ひとり広報とは、企業の広報・PR業務を主に1人で担う働き方です。営業や総務、人事などと兼務する「兼任広報」も含め、限られた人員で幅広い業務を担当するケースがあります。
「プレスリリースを書いて配信するだけなら、ほかの仕事と兼務できるのではないか」「広報担当者を置いたのに、なかなか成果が出ない」。こうした疑問を持つ経営者もいるかもしれません。
しかし、広報・PRの仕事は、文章の作成やメディアへの連絡だけではありません。情報収集、企画立案、社内調整、取材対応、効果測定など、多くの工程から成り立っています。
特に、経営者や各部門との連携体制がないまま、広報担当者だけに成果を求めても、十分な活動を継続することは難しくなります。
この記事では、PRマガジンで紹介してきたPRコンサルタントの実務経験を踏まえ、ひとり広報・兼任広報が抱えやすい課題と、経営者が実行できる7つの支援策を具体的に解説します。
この記事の目次
- ひとり広報・兼任広報とは?
- なぜひとり広報・兼任広報は大変なのか?
- 1. 広報はプレスリリースを書くことだけではない
- 2. メディアリレーションには継続的な準備が必要
- 3. 社内の情報収集と調整に時間がかかる
- 4. 成果がすぐに数字に表れるとは限らない
- 広報担当者の主な仕事内容を整理する
- 経営者ができる7つの支援策
- 1. 広報活動の目的と優先順位を明確にする
- 2. 広報担当者の業務時間を確保する
- 3. 各部門から情報が集まる仕組みをつくる
- 4. 経営者自身が広報活動に関与する
- 5. 取材対応と社内承認のルールを整える
- 6. 活動量だけでなく成果と改善を評価する
- 7. 必要に応じて外部のPR専門家を活用する
- ひとり広報の業務を減らすには?優先順位の決め方
- 生成AIはひとり広報の負担軽減に役立つ?
- 広報担当者に必要な「敏感力」と「鈍感力」
- ひとり広報・兼任広報に関するよくある質問
- Q1. ひとり広報でも成果を出せますか?
- Q2. 広報は営業や総務と兼務できますか?
- Q3. 広報担当者は何人必要ですか?
- Q4. 広報の成果は何を基準に評価すべきですか?
- Q5. PR会社に依頼すれば社内広報担当者は不要になりますか?
- まとめ|広報の成果は担当者個人ではなく組織の体制で決まる
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ひとり広報・兼任広報とは?
ひとり広報とは、広報業務を主に1人で担当する体制です。専任の場合もあれば、人事、総務、営業、マーケティングなどの仕事と兼務する場合もあります。
一方、兼任広報とは、広報以外の業務も担当しながらPR活動を行う働き方を指します。
両者は重なることがありますが、必ずしも同じ意味ではありません。
| 体制 | 特徴 | 主な課題 |
|---|---|---|
| ひとり広報(専任) | 広報を主業務として1人で担当 | 業務範囲の広さ、属人化、相談相手の不足 |
| 兼任広報 | ほかの業務と並行して広報を担当 | 時間の不足、業務優先度の衝突 |
| ひとり兼任広報 | 1人で複数業務を兼ねながら広報を担当 | 業務負荷が集中し、継続的な活動が難しい |
| 広報チーム | 複数名で担当業務を分担 | 役割分担や情報共有の設計が必要 |
ひとり広報が必ずしも悪いわけではありません。企業の規模や活動目的に応じて、1人で効率的に運営できる場合もあります。
ただし、担当者の人数に対して業務範囲が広すぎる場合は、体制の見直しが必要です。
なぜひとり広報・兼任広報は大変なのか?
1. 広報はプレスリリースを書くことだけではない
広報業務の中で、比較的イメージしやすいのがプレスリリースの作成と配信です。
しかし、プレスリリースを1本作るにも、実際には多くの準備が必要になります。
- 社内から新しい情報を収集する
- 業界や社会の動向を調査する
- ニュースとしての価値を検討する
- タイトルや構成を考える
- 事実関係や数値を確認する
- 社内の承認を得る
- 媒体に適した形で情報を提供する
- 必要に応じて取材を調整する
- 活動結果を確認し、次の施策に活かす
PRマガジンの元記事でも、プレスリリースを書くことは広報業務全体の一部分にすぎず、その前後に多くの実務が存在すると説明しています。
つまり、プレスリリースを作成した本数だけで、広報担当者の仕事量や成果を判断することはできません。
2. メディアリレーションには継続的な準備が必要
新聞・テレビ・雑誌・Webメディアなどへの情報提供も、単にメールを送れば終わる仕事ではありません。
媒体の編集方針、記者の担当分野、過去の記事などを調べ、自社の情報と関連性の高い相手を見極めます。
そのためには、メディアリストの作成・更新や、過去の提案履歴の管理が必要です。
また、記者や編集者には、それぞれの締め切りや取材予定があります。相手の都合を尊重しながら、必要なタイミングで情報を届けることが重要です。
元記事では、こうした地道な媒体研究や担当者探しに、多くの時間がかかることを実務経験から説明しています。
3. 社内の情報収集と調整に時間がかかる
広報の仕事は、メディアとのやり取りだけではありません。社内とのコミュニケーションも重要です。
企業内には、新商品の開発、顧客の声、社員の取り組み、経営者の考えなど、広報につながる情報が存在します。
ただし、情報が自動的に広報担当者へ集まるとは限りません。
広報担当者自身が会議に参加したり、各部門へヒアリングしたりして、発信できる情報を探す必要があります。
さらに、取材が決まれば、取材対象者のスケジュール調整、資料準備、事実確認なども発生します。
広報担当者が社内外をつなぐ役割を担っていることを、経営者や各部門が理解する必要があります。
4. 成果がすぐに数字に表れるとは限らない
広報活動は、広告のように一定の予算を投じれば露出枠を確保できるとは限りません。
メディア掲載は編集部側の判断によるため、企画を提案しても採用されないことがあります。
また、企業への信頼、専門家としての認知、採用候補者からの評価などは、短期間の掲載件数だけでは測れない場合があります。
そのため、成果の評価方法を決めずに「今月は何件掲載されたのか」だけを求めると、広報担当者が本来取り組むべき活動から離れてしまう可能性があります。
広報担当者の主な仕事内容を整理する
ひとり広報の業務負荷を適切に判断するためには、まず実際の仕事内容を把握することが重要です。
| 業務分野 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 戦略・計画 | 広報の目的設定、年間計画、重点テーマの決定 |
| 情報収集 | 社内ヒアリング、業界調査、ニュース調査 |
| コンテンツ制作 | プレスリリース、企画書、Web記事、SNS原稿 |
| メディア対応 | メディアリスト管理、企画提案、取材調整 |
| 社内調整 | 経営者・担当部署との情報共有、承認・確認 |
| 効果測定 | 掲載内容、指名検索、問い合わせなどの確認 |
| その他 | 社内広報、採用広報、危機管理広報など |
すべての企業で、これらすべてを同じ頻度で実施する必要はありません。
事業課題に応じて優先順位を決め、担当者が実行できる範囲に業務を絞ることが重要です。
経営者ができる7つの支援策
ひとり広報・兼任広報の成果を高めるためには、担当者個人の努力だけに頼らない体制づくりが欠かせません。
1. 広報活動の目的と優先順位を明確にする
最初に、広報によって何を実現したいのかを経営者と共有します。
例えば、企業の認知度向上、経営者のブランディング、採用活動の強化、新商品の認知拡大など、目的によって施策は変わります。
限られた時間の中で活動する場合は、すべてを同時に進めようとせず、優先順位を決めましょう。
2. 広報担当者の業務時間を確保する
兼任広報では、ほかの部署の仕事が優先され、広報活動が後回しになりがちです。
経営者や管理職は、どの程度の時間を広報に使えるのかを確認し、活動計画を現実的なものにする必要があります。
例えば、毎週の広報業務時間を確保し、緊急性の低い依頼が割り込まないようにする方法があります。
担当者が実行できる時間と、求める成果が釣り合っているかを確認しましょう。
3. 各部門から情報が集まる仕組みをつくる
広報担当者が社内の情報を一人で探し続ける状態は、効率的とはいえません。
営業、開発、人事、経営企画などの各部門から、定期的に情報を集める仕組みを整えましょう。
例えば、社内会議での広報共有時間、情報提供フォーム、チャットでの情報共有などが考えられます。
情報を共有する項目は、新しい取り組み、顧客の変化、社員の工夫、調査データ、経営者の考えなどです。
4. 経営者自身が広報活動に関与する
経営者の考えや企業の方向性は、PR戦略を考えるうえで重要な情報です。
広報担当者に仕事を任せきりにするのではなく、経営者自身が事業の課題、成長戦略、社会に伝えたいメッセージを共有しましょう。
例えば、月1回の広報ミーティングを設け、重点テーマや施策の優先順位を確認する方法があります。
経営者の意思決定が必要な事項を早期に確認することも、広報業務の効率化につながります。
5. 取材対応と社内承認のルールを整える
メディアから取材依頼が届いたとき、社内の確認に時間がかかると、機会を逃す可能性があります。
取材対応者、承認者、確認が必要な情報、緊急時の連絡方法などを、あらかじめ整理しておきましょう。
一方で、スピードを優先するあまり、事実確認や重要な承認を省略してはいけません。
正確性と対応速度の両立を目指すことが重要です。
6. 活動量だけでなく成果と改善を評価する
広報活動の評価は、プレスリリースの本数やメディアへの連絡件数だけで判断しないことが重要です。
事業の目的に応じて、適切な指標を設定しましょう。
| 目的 | 確認する指標の例 |
|---|---|
| 認知度向上 | 関連媒体への掲載、指名検索、認知調査 |
| 信頼形成 | 記事内容、重要メッセージの掲載、ブランド認識 |
| 経営者のブランディング | 専門家としての取材・寄稿、講演・相談機会 |
| 問い合わせ獲得 | Webサイトへの流入、資料請求、問い合わせ |
| 採用広報 | 採用サイトへの流入、応募者の認知経路 |
こうした指標を定期的に確認し、成果が出なかった施策についても、原因と次の改善策を検討します。
7. 必要に応じて外部のPR専門家を活用する
社内のリソースや専門知識が不足する場合は、PR会社や外部の広報専門家に一部の業務を依頼する方法があります。
例えば、PR戦略の設計、メディア向け企画の立案、メディアリレーション、社員への広報研修などです。
すべてを外部へ任せるのではなく、社内で担う業務と外部へ依頼する業務を整理しましょう。
経営判断や社内情報の収集は企業側が担い、専門性や追加の人手が必要な業務を外部と協力して進める形が考えられます。
ひとり広報の業務を減らすには?優先順位の決め方
ひとり広報では、すべての業務を同じ水準で実施することは難しい場合があります。
そのため、業務を次の3つに分ける方法が有効です。
| 区分 | 判断基準 | 具体例 |
|---|---|---|
| A:優先する業務 | 経営目標との関連性が高い | 重点商品のPR、重要な取材対応、経営者発信 |
| B:効率化する業務 | 定型化や分担が可能 | 掲載記録、レポート作成、情報収集の補助 |
| C:見直す業務 | 目的が曖昧で成果との関係が弱い | 慣習的に続けている報告、目的不明の制作物 |
この分類は運用例であり、すべての企業に共通する基準ではありません。
まず現在の業務を一覧化し、目的、必要な時間、成果との関連性を確認することから始めましょう。
生成AIはひとり広報の負担軽減に役立つ?
生成AIは、広報担当者の業務を支援する手段の一つです。
例えば、記事や調査資料の要約、プレスリリースの構成案、企画のたたき台、議事録の整理などに利用できます。
ただし、AIが生成した内容には、事実と異なる情報や、根拠を確認できない記述が含まれる場合があります。
特に、企業の実績、統計データ、人物名、メディア関係者の所属先などは、信頼できる情報源で確認する必要があります。
また、未公開の商品情報、社外秘の経営情報、個人情報などを入力する際は、利用するAIサービスの契約条件と社内の情報管理ルールを確認してください。
AIは広報担当者の判断を置き換えるものではなく、調査や制作の一部を効率化するための補助ツールとして活用することが重要です。
広報担当者に必要な「敏感力」と「鈍感力」
PRマガジンの元記事では、広報担当者に求められる資質として「敏感力」と「鈍感力」という考え方を紹介しています。
これは、PRコンサルタントが実務経験から示した見解です。
敏感力とは、世の中のトレンド、メディアの関心、社内の変化などに気づく力です。
一方、鈍感力とは、企画が採用されなかったり、情報提供への反応がなかったりしても、過度に落ち込まず、改善を重ねていく姿勢を意味します。
ただし、相手の都合を無視して連絡を続けることとは異なります。
社会や社内の変化には敏感でありながら、短期的な結果だけに一喜一憂せず、継続的に改善できることが広報担当者に求められます。
ひとり広報・兼任広報に関するよくある質問
Q1. ひとり広報でも成果を出せますか?
可能性はあります。ただし、広報の目的、業務範囲、社内の協力体制によって難易度は異なります。限られた時間で成果を目指す場合は、重要な活動に絞り、経営者や各部門の協力を得ることが重要です。
Q2. 広報は営業や総務と兼務できますか?
兼務自体は可能です。ただし、担当する広報業務が多い場合、十分な時間を確保できず、活動が停滞することがあります。兼務する場合は、業務範囲と優先順位、広報に使う時間を明確にしましょう。
Q3. 広報担当者は何人必要ですか?
企業規模だけで必要人数は決まりません。広報の目的、対象事業の数、取材対応の頻度、制作するコンテンツ、危機管理の必要性などによって変わります。まず業務量を整理し、必要な体制を検討してください。
Q4. 広報の成果は何を基準に評価すべきですか?
認知度向上、企業の信頼形成、採用力の強化、問い合わせ獲得など、目的に応じた指標を設定することが重要です。メディア掲載件数だけではなく、記事内容や事業への貢献も確認しましょう。
Q5. PR会社に依頼すれば社内広報担当者は不要になりますか?
必ずしもそうではありません。PR会社が企画やメディア対応を支援する場合でも、社内の情報収集、経営判断、事実確認などには企業側の協力が必要です。役割を分担しながら進めることが基本です。
まとめ|広報の成果は担当者個人ではなく組織の体制で決まる
ひとり広報・兼任広報が抱える課題は、担当者の能力や努力だけで解決できるものではありません。
広報は、プレスリリース制作やメディア対応だけでなく、社内外の情報収集、企画立案、調整、成果の検証まで担う仕事です。
経営者は、広報の目的を明確にし、必要な業務時間と情報共有の仕組みを整え、担当者が活動しやすい環境をつくることが重要です。
必要に応じて外部のPR専門家の知見も活用しながら、自社に適した広報体制を構築しましょう。
広報は、会社の情報を外部に発信するだけでなく、経営戦略と社会との接点をつくる仕事です。経営者と広報担当者が同じ目的を共有することが、継続的な成果につながります。
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【ニックネーム】 おみみにアニマル
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