【元TVディレクターが考える】「オールドメディアの衰退」問題とPRの今後

2025年に入り、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌といった従来型のメディアである「オールドメディア」の影響力が大きく低下しています。

昨年7月に元TVディレクターの目線から「テレビは本当にオワコンになってしまったのか?」というコラムを書きましたが、それからわずか半年間で、まさかここまでテレビが苦境に立たされるとは思ってもいませんでした。

そこで今回は、加速する脱オールドメディアの流れとPRの今後について考えてみたいと思います。

オールドメディアの影響力低下とその背景

オールドメディアとは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といった、従来型の一方向的なメディアを指します。
これらのメディアは、企業やブランドがPR活動を行う上で最も重要なツールでした。

特にテレビや新聞は、圧倒的なリーチ数と影響力を誇り、多くの企業がこれらのメディアを通じてPR・広報活動を行ってきました。この記事をご覧になっている皆さんもテレビや新聞で取り上げられるために日々奮闘していることと思います。

もちろんこれらのメディアが、PRにおいて重要であることは今でも変わりがないのですが、テレビの視聴率や新聞の発行部数の低下、相次ぐ雑誌の廃刊などの現状を考えると、その影響力が以前に比べて下がっていることは間違いないように思います。

その背景には以下のような要因があると言われています。

(1)インターネットの普及

インターネットが一般家庭に普及したのは90年代後半から00年代にかけてのことですが、これにより私たちは、世界中のあらゆるニュースや知りたい情報にすぐにアクセスできるようになりました。

わざわざ新聞の朝刊で前日に起きたニュースをチェックしたり、決まった時間にだけ放送されるニュース番組を見なくても、パソコンやスマホを開けば好きな時に好きな情報を得ることができます。

(2)SNSの台頭

X、Instagram、Facebook、TikTokなどのSNSは、人々のコミュニケーションの在り方を劇的に変化させました。
顔や名前も知らない世界中の人々と交流したり、情報をシェアする手段としても大きな役割を果たしています。

またメディアに頼らずとも、誰もが自分で情報を発信することが可能になりました。
これによって個人で大きな影響力を持つインフルエンサーが登場したり、企業も積極的にSNSを活用するなど、PRの面でも大きな変化をもたらしています。

(3)動画配信サービスの登場

テレビ離れの一番の要因となっているのが、YouTubeやNetflix、Amazon Prime Videoなどの動画配信サービスの登場ではないでしょうか。

数年前までは、暇があればテレビをつけて、限られた放送中の番組から一番面白そうな番組を見るというのがごく普通でしたが、今では限りないコンテンツの中から、好きな動画を好きな時に好きなだけ見ることが可能になりました。

今では若者だけでなく、小さな子供からお年寄りまでほとんどの人が何かしらの動画配信サービスを利用しています。
これによりPR活動も一方向的な放送や掲載の形式に頼ることなく、消費者の「選択」に応じた戦略を練る必要性が高まっています。

オールドメディアとSNSの対立構造が顕著に

最近ではインターネットやSNSを開くたびに「オールドメディアの衰退」や「SNSの勝利」などのワードを目にするようになりました。
しかし、オールドメディアの評価を下げる言葉がどこか一人歩きしているようにも感じます。

「オールドメディアの衰退とSNSの台頭」というと、昨年の東京都知事選や兵庫県知事選をきっかけに大きな話題になりましたが、その際に議論になったのが、メディアの偏向報道です。

「メディアは一部の候補者ばかり取り上げている」
「メディアは特定の候補者のマイナス面ばかりを報じていて公平ではない」

といった意見がインターネットやSNSによって広がり、オールドメディア悪であり、SNSが正義であるかのような空気感が一気に作り出されました。

「本当にメディアは偏向報道ばかりなのか?」
「そもそも何をもって偏向報道とするのか?」

というのはセンシティブな問題なので偏ったことは言えませんが、少なくとも一方的にどちらが悪でどちらが正義であるという簡単な話ではないと思います。

SNS上にもフェイクニュースはたくさんありますし、SNSは情報がすぐに拡散されるため利用者が簡単に影響を受けやすいという側面もあります。
つまりは、「オールドメディア」と「SNS」、どちらにも正しい情報もあれば間違った情報もある。
どちらが悪いと安易に決めつけるのではなく、何が正しいのか自分で判断する力を養うことが重要なのではないでしょうか?

PRについても同様です。
どちらにもそれぞれの強みや弱みがあります。
以前に比べて影響力が低下したとしても、テレビや新聞がPRにおいて重要であることは変わりありません。

オールドメディアとSNSをうまく組み合わせて、より効果的なPR活動を展開することが成功への第一歩になるのだと思います。

【元TVディレクターが考える】テレビは本当にオワコンになってしまったのか?

2024年7月9日
株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】 ナイトウォーカー
【これまで担当した業界】 食品・飲料・医療・美容・自治体関連・出版社
【趣味】 夜の散歩、温泉めぐり
<個人的おすすめ温泉BEST3>
1、宝川温泉(群馬) 川沿いの絶景露天、紅葉や雪の時期が最高です
2、ほったらかし温泉(山梨) 眼下に甲府盆地が広がり富士山も見えます
3、西の河原温泉(群馬) 山に囲まれた日本有数の巨大露天風呂です
【プチ自慢】
テレビディレクター時代に、レオナルド・ディカプリオやミラ・ジョヴォヴィッチなどハリウッドスターのインタビュー取材をしたこと

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