【決定版】メディア露出につながるプレスリリースの書き方

広報・PR活動を行ううえで、非常に重要なスキルのひとつが「プレスリリースの書き方」です。プレスリリースとは新聞・雑誌・TV番組・Web媒体などのメディア向けに発信する報道資料のことで、この資料の出来によってどれぐらいニュースや話題になるかが決まる言っても過言ではないほど重要な位置づけを占めます。そこで、本記事では効果的なプレスリリースの書き方について解説します。

効果的なプレスリリースの書き方

プレスリリースはパンフレットやチラシなどのような販促物ではない
効果的なプレスリリースをメディアに対して発信できるようになると、メディアやSNSなどで紹介され、クチコミ・拡散を生み出すことができます。結果として、予算をかけずして会社や商品・サービスの知名度が上がったり、採用力の強化につながることもあります。広告費の削減になることもあるでしょう。このようにプレスリリースにはさまざまなメリットが期待できます。記者に知ってもらわない限り、ニュースにはならないので、積極的に発信していきたいところです。大手企業でないと取り上げられないと勘違いしている方もいますが、企業の規模というよりはニュース性のほうが一般的には重要です。

ただ、さまざまなメリットが期待できる一方で、いくらプレスリリースをたくさん配信しても、全然取り上げられないと時間と労力の無駄という結果になってしまいます。
そこで、重要なことはプレスリリースを作成するにあたり、

・発信する目的を明確にする(認知度向上やブランドイメージなど)
・キーメッセージから照らし合わせて一貫性があるか
・ニュースバリューは十分にあるか
・発信するタイミング

などを検討することです。メディアの編集部には、毎日のように大量のプレスリリースがメールやFAXなどで届きます。そうした中で、ニュース性が十分ではないリリースを定期的に送ってしまうと、社名を見ただけで削除されたり、配信停止の依頼をされることにつながりかねません。メディアの人たちに目を通してもらうためにはいきなり書き始めず、プレスリリースで最も伝えたい内容は何かを決めたうえで作成にとりかかりましょう。プレスリリースの文章量はA4用紙で1~2枚程度に収め、多くても4枚以内で簡潔にまとめましょう。重要なことは1枚目にまとめ、補足的な情報は2枚目以降に記載します。

全体を通しての注意点としては、プレスリリースはパンフレットやチラシなどのような販促物ではないので、客観的な事実(ファクト)を簡潔に書くということです。意見や推量などの主観的な情報は書かないとともに、複雑な言い回しや婉曲的な表現、余計な修飾語は避けましょう。また、Web媒体などではプレスリリースの文章が引用されてそのまま記事になることもあるので、正確な情報を心がけましょう。

それでは、具体的なプレスリリースの書き方について紹介していきます。まずプレスリリースには基本的な型があります。この型に合わせて、作成しましょう。

プレスリリースの基本的な型

プレスリリースの基本的な型

①ヘッダー

ヘッダーには配信する日時や会社名、会社のロゴ、報道関係各位または媒体名などを記載します。これは毎回のリリースで共通するものなので、自社のブランドイメージに合ったデザインにしましょう。

②メインタイトル/サブタイトル

プレスリリースを作成するうえで最も重要なのがこのタイトルの部分です。これを見て、記者はその後の文章を読むかどうかを決めます。とにかく少しでも目を引くインパクトのあるタイトルにしましょう。一般的には、タイトルは1本だけでなく、メインタイトルとサブタイトルの2本で構成します。
「メインタイトル」はニュースの中身そのものを付け、「サブタイトル」で固有名詞などの基本情報を押さえます。よくある間違いがメインとサブのタイトルを反対につけてしまう人が多いということです。たとえば、野球の試合の記事を例にとりましょう。

正しくはメインタイトルには「巨人がホームランでサヨナラ勝ち!」、サブタイトルには「巨人対阪神戦」などのようにつけますが、商品・サービス名やイベント名などの固有名詞の情報をメインタイトルにつけてしまう失敗をする人が多いのです。ところが、固有名詞の情報だけでは有名なブランドや社名を除けば、メディアの人たちの目を引くことは難しく、発表する中身そのものをメインに記載する必要があるということです。初心者の方は意識していないとよく間違えてしまうポイントですので、覚えておきましょう。

プレスリリースをメールで送付する場合には、このタイトル部分とメールの件名が大きく連動する形となって開封率にも大きな影響を与えますので、件名も意識して記載しましょう。魅力的なタイトルをつけるコツとしては、下記のような要素を盛り込めると目を引きやすいと言えます。

・季節性のあるキーワード
・トレンド性のあるキーワード
・数字
・世界初、日本初、業界初
・社会問題の解決
・急増
・対比、カテゴリ
・ノウハウ (~の仕方)
・意外性のあること
・男女関係、家族、子ども、健康、美容などの普遍的な要素

なお、タイトルを上手につける効果的なトレーニング方法としては、新聞記事(電子版も)などのニュースでどのようなタイトルがつけられているのかを毎日注意深く見ることをお勧めしたいと思います。

③リード文

リード文は3~5行で、「最も伝えたい発表内容」の要約を書きます。言いたいことがたくさんあっても、一つに絞ることが重要です。中心的な発表内容は一つのプレスリリースには一つだけという原則があります。また、発信する主体者には組織名の後に(  )で代表者名や所在地を記載することが一般的です。

④内容

本文で最も重要なのは、逆ピラミッドの順で書いていくということです。学校の授業では「起承転結」で書くように言われますが、報道の世界では重要な順番で書いていくのが基本的なルールです。多くの記者は1枚目だけで2枚目以降を読むかどうかを判断しますので、1枚目に重要なポイントをすべて盛り込み、補足的な情報を2枚目以降に回すことが大切です。

内容としては、5W2H(いつ・誰が・どこで・何を・なぜ・どのように・価格)や人数、量など、必要なデータを盛り込みます。「思い」以外はできるだけ形容詞を使わず、客観的な事実だけを書きましょう。たとえば、数量については「多い・少ない」ではなく、具体的な数を書くということです。また、箇条書きや図表、写真を使って、なるべくビジュアル的に読みやすくしましょう。文字だらけですと、なかなか読みたいという気にはなりにくいものです。これら以外に忘れてはならないポイントが発表の概要だけでなく、それに至った社会的な背景や開発のストーリーなども盛り込むことです。

なお、注意点としては下記のようなことに留意しましょう。

・誤解を招く表現は使用しない
・不確かな情報は入れない
・専門用語を使う場合は、必ず注釈を入れ説明をする
・他社のデータ等を活用する際は、出展元を明記する
・数字や名称は正確に
・文章は「ですます調」で統一
・宣伝臭のする文言を排除して客観的な表記を心掛ける
・画像を挿入する際は、ある程度の大きさのものを入れる

⑤フッター

フッターには会社名、部署、担当者名、電話、FAX、メールなどのコンタクト情報を記載します。理想としては、プレスリリースの1枚目だけでなく、全ページに共通して記載してあるほうが連絡先がすぐに見つかるので望ましいです。

以上、プレスリリースの基本的な型を紹介しましたので、こちらを参考に書いてみてください。なお、プレスリリースでニュースになりやすいテーマとしては、以下の7つが挙げられます。

①組織および人事関係
②財務関係
③事業関係
④商品・サービス関係
⑤販売促進関係
⑥行事・イベント
⑦地域社会との関連

これらのテーマの中で、発信できることがないかを絶えずさまざまな部署と連携してネタを探しましょう。

まとめ

プレスリリースまとめ
いかがでしたでしょうか。プレスリリースを書く上で重要なポイントを紹介させて頂きましたが、共通して重要なことは、「メディア目線」で考えることです。主観的にならず、メディアの人が見た時どう思うか?を常に考えて作成できれば、メディアの方の興味をひきやすいプレスリリースに仕上がります。

また、メディア目線を養うためには、メディアが発信している内容を勉強することも欠かせません。全国紙ではどのような記事が出ているのか、テレビでの報道のされ方、webや専門媒体であればどんな記事が出ているのかなどを把握したうえで、自社が取材されるとしたらどのような取材内容になるのかを事前に想定し、プレスリリースを作成することが重要です。

PR会社コミュニケーションデザイン代表

玉木剛(たまき・つよし)
PR会社コミュニケーションデザイン代表。これまで300社以上の中堅・大手・外資企業、100名以上の専門家のPR業務を手掛ける。
書籍プロデュース300冊以上。同志社大学文学部卒業。TOEIC915点。