広報って、なんて大変な仕事なの(涙)…「社長!広報は片手間ではできません!!」

未経験からPRコンサルタントとして、広報PRの世界に片足を突っ込んだ時は、想像以上に頭も体力もコミュニケーション能力も必要で、自分の無能さを痛感する日々。「もうダメだ…」と何度思ったことか。

でも、有難い?ことに、やらなくてはいけない仕事は次から次へたくさんくるし、広報PRの経験を積むチャンスもたくさんやってくる。それをこなすことだけに全力投球していたら、いつの間にか15年も経ち、自分でもビックリするくらい長く続けてこれました。(笑)

そして、その間に様々な業界の企業広報さんとたくさんお仕事をさせていただき、広報の方々の声を代弁したのが今回のタイトルです。

「広報って、なんて大変な仕事なの(涙)…『社長!広報は片手間ではできません!!』」

以下に当てはまる方は、是非読み進めていただけますと幸いです。

★これから、会社に広報を置こうとしている経営者
★会社の広報が上手くいっていないと感じる経営者
★広報になりたい、あるいはこれからなろうとしている方
★広報PRの大変さについて共感したい現・広報の方

ひとり広報なのに、兼務も多いのはなぜ?

広報PRが社内に一人しかいないケースは非常に多いです。特にベンチャー企業や中小企業では、かなりの確率でひとりです。

なぜでしょう?

それは、恐らく経営陣が広報を直接売上に結びつかない間接部門と認識しているからではないかと思います。だから、“成果がでるまで”“キャパシティが限界になるまで”、最小限の人数、つまり広報は一人しか置けないという判断になるのではないでしょうか。

でも、広報専任でひとりならまだ良いのかもしれません。営業やカスタマーサポートなど、他の業務も兼務しながら広報もひとりの社員に任せていることも少なくありません。

そうすると、キャパシティはすぐいっぱいになるのに、広報だけに注力することもできないので、成果がなかなか出せず、広報を増員できないという悪循環になってしまうことも少なくありません。
そうすると、広報としては、タイトル通りの叫びになるのです。

広報経験者しかわからない~広報PR業務の実態

広報PRを経験していない方にその業務の全貌をお伝えするためにも、広報PRの業務を細かくリストアップしたいところですが、残念ながらできません。

なぜなら、企業や広報PRの目的によって、業務内容が全く異なるからです。
例えば、一番わかりやすい「プレスリリースを書いて配信する」という業務は、広報PRにおいて、枝葉のさらに葉先くらいの位置づけです。

この一番わかりやすい業務を例に、広報PRの業務がどれくらい地道で、時間のかかるものか、解説したいと思います。

①メディアに3秒で捨てられるプレスリリースをいかに生存させられるか

まず、プレスリリースは配信することが目的ではありません。メディアの方に見てもらい、取材や掲載につなげることが大きな目的です。

その為には、事前のリサーチにもたくさんの時間を使います。
日本初・世界初といった画期的な商品やサービスであれば、それ自体がニュースになりますが、そんなニュースは年1回あるかないかではないでしょうか?だから、広報はネタにバリューを付けるため、世の中が関心を持っていること(=メディアが興味を持っていること)は何か等をリサーチします。

日々、メディアに目を通すことはもちろんですが、その他にも必要に応じ統計や政府の動向など、様々な情報に目を通します。

そして、プレスリリースを構成する材料を集めたら、次は最も伝えたいことを整理し、プレスリリースのタイトルを熟考します。ここにはとても時間をかけます。なぜ?って、プレスリリースは送ってもタイトルでメディアに興味を持ってもらえなかったら3秒で捨てられてしまう資料だからです。

 (リリースは、メディアに見てもらうだけではなく、HP等にも掲載することで、一般の方やステークホルダーに情報を届ける役割もありますが、ここではメディアに取材してもらうことに限って話します)

つまり、商品やサービスなど、社内から上がってきた情報を紙にまとめるだけが、広報PRの仕事ではないのです。

②営業マインドで挑むメディアリレーション

広報PRの中でも多くの時間を使うのがメディアリレーション業務です。
「プレスリリースを送ったので、見ておいてください!」とメディアに連絡する業務ではありません。

日頃から、媒体分析というメディアのリサーチが欠かせません。どんな媒体があるのかはもちろん、どういった内容を取り上げ、どういったコーナーがあるのかを把握しておきます。一回やったら終わりではなく、常にし続ける必要があります。

そして、情報リーチや取材の確度を高めるために「誰」が情報を届ける相手として最適か、常に記事や報道に目を通し、署名記事やコーナーを見つけて、アプローチ先をストックしていきます。コロナ禍でメディアもリモート勤務が増え、担当部署に電話して記者につないでもらうことが難しくなっていることから、担当者探しはこれまで以上に重要な業務になっています。

ここまでの業務は日常的に行い、「メディアリスト」というものを常にバージョンアップさせ、プレスリリースの内容に応じ、最適なメディアへプレスリリースを届けます。

その後、やっと電話や個別メール等でのアプローチを始めます。
でも、ここからが更に時間を使うのです。

メディアの方たちは本当に忙しい。こちらが都合の良い時に電話やメールをしても、不在や返信がないことはざら。一回目で電話がつながったら奇跡!すぐにメールを返してくれたら神!!みたいな感覚です。

だから、なんとかコンタクトを取るため、一つのメディアに何度も連絡をすることも。

PULLではなく、PUSHで取材が取れるというのは、企業広報のこれだけの労力の上に成り立っていると知っていただけると広報も報われます。

③社内コミュニケーションで常にネタを収集

取材の獲得までが広報の仕事ではありません。社内での取材調整に始まり、取材に同席し取材対応者から伝えきれていないことがあれば補足し、記事や報道がより良いものになるよう尽力します。そして、掲載・放送されるまで記者等のフォローを行い、掲載・放送後はすぐに確認&社内への共有を行います。

もちろん、取材の調整だけが、社内コミュニケーションではありません。

毎月のように商品やサービスに関するネタが出てくる企業もあるかもしれませんが、そうじゃない企業のほうが圧倒的に多いと思います。“ネタがないから情報発信しません”では、広報は務まりません。社内から新たなネタが上がってこなければ、時流や季節に合わせて社内からネタを集めて企画を作ります。でも、他の社員も常に事細かに情報を共有してくれるとは限りません。だから、社内チャットや会議に首を突っ込み、自ら情報を取りに行くという姿勢が不可欠です。
そこで、情報を入手し、顔を売り、結果を出して、皆が広報に相談するという循環が作れれば広報PR活動もやりやすくなります。

こうやって継続的な情報発信を続けるために社内コミュニケーションやネタ探しにも時間をかけます。

「プレスリリースを書いて発信する」という業務だけでも、これだけの業務の上に成り立っています。(しかも、これはダイジェスト版です)それにプラスし、HPに掲載する事例取材や記事執筆、社内報やSNS、IR、危機管理など企業によって様々な広報PR業務を担っています。

このように、広報PRをしっかりやろうとすると、ひとり広報や兼業広報では、かなり大変になってきます。

広報PRは「敏感力」と「鈍感力」の使い分けが必要!

では、広報にはどんな人材が向いているのか?
社内から広報を新たに選出、あるいは増員を検討されている方の中には、そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。

一言でいうなら、“「敏感力」と必要な時に発動できる「鈍感力」を持ち合わせている人”でしょうか。(あくまで個人的な見解です)

世の中のトレンドやメディア、社内の情報には「敏感」で、メディアアプローチや社員を広報に巻き込む時にはある程度「鈍感力」を持って挑める。これまでたくさんの企業広報さんと出会ってきましたが、そんな方々は活躍されています。

広報未経験でも、営業やサービス職を経験されている方は、順応するのも早い印象です。

経営者として、広報をどう捉え、どうサポートするか

誤解されやすいですが、広報PRは「メディア露出屋さん」ではありません。
企業のビジョンや経営戦略を実現するために、あらゆるコミュニケーションをデザインしていく仕事です。その中の一つに「メディア露出」によるステークホルダーへの情報発信があります。

是非、経営者は広報と密にコミュニケーションを取り、
・何を実現したいか
・誰にどういったメッセージを伝えていきたいか
を共有してください。

広報は、お客様や関係者、社員などステークホルダーごとに、どういった手法で何を伝えていくべきか戦略を練り実行します。コミュニケーションをデザインすることで、会社が実現したい未来を一緒に作り上げる存在です。

また、メディアという客観的な目線で、自社の商品やサービスについてフィードバックをくれる方々と広報は密にやり取りをする存在でもあります。そのフィードバックは企業の現状把握や今後の企業戦略にも役立つものが多いと言えます。広報は会社とメディアの間に立ち客観的な視点を会社にフィードバックする存在でもあるので、是非広報の意見に耳を傾けてください。

企業によっては、客観的な目を持つ広報を、商品やサービスの開発段階から参加させているというところもあります。

広報PRを軌道に乗せるまで、広報PRのプロにサポートを依頼するという手も

広報PRの増員や専属にするのが難しいという企業もあると思います。
また、社内に広報PRの知見がなく、広報PRを育てることが会社としてもできないということもあるかもしれません。

そんな時は、PR会社やフリーランス広報に手伝ってもらうというのも一つの手だと思います。PR戦略など知見が必要な業務やメディアリレーションなどマンパワーが必要な業務をサポートしてもらうことで、企業広報は社内からの情報収集や社内調整に時間を費やすことができます。結果、会社として広報に求める成果を最短で出せるかもしれません。

企業の状況や課題に応じ、どういった体制で広報PRを進めるのがよいか、新年度を迎えるにあたり再検討されてみてはいかがでしょうか。

株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】 おみみにアニマル
【これまで担当した業界】 スポーツ、習い事、金融、化粧品、教育、食品、人材など
【趣味】 ものづくり! 何かを作っているときは集中力がMAXに★ 
【プチ自慢】 眠りたい!と思った瞬間にどこでも寝られること