【最新版】自社のメディアリレーションを最大化させる!メディアリスト作成術

企業の認知度向上やブランディングにおいて、メディアへの情報発信の中核を担うプレスリリースですが、「時間と労力をかけて配信したのに、全く記事にならない」「メディアからの反応がまったくない」といった悩みを抱える広報担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、最新のトレンドを踏まえ、成果につながるメディアリストの作成術から、AIやツールを活用した最先端のノウハウ、そしてリストを超えた”関係性づくり”の視点まで、網羅的に解説します。

① せっかくプレスリリースを出しても、反応がないのはなんで?

プレスリリースの反応がない最も大きな原因は、「送るべき相手に、適切な形で情報が届いていない」ことにあります。多くのメディア関係者は、毎日何百通ものプレスリリースを受け取っています。その中で、自社の情報に目を通してもらうためには、いくつかの障壁を乗り越えなければなりません。
よくある失敗例としては、以下のようなケースが挙げられます。

1. 一斉送信された「自分宛て」ではないメール

宛名が「編集部御中」や「ご担当者様」となっているメールは、自分に関係のない情報だと判断され、開封されずに削除される可能性が高くなります。

2. 媒体の専門性と情報がミスマッチ

例えば、ビジネス誌の記者にエンタメ情報を送っても、記事になる可能性は低いでしょう。読者層や媒体のテーマと、提供する情報が合致していなければ、見向きもされません。

3. 担当者がすでに異動・退職している

メディア業界は人の入れ替わりが激しく、数ヶ月前に作成したリストでは、担当者がすでに変わっているケースも珍しくありません。宛先不明でメールが返ってくる、あるいは別の担当者のもとで埋もれてしまう結果になります。

これらの問題はすべて、メディアリストの「質」に起因します。ただ連絡先を並べただけのリストではなく、戦略的に作り込まれたリストこそが、情報発信の成否を分けるのです。

➁ なぜ今「メディアリスト」を見直すべきなのか。

「リストが重要なのはわかったが、なぜ“今”見直す必要があるのか?」その理由は、メディア業界の急激な変化にあります。

第一に、メディアの多様化が挙げられます
従来のテレビ、新聞、雑誌に加え、Webメディアは細分化・専門化が進み、影響力のある個人のインフルエンサーやYouTuberも情報発信の担い手として無視できない存在です。これらの新しいメディアをリストに加えなければ、大きな機会損失につながります。

第二に、前述の通り、人の流動性が非常に高いことです
記者の異動やフリーランスへの転身、編集部の統廃合は日常茶飯事です。古いリストを使い続けることは、貴重な情報を誰にも届けることなく、空振りし続けるのと同じです。
メディアを取り巻く環境が激変する今、メディアリストは単なる「連絡先一覧」から、「戦略的なメディアリレーションの設計図」へとその役割を進化させる必要があります。
どの媒体の、どの担当者に、どのような情報を、いつ提供するのか。その戦略を描くための土台として、常に最新で、かつ深い情報が盛り込まれたメディアリストが不可欠なのです。定期的なメンテナンスを怠ることは、広報活動の生命線を自ら断ち切る行為に他なりません。

③ 最新版メディアリストの基本構成と必須項目

では、成果につながるメディアリストには、どのような項目が必要なのでしょうか。ExcelやGoogleスプレッドシートで作成することを基本に、最新版として必須となる項目をご紹介します。

【基本構成と必須項目】

1. 媒体情報
・媒体名/会社名: 正式名称を記載します。

・媒体種別: テレビ、新聞、雑誌、Webメディア、ラジオ、SNSなど。

・URL: 媒体の公式サイトや主要なSNSアカウント。

・専門分野/カテゴリ: IT、経済、ライフスタイル、美容など、媒体の得意領域。

2. 担当者情報
・部署/役職: 編集部名や役職。

・氏名: 最も重要な項目。必ずフルネームで。

・メールアドレス/電話番号: 個別の連絡先。

・SNSアカウント: X(旧Twitter)やFacebookなど。
         記者の興味関心を知る上で重要です。

3. 媒体特性
・読者/視聴者層: 年齢、性別、興味関心など。

・発行部数/PV数: 影響力の指標となります。

・過去の掲載実績(自社/競合): どのような切り口で記事化されたかを記録します。

4. リレーション情報
最終接触日: いつ連絡したか。

接触履歴: メール、電話、面会などの経緯を具体的に記録します。
        (例:「2025/7/15 〇〇の件でメール。前向きな返信あり」)

担当者の関心事/メモ: 過去の会話や記事、SNS投稿からわかる個人的な関心事や趣味、性格などをメモします。(例:「猫好き」「○○に関心が高い」など)

特に重要なのが「リレーション情報」です。
この項目を充実させることで、パーソナライズされたアプローチが可能になり、その他大勢からのプレスリリースに埋もれることがなくなります。
中でも担当者の関心事に関しては、他の社員から情報発信をする際にも、有益になりますので、社内共有のためにも記載したい内容になります。

④ 最新トレンド!AIとツールで変わる「メディアリスト作成」

手作業でのリスト作成・管理には限界があります。これからの広報活動では、AIや各種ツールを積極的に活用し、効率と質を飛躍的に向上させることがトレンドです。

1. AIによる情報収集の自動化

従来は手作業で行っていた、自社に関連する記事を書いている記者を探す作業も、AIを活用することで効率化できます。特定のキーワードやテーマを指定するだけで、関連性の高い記事とそれを執筆した記者をリストアップしてくれるサービスが登場しています。
これにより、アプローチすべきメディア関係者を網羅的かつ迅速に発見できます。Googleのスプレッドシートでは拡張機能でこの情報収集を簡単にするツールもいくつかございますので、ぜひ調べてみてはいかがでしょうか。

2. メディアデータベースの活用

プレスリリース配信サービス(例:PR TIMES、@Pressなど)が提供するメディアリストや、より専門的なPR効果測定ツール(例:PR Analyzerなど)を活用するのも有効です。これらのデータベースは、媒体情報や担当者情報が定期的に更新されるため、常に鮮度の高いリストを維持できます。自社でゼロから構築する手間を大幅に削減できるでしょう。

3. CRM/SFAツールでのリスト管理

顧客管理に使われるCRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援)ツールを、メディアリスト管理に応用する企業も増えています。接触履歴や担当者ごとの情報をチーム全体で共有/可視化できるため、属人化を防ぎ、戦略的なリレーション構築を組織的に進めることができます。
以前までは、手作業で一苦労だったメディアリストの作成・管理も、このようにAIやツールの発達によって、効率的に行えるようになりました。

⑤ リストだけでは足りない?“関係性づくり”の視点

最後に、最も重要なことをお伝えします。それは、どれだけ精巧なメディアリストを作成しても、それだけでは不十分だということです。リストはあくまで「手段」であり、目的はメディア関係者との良好な「関係性づくり」にあります。

リストに載っているのは、単なる名前や連絡先ではありません。一人ひとりの個性や興味を持った「人」です。一斉送信のプレスリリースだけでなく、時には下記のような個別のアプローチが心を動かします。

・担当者の過去記事を読み込み、感想を添えて情報提供する。

・プレスリリースを送る前に、「〇〇のテーマにご関心はありますか?」と一本の電話やメールで探りを入れる。

・SNSで有益な投稿に「いいね」やコメントをする。

自社の情報を一方的に送る「プッシュ型」のコミュニケーションだけでなく、相手にとって有益な情報を提供したり、業界の動向について意見交換したりする「ギブ・アンド・テイク」の精神が、長期的な信頼関係を築きます。普段はメールや電話で簡素になってしまっている担当者とのコミュニケーションですが、定期的に直接会う機会を設けることも重要と言えます。

質の高いメディアリストは、その一人ひとりに合わせた最適なコミュニケーションを行うための、いわば「虎の巻」です。リストを育て、活用し、その先にいる「人」との関係を深めていくこと。それこそが、これからの未来において、自社のメディアリレーションを最大化させる唯一の道と言えるでしょう。

株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】青いライオン
【これまで担当した業界】出版、士業
【趣味】サッカー観戦(代表戦、プレミアリーグ)、サウナ、お笑い
【プチ自慢】わんこそば102杯食べたことあります

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