こんにちは。
昨日(10月29日)の日本経済新聞朝刊11面に、このような記事が掲載されていました。
『「対戦ゲーム=「eスポーツ」 プロ化計画が始動
準備委発足 12月に「日韓戦」開催』
「eスポーツ」とは「Electronic Sports」の略で、ゲームをスポーツのような競技として楽しむことです。
この記事によれば、eスポーツを本格的に普及させるための組織「日本eスポーツ協会設立準備委員会(委員長=西村康稔衆院議員)」が発足され、12月にはじめての「日韓戦」を開催するということです。
eスポーツの大会は海外でも盛んに開かれており、企業からのスポンサーを受けてプロとして活躍する人も大勢います。
ゲーム先進国の韓国には約240人のプロゲーマーが11のプロチームに所属しているそうです。年間百回以上の大会が開催され、年間60万人以上の観客が集まり、賞金総額は約6億6千万円に達するそうです。
一方、日本のeスポーツは出遅れています。
2005年にはSIGUMA氏が日本人初のプロゲーマーとなっていますが、これまでeスポーツを統括する団体もありませんでした。そこで、今回この記事のような動きとなったわけです。
ところで、準備委員会の事務局を務めるのは大手広告代理店の電通です。
広告代理店は、昨今のメディア環境の変化によるマス広告低迷の影響を受けると指摘されてきました。準備委員会設立に電通が動くのは、マス広告の代替市場の一つとして、ゲーム広告市場を視野に入れている表れと見ることができそうです。なお、ゲーム広告とは、ゲームの中で視聴者に訴求する広告のことです。
電通も注目するそのゲーム広告。なぜゲーム広告が注目されているのか。
次の3点に整理してみました。
1.消費者に訴求できる
日本の実態とは異なるかもしれませんが、米国では、ゲーマーは週に平均6.2時間ゲームをしており、その時間はテレビ・ネットワークの7.9時間に迫ると言われています。(出所)『テレビCM崩壊』(翔泳社)P.141、IDCの調査
米国では、テレビを自動的に録画して、好きな番組を好きな時間に見るというスタイルが定着しつつあり、CMがスキップされるため、CMの訴求効果が激減しています。
同じような状況が、地上波デジタル放送を控えた日本でもいずれ起こることでしょう。
そこで、消費者が長い時間をかけて楽しむゲームというメディアが注目されるのです。
2.成長が見込まれる
2006年度のゲーム広告の市場は、全世界で6億9200万ドル(830億円)、米国で3億4600万ドル(415億円)以上に達しており、5年後の2011年には、全世界で3倍の1938万ドル(2325億円)に成長すると見込まれています。
(出所)e Marketer http://www.emarketer.com/Article.aspx?id=1004739
C-NET Japan http://news.www.infoseek.co.jp/ 2007年10月29日
一方、2006年の国内のゲーム広告市場は3~5億円程度、米国の100分の1程度に過ぎないとされています。裏を返せば、国内のゲーム広告市場は成長の余地が十分あることになります。
3.訴求効果が高い
ゲーム広告の種類としては、次のようなものが考えられます。
(1)ダウンロード画面などに広告を表示させる
(2)ゲーム内の広告枠
例えばゲームの世界の中にある看板、乗り物、衣類などです。スポーツゲームでは、スタジアムにスポンサー広告がある方がリアルだとユーザーから喜ばれる傾向があります。
(3)プロダクトプレイスメント
ゲームの中に商品やサービスを登場させる。
特に、(3)のプロダクトプレイスメントは、ゲームの特徴を生かすことができ、高い効果があると注目されています。
ゲームは、ユーザーがその独特の世界を体験をすることが特徴です。その世界観にマッチした体験を提供できる広告は、ゲームの印象とともにユーザーに強く印象付けられます。
例えば、広告したい自動車をゲーム内の移動手段として提供する、広告したい歌手の曲をゲーム内で流す、といったことです。
定量的なデータは入手していませんが、ユーザーは知らないうちに広告された商品を印象付けられ、購買してるかもしれません。
このような点から、ゲーム広告が注目を集めていると考えられます。PRやマーケティングに携わる方は、これからのゲーム市場は見過ごせない存在だと思います。
さて、今回はゲーム広告のことをご紹介しましたが、実を言えば、私も今までこの世界のことをよく存じていませんでした。(中学生まではそこそこのゲーマーだったんですけどね。)
私も今後、ゲーム市場の動向を気にしていきたいと思います。
コメントを残す