危機だからこそ大事なコミュニケーション

こんにちは。
東北関東大震災の発生から10日以上が経ちました。
被災された皆さまに、心よりお見舞いを申しあげます。
皆さまの安全と、一日も早い復興をお祈り申しあげます。
さて、地震・津波の被害もさることながら、
東京電力福島第一原子力発電所の事故が、
発生から10日以上経っても予断を許さない状況です。
現場では命がけで放射能と戦い、事態を鎮静化させるために、
最大限の努力をしている方が多数いらっしゃると思います。
それらの方々には、本当に頭が下がる思いです。
刻々と状況が変わる中、また大変なプレッシャーの中で、
東京電力や原子力安全・保安院、政府の皆さまの努力も大変だと思います。
ただ、それだけ皆さんが頑張っている中で、PRパーソンとして
気になったのは、原発事故への対処をめぐるコミュニケーションのあり方です。
コミュニケーションのあり方を改善すると、
もっと国民の納得・支持を得られた可能性もあると考えております。
そこで今回は、危機だからこそ大切なコミュニケーションについて、
考えてみたいと思います。


それでは、原発事故への対処をめぐるコミュニケーションについて、
東京電力、原子力安全・保安院、政府の三者は、
どのような改善の可能性があったでしょうか。
(1)早めに発表する
3月12日午後15時36分に起きた福島第一原発1号機で爆発について、
政府がきちんとした説明をしたのは、
爆発から5時間が経過した20時40分頃の枝野官房長官の記者会見でした。
同日17時頃には、すでにテレビで爆発後の写真や、
爆発の瞬間の映像が放送されていました。
国民の多くは、3時間以上にわたって、この爆発が何だったのか、
健康に被害はないかどうか、不安に思っていたことになります。
そこで、可能であれば、爆発などの重大な事象が起こった際には、
まずは分かる範囲で「何らかの爆発が起こった。詳細は調査中。」
などと早めに報告し、詳しい原因や状況は後ほど説明することにしておく、
といった対処ができる余地があったかもしれません。
そうすることで、国民も「今は政府が調査中だから様子を見よう」と
少しでも不安を和らげることができたのではないでしょうか。
(2)根拠を説明する
例えば、1号機の爆発を受けて3月12日夜の枝野官房長官の記者会見では、
「具体的に危険が迫ることはないが、念のため、万全を期す観点から」
という理由で、避難指示範囲を半径20kmに広げることを発表しました。

万全を期しての避難は、危機的状況の中で大事なことだと思います。
避難指示の的確さについては、海外政府からも支持されていました。
ですが、住民の一部には「20kmの外にいる私たちは安全なのか」と
不安に思う声も聞かれました。
そこで、避難指示をする際に、合わせてその判断理由について、
丁寧に説明できれば、住民の納得を得やすかったのではないかと思います。
例えば「今後このような事象が予想され、その際は何km範囲にリスクが及びます。
そこで、この範囲の住民避難を決定しました」。
というように説明されると、住民も納得・安心しやすいのではないでしょうか。
(3)記者会見では国民を意識して説明する
東京電力や原子力安全・保安院、政府は、事態鎮静化の作業に追われる中で、
準備時間もほとんどなく、記者会見に望まれていることと推察します。
ただ、東京電力や原子力安全・保安院の記者会見には、
専門用語が多かったり、資料に沿った説明が中心だったりするため、
テレビ中継を見るだけでは、ついていけない部分が多かったです。
そこで、記者会見の際にはなるべく、その場にいる記者だけでなく、
テレビカメラの先にいる国民を意識して、
分かりやすい言葉で説明することが大事ではないでしょうか。
また、配布した資料もその場にいる記者だけが見るのではなく、
テレビに写すことで、国民も見ることができます。
このようにすれば、より国民に伝わる記者会見ができるかもしれません。
今後もしばらくは、現場では命がけの作業が続くかと思います。
彼らの献身を結実させるためにも、
東京電力、原子力安全・保安院、政府の三者には、
よりよいコミュニケーションにより、国民の安全を守る活躍を期待しております。

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