出版プロデュースの選び方|依頼前に確認したい7つのポイントと失敗例

PRマガジン 出版プロデュースの選び方 依頼前に確認したい7つのポイントと失敗例

「本を出したい」と考えて出版プロデュースの会社を調べ始めると、料金体系もサービス内容もばらばらで、どこに相談すればよいのか迷う方は少なくありません。実際に私たちのもとにも、「別の会社に出版プロデュースを頼んだら、思っていた方向性と違う本になった」というご相談が寄せられます。出版業界の仕組みを知らないまま、たまたま知り合った人に依頼して、期待とまったく違う結果になったという方も少なくありません。

出版プロデュースの選び方で最も大切なのは、料金の安さよりも「どんな出版を、何のために、どこまで支援してもらうのか」を依頼前にそろえておくことです。この記事では、累計400冊以上の出版プロデュースに携わってきたPR会社の立場から、依頼先のタイプの違い、契約前に確認したい7つのポイント、よくある失敗例を解説します。

出版プロデュースの選び方は「出版の目的」を決めることから始まる

出版プロデュースの依頼先を選ぶ前に、まず「本を出して何を実現したいのか」を言葉にしておく必要があります。目的によって、選ぶべき出版の形も、依頼先に求める支援の範囲も変わるからです。

経営者や専門家が出版する目的は、大きく分けると「専門分野での認知と信頼を高めたい」「メディア取材や講演の機会を増やしたい」「顧客や採用候補者に自社の考え方を伝えたい」の3つに整理できます。前の2つが目的であれば、全国の書店に並び、第三者である出版社が企画を認めた「商業出版」が向いています。一方、社内教育や顧客への配布が主な目的なら、費用を負担して内容を自由に決められる出版のほうが合う場合もあります。

目的を決めずに相談を始めると、提案された出版の形や金額が自分に合っているのかを判断できません。依頼先を比べる前に、「出版後の1年で、誰に、どう知られていたいか」を一文で書き出してみることをおすすめします。

出版プロデュースの依頼先は4タイプ。まず「誰が費用を負担する出版か」を確認する

出版プロデュースと呼ばれるサービスには、性格の異なるものが混在しています。依頼先を比べるときは、最初に「出版社が企画を審査して費用を負担する商業出版なのか、著者側が費用を負担する出版なのか」を確認すると、提案の中身を正しく比較できます。

依頼先のタイプ 主な特徴 向いている目的
商業出版の企画・提案を支援する会社 企画書を作り、出版社の編集者に提案する。採否は出版社が判断する 専門家としての認知・信頼を広く得たい
費用負担型の出版を手がける会社(企業出版など) 著者側が制作費などを負担し、内容や時期を調整しやすい 自社の考え方を顧客や社内に確実に届けたい
自費出版のサービス 著者が費用を負担し、少部数から出版できる 記録や配布物として本の形にしたい
出版前後のPRまで支援するPR会社 企画・出版社への提案に加え、出版後のメディア露出や発信まで設計する 出版を取材・講演・事業成果につなげたい
出版プロデュースの依頼先4タイプを示したマトリクス図。縦軸は費用負担(出版社/著者)、横軸は支援範囲(出版まで/出版後PRまで)で、商業出版の企画支援、PR会社(出版前後)、自費出版、企業出版の4つに分類している

注意したいのは、同じ「出版プロデュース」という言葉でも、提案の中身が商業出版ではなく費用負担型の出版であるケースがあることです。どちらが良い悪いではなく、自分の目的に合っているかどうかが判断基準になります。契約前に「この出版は、出版社が費用を負担する商業出版ですか」と一言確認するだけで、後の行き違いの多くは防げます。

一冊目の選択が、二冊目以降の出版を左右する

この選択は、一冊目の出版でとりわけ重要です。費用負担型の出版には、伝えたいことを自由に発信できるという大きな利点があり、事業に直結させることが目的なら十分に選択肢になります。ただ、一度費用負担型で本を出すと、出版社から「費用を払って本を出す著者」と見られやすくなります。出版社はプロですから、本の内容や体裁を見れば、どちらの形で出た本かはおおよそ分かるものです。その結果、次の本を相談しても、また費用負担型の出版を提案されることが多くなります。

さらに、出版社は書店の販売データを確認できるため、二冊目の企画を提案すると、一冊目の売れ行きを必ず見られます。一冊目の実績が芳しくないと、二冊目以降の出版のハードルは上がります。書店で大きく展開したい、知名度を上げたい、継続的に何冊も出していきたいという方には、多少の買い取りがあったとしても、一冊目から商業出版を目指すことをおすすめします。

契約前に確認したい7つのポイント

出版プロデュースの依頼先を比べるときは、次の7つを同じ質問で全社に確認すると、違いがはっきり見えてきます。

  1. 出版の形:商業出版か、著者側が費用を負担する出版か
  2. 費用の発生タイミング:着手時に払うのか、出版社の企画採用時に払う成功報酬なのか
  3. 費用以外の負担:出版社から一定部数の買い取りを条件にされる可能性や、ライター費の扱い
  4. 実績の中身:冊数だけでなく、出版社名、ジャンル、自分と近い分野の事例があるか
  5. 企画書の作り手と提案先:誰が企画書を作り、どの出版社・編集者に、どの順で提案するのか
  6. 不採用だった場合の対応:企画の見直しや別の出版社への再提案を、どこまで支援してもらえるか
  7. 出版後の支援範囲:メディアへの献本や取材提案、寄稿、SNSでの発信まで含まれるか

特に見落とされやすいのが、2と3の「お金がいつ、何に発生するか」です。商業出版では、出版社の編集会議で企画が採用された時点で報酬が発生する成功報酬型の契約もあります。また、出版社の判断で、著者が一定部数を買い取ることが出版の条件になる場合もあります。見積書の総額だけでなく、条件ごとに金額が変わる部分を書面で確認しておくと安心です。

4の実績については、累計の冊数が多いことは一つの目安になりますが、それだけでは十分ではありません。「自分と同じ分野の著者で、どの出版社から、どんな企画で出したのか」を具体的に聞くと、その会社が自分の企画を形にできるかを判断しやすくなります。

よくある失敗は「出版はできたのに、活用できない」こと

出版プロデュースでの失敗というと「出版できなかった」ことを想像しがちですが、私たちがご相談を受けるなかで多いのは、「本は出たのに、その後の仕事につながらなかった」というケースです。

例えば、ある経営コンサルタントの方は、大手企業の経営層からコンサルティングの依頼を得るために本を出しました。ところが、仕上がった本は内容が軽く、表紙やタイトルにも重厚感がなく、ビジネスパーソン全般に向けた一冊になっていました。商業出版だったため「なるべく売れる本に」という力が働き、著者の目的と出版社の方針のずれを調整しきれなかったのだと考えられます。

背景には、出版社と著者の利害の違いがあります。商業出版では、出版社は本がたくさん売れることで収益を得るため、著者のビジネスが伸びるかどうかは本来の関心事ではありません。一方、ビジネス書や実用書の著者の多くは、出版を通じて仕事を増やしたいと考えています。このずれを企画の段階で調整することが、出版プロデュースの大切な役割です。

よくあるつまずきは、次の3つです。

  • 本のテーマと読者が本業とずれていた:売れそうなテーマや幅広い読者を優先した結果、本業の顧客になる人に届かない
  • 一般論にとどまっていた:教科書的・概念的な内容だけで、読者が「この人に相談したい」と感じる具体的な実践の中身がない
  • 出版がゴールになっていた:発売日を迎えた時点で予算も時間も使い切り、書店やメディアに知られないまま店頭から消えてしまう

二つ目について補足すると、仕事につながる本にするには、読者が具体的に行動できる実用的な情報を載せることが大切です。ノウハウを出し惜しみする必要はあまりありません。本を読んで実行できる人もいれば、読んでも自分ではなかなか実行できない人もいて、後者の方が相談に来てくださるからです。もちろん本当の企業秘密まで書く必要はありませんが、ある程度は寛容に情報を出していくほうが、結果として仕事につながります。

これらはいずれも、依頼先を選ぶ段階で「出版後に何をするか」まで話し合っていれば避けられたものです。本は、出版されただけでは読者に見つけてもらえません。企画の段階から、出版後に誰へ、どのように届けるかを一緒に考えてくれる依頼先かどうかを確認しておきましょう。

出版後のPRまで設計できるかが、出版の成果を大きく左右する

出版を認知や事業の成果につなげられるかどうかは、出版前から出版後のPRまでを一続きで設計できるかで大きく変わります。書籍は、メディアにとって「この人は何の専門家か」を一目で伝えてくれる材料であり、取材や寄稿の提案の強い裏付けになるからです。

例えば、私たちが2019年頃に支援したある心理カウンセラーの著書では、発売に合わせて大手経済Webメディアに著者の記事が掲載されました。その記事がアクセスランキングの上位に入ったことで、Amazonの部門ランキングで1位になり、単著で10万部を超えるまでに育ちました。書籍の内容を、メディアの読者が今知りたい切り口に置き換えて提案したことが、売れ行きを押し上げたと考えています。

私自身も、著書『全部無料で宣伝してもらう、対マスコミPR術』と『なぜ、あの商品は大ヒットしたのか』を出版した際、書籍のプロモーションに力を入れました。オンライン書店に告知や見やすい位置への掲載をお願いし、全国紙の書評欄でも取り上げていただいた結果、本はよく売れ、企業や業界団体など全国各地から講演の依頼をいただくようになりました。これらの本がきっかけになった講演は、200件を超えると思います。本を読んだ方から、コンペなしで「この会社にお願いしたい」とご依頼をいただくことも増え、事業の面でも大きな効果がありました。

依頼先を選ぶときは、「出版後、最初の3カ月でどのメディアにどんな切り口で提案しますか」と聞いてみてください。この質問に具体的に答えられるかどうかで、出版後のPRまで見据えた支援ができる会社かを見分けられます。

出版プロデュースの選び方に関するよくある質問

Q1. 出版プロデュースの費用は、どのくらいかかりますか?

支援の範囲や契約の形によって大きく異なるため、一律の相場で判断するのは難しいのが実情です。金額を比べる前に、商業出版か費用負担型か、成功報酬か着手金か、買い取りやライター費が別にかかるかを確認すると、見積もりを正しく比べられます。

Q2. 執筆経験がなくても、商業出版を目指せますか?

目指せます。読者に役立つ専門知識や独自の経験があれば、ライターがヒアリングして原稿をまとめる方法もあります。大切なのは文章力よりも、「この人だから語れる」テーマを見つけることです。

Q3. 最初は自費出版で出して、次に商業出版を目指すのはありですか?

可能ではありますが、おすすめしにくい順番です。一度費用負担型で出版すると、出版社から次も費用負担型を提案されやすくなるうえ、一冊目の売れ行きも次の企画の判断材料になるからです。継続的に出版したいなら、一冊目から商業出版を目指すほうが近道です。

Q4. 出版プロデュース会社と、出版後の書籍PRは別々に頼むべきですか?

別々に頼むこともできますが、企画の段階から出版後のPRを見据えておくほうが、本の切り口や発売時期をメディアに提案しやすくなります。同じ依頼先で一貫して進められるかも、選ぶ際の判断材料の一つです。

まとめ|出版プロデュースは「出版後」まで見据えて選ぶ

出版プロデュースの依頼先を選ぶときは、次の4点を押さえておきましょう。

  • 依頼先を比べる前に、出版の目的を一文で書き出しておく
  • 「商業出版か費用負担型か」「お金がいつ、何に発生するか」を書面で確認する
  • 二冊目以降も見据えるなら、一冊目から商業出版を目指す
  • 出版後のPRまで具体的に提案できるかで、依頼先の力量を見極める

まずは、本を出したあとの1年で「誰に、どう知られていたいか」を書き出すところから始めてみてください。

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出版プロデュースの依頼先選びで迷うのは、多くの場合「本を出したあとに何を実現したいのか」がまだ言葉になっていないときです。目的が定まれば、選ぶべき出版の形も、必要な支援の範囲も自然と見えてきます。

私たちコミュニケーションデザインでは、出版の目的の整理から企画づくり、出版社への提案までを支援する出版プロデュースをご提供しています。出版後のメディア露出まで見据えた進め方もご提案しますので、出版を検討している段階でも、お問い合わせから現在のお考えをお聞かせください。

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