PRの役割とは?

こんにちは。
10月も下旬となり、過ごしやすい気候になりましたね。
急に気温が下がることもありますので、体調にお気をつけください。
さて、2009年も残すところあと2ヶ月となりました。
読者の中には、来年度予算の検討を始められた方もいらっしゃるでしょうか。
景気の先行きが不透明な中、コストを削減するため、
PRの予算削減を検討される企業もあるかもしれません。
確かに、PRの予算を削減したとしても、
短期的に経営や営業には目に見える影響は生まれないでしょう。
しかしながら、PRでなければ実現できないこと、
PRで行った方が効率的にできることもあります。
PR予算を検討する際には、それらの「PRの役割」について
きちんと認識しているかどうかが重要になります。
そこで、今日のメルマガでは改めて、
「PRの役割」について考えてみたいと思います。
なお、ここでは商品の販売促進を目的としたPRについて扱うこととし、
リスクマネジメントを目的としたPRについては省略します。
PRの役割は、主に次の3つに分類できるのではないでしょうか。
(1)企業・商品のブランドを構築する
(2)広告・宣伝と相乗効果を発揮する
(3)広告・宣伝よりも効果的に訴求する
それぞれについて解説します。


PRの3つの役割について説明します。
(1)企業・商品のブランドを構築する
多くの商品やサービス分野において、
価格面や機能面で競合他社との差別化を図ることは難しくなってきました。
そこで、企業のブランド力で差別化を図る戦略が重要となります。
企業・商品のブランドを構築するのは、PRが得意とする領域です。
世界的に著名なマーケティング戦略家のアル・ライズは著書の中で、
次のように述べています。
「ブランドが誕生するのは広告ではなく、パブリシティによってである。」
(『ブランディング22の法則』東急エージェンシー)
企業の理念や姿勢、商品やサービスの特徴が
マスコミに好意的に紹介されたなら、ブランド力が高まる効果があります。
そして、継続的にマスコミに取り上げられることによって、
そのブランド力は持続し、強固なものとなります。
(2)広告・宣伝と相乗効果を発揮する
ご存じのとおり、昨今は広告の効果が従来よりも低下したと言われています。
単純にある商品の広告を出稿しても、
ターゲットを「使ってみよう」という気持ちにさせることができないのです。
そこで、その商品に関する「文脈」を提供することが大事です。
「文脈」というのは、例えば「メタボリック症候群」が典型的な例です。
2008年4月から始まった特定健診制度の中で、メタボリック症候群の
該当者の割合が高い企業には罰則が科せられることとなり、
従業員にとっては人事査定にも影響する可能性が指摘されました。
それは、「ヘルシア緑茶」や「ビリーズ・ブートキャンプ」のような
ダイエット関連商品の販売促進にとって効果的な文脈となりました。
効果的な「文脈」がマスコミによって提供されたなら、
ターゲットはその時点で関心を持ちます。
その後に行う広告・宣伝の反応は格段に大きくなります。
商品を手にとったり、Webサイトを訪問したりして愛着を高めてもらい、
ひいては「使ってみよう」という気持ちにさせることができます。
(3)広告・宣伝よりも効果的に訴求する
広告では効果的に訴求できない場合もあります。
コモディティ市場には競合他社がひしめいており、
莫大な費用をかけない限りターゲットに認知してもらうことは困難です。
そのような場合にPRは効果を発揮します。
その成功例はH&Mです。日本第一号店は昨年9月に銀座に開店しました。
ところが、H&Mはあまり広告には頼りませんでした。
その代わりに、H&Mは日本進出以前から多くのマスコミで報道されました。
開店当日は数千人が行列を作ったこともマスコミに報道され、
その波及効果は大きく、今のようなブランド構築に繋がりました。
仮にH&Mが広告に頼っていたとしたらどうでしょう。
以前はH&Mを知っている日本人はほとんどいませんでした。
ブランドを構築するためには、莫大な広告費が必要になったかもしれません。
以上、PRの3つの役割について説明しました。
これらのPRの効果が発揮されるまでには、半年~数年の期間が必要です。
その意味でPR予算は、単年度の「費用」というよりは、
「投資的」なものとして捉えるべき費用だと考えています。
不況で予算削減の圧力が高まっていることは、逆にいえば、
PR、広告・宣伝の最適なあり方を見極める絶好の機会でもあります。
上記の「PRの役割」について認識した上で、
PRの予算を検討していただきたいものです。

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