、これからの差別化の武器になる

生成AIは、今後も広報実務の効率化に欠かせない存在になるでしょう。構成整理や要約、誤字脱字チェックなどは、むしろAIに任せたほうがよい場面も増えていきます。
その一方で、「この言葉は、誰が、どんな想いで語っているのか」が、これまで以上に問われる時代になりました。情報の量や正確さだけでなく、“その会社らしさ”や“人の熱量”が、メディアにも読者にも強く響くようになっています。

広報とは、単に情報を伝える仕事ではなく、「関係性を築く仕事」です。その関係性は、共感と信頼によって育まれます。そして、それらは最終的に“人の言葉”によってしか生まれません、AIではできない大切な業務がここにあります。
情報が飽和する2026年だからこそ、「人が語る広報」は企業の明確な差別化ポイントになります。あなたの会社の広報は、いま“誰の言葉”で語られているでしょうか。

AI時代にこそ、“人間”のPRパーソンとして生きる意味とは?

2025年10月29日
株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】カープマニア
【これまで担当した業界】IT、自動車、食品メーカー、飲料メーカー、自治体、
            医療、家電メーカー、レジャー施設、金融、教育、他多数
【趣味】高校野球、広島カープ、川崎フロンターレ、ハワイ
【プチ自慢】両利き。お箸も野球もサッカーも、手足を左右同レベルで扱えます

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