【危機管理広報】危機が起こったときにするべきコミュニケーションとは

ニュースを見ているとなかなか良いニュースが無いなあと思う今日この頃。広報に携わる人間として気になるのは企業で問題が起こった際の記者会見などの話題です。

SNSが日常の一部になって久しいですが、誰でもスマホからインターネットに意見を書き込めるようになったことで、大小さまざまな「炎上」が起こるようになりました。

自分の会社でそんな問題が起こったとき、広報は何を求められるのでしょうか。
今回は、「守りのPR」ともいえる危機管理広報について、今一度簡単に振り返ってみたいと思います。

もしも、あなたの会社に危機が起こったら?

そもそも危機とはなんでしょうか。SNSでの失言、ユーザーからのクレーム、商品の不具合、事故・事件など…、様々なことが考えられるでしょう。もしもあなたの会社に危機が起こったとしたら。考えたくもないですが、そんなときどう対応するべきでしょうか。

1つ1つステップを踏んでみていきましょう。

①対策本部の設置

企業に危機が訪れた際、まずは危機対策本部を設置します。
危機が起こったとき社内は混乱しているはずです、そこで対策本部に情報が全て集まるようにしていきます。対策本部と書きましたが、要するに誰が責任をもって実行するのかを決めることが1番大切です。

②事実関係の確認

次に事実関係を確認するために関係各所に連絡して情報を集めます。この際、現場に足を運ぶ必要があるかもしれません。この時に気を付けなければいけないのが、情報の隠蔽です。

危機とは「起こってはいけないことが起こってしまった」状態です。問題が起こったとき、包み隠さず情報共有が行われるのが一番ですが、悪いことが起こった現場では、つい小さな嘘をついたり、感情的な意見を報告したりしてしまうのが心情です。まずは何が起こったのか、正確な情報が対策本部に集められるようにします。

③ポジションペーパーの作成

集めた情報を元にポジションペーパー=公式見解を作成します。何が起こったのか事実関係を整理し、それに対して企業としてどう動くのかを資料にまとめていきます。その際、ポジションペーパーにはすべての情報を記載しましょう。記載された情報を元に、誰に何をどこまで伝えるのかを考えてプレスリリースやQ&Aを作成することになります。

ポジションペーパーを作成する際には「5W1H」(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのよう)を意識すると作成しやすいでしょう。

④窓口の一本化

起こった問題に関する情報の窓口を一本化します。折角ポジションペーパーを作ったにもかかわらず、企業の意図しない形で情報が漏れるのを避けるためです。

⑤プレスリリースの発表

ポジションペーパーでまとめた内容を元にプレスリリースを発表します。ここでやっと、ステークホルダーに対して情報を伝えることになります。プレスリリースの情報がそのままニュースになることを想定して、5W1Hを意識して作成しましょう。

危機の内容にもよりますが、初期報告・中間報告・最終報告と、時間を置いて複数のリリースを発行することもあります。その際、すべての情報をプレスリリースに記載する必要はありません。ポジションペーパーを元に、それぞれのステークホルダーに伝えるべき情報が伝わるようにしましょう。

⑥Q&Aの作成

発表したリリースに対して、各所から様々な質問が起こると考えられます。それに対するQ&A=想定問答集を作成します。

この時のポイントは「考えうるありとあらゆる質問を書き出す」ことにあります。記者はあらゆる質問で情報を引き出そうとするでしょう。中には思いもしないようなことを言われるかもしれません。そんな状況を想定しながら、社内であらゆる質問を書き出します。書き出した質問に対して、ポジションペーパーを元に回答を作成します。

また、危機についてお客様から社員に直接質問されることもあるでしょう。そんな時にどう答えるかもこのQ&Aを元に準備して社内で共有しましょう。

⑦記者会見の実施

個別のメディアからの問い合わせの対応だと間に合わない場合は記者会見を開き、広くメディアの方が取材できる場を設けます。その際、間違った情報やこちらの意図しない印象を与えないよう、メディアトレーニングを行いましょう。限られた時間しかないかもしれませんが、ぜひ短時間でも取り組んでみて欲しいです。少しでもメディアトレーニングを実施するのとしないのとでは、大きく差が出ることでしょう。

以上、危機が起こった場合の対応を振り返ってみましたがいかがでしたでしょうか。もちろん、事態によっては教科書通りにいかないことの方が多いですが、是非頭の片隅にこのプロセスを入れておいていただけると幸いです。

危機を未然に防ぐには

ここまで危機が起こった場合についてお話ししてきましたが、本当はそんなこと起こらないのが一番ですよね。最後に、危機=クライシスを未然に防ぐためにできることを簡単にご紹介します。

①リスクの洗い出し

企業活動では様々なリスクがありますよね。「ヒヤリ・ハット」で言われるような最悪人身事故に繋がるリスクもあれば、情報漏洩・パワハラ・セクハラなどのソフト面でのリスクもあるでしょう。まずは、考えられるリスクを全て書き出してみましょう。書き出したら、被害が大きくなりそうなものから順に整理しましょう。

②マニュアルの作成

そのリスクが実際に危機として起こった場合のマニュアルを作成します。危機が起こった場合、まずは誰に報告をするのか、早急に対応するために誰にどこまでの権限を与えるのか…などなど、資料としてのマニュアルも大事ですが、マニュアル作成の過程であらかじめ社内で「合意形成」しておくことが一番重要です。

③半年~1年に1度の見直し

マニュアルを作成したら、半年から1年に1度は見直しをしましょう。新たなリスクが生まれているかもしれませんし、逆に企業努力によってリスクが軽減されているかもしれません。

ピンチはチャンス

この情報化社会ではあらゆる問題が表面化する傾向にあります。
しかし、危機そのものが問題ではなく、その問題に対する企業の姿勢を世間は見ているように思います。昨今様々なマーケティング手法がありますが、起こったことに対して責任を果たすというシンプルなことが末永く愛される企業を創る一番の近道なのかもしれません。

株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】しいたけ君
【これまで担当した業界】食品、健康アプリ、美容など
【趣味】庭いじり、料理、旅行、占い
【プチ自慢】立ったまま寝れること