目に見えない『ブランディング』の客観性を補完する指標・3選

商品・サービスを展開する多くの企業が行っている「ブランディング」。今回はそもそも「ブランド」とは?といったところや、「ブランディング」の完成度の定量的な測定の仕方について扱おうと思います。

さて、そもそも「ブランド」とは何なのでしょうか?『ブランド戦略論』(田中洋:著、2017年)によれば、「ブランド」とは「交換の対象(=記憶の単位になっているものやコト)としての商品・企業・組織に関して顧客が持ちうる認知システム」と定義されています。

もう少し落とし込みますと、「商品やサービス」における「ブランド」とは、「商品購入について、購買行動時の優先順位を決定する際の、消費者がもつすべての記憶された参照情報」などと言い換えることが出来ます。

このような「ブランド」を強くする活動全般のことを「ブランディング」と呼びますが、「ブランディング」がどれほど完成しているかは、定量的に測定しづらいものになっています。
理由としては、「評判などといった目に見えないものが中心なので、効果が表れるまでに時間がかかる」「利用者の頭の中は見えない。また、そもそも利用者はブランド評価のヒアリングまでに付き合ってくれることが少ない」などといったことがあげられます。

それでは、これをどのように測定していくのか?その指標となるものを3つ紹介します。これらは、いわゆるKBI(Key Branding Indicator)と呼ばれるものです。

1.新規獲得コスト(CPA:Cost Per Aqcquisition)

これは、新たな利用者が出現するまでにかかる一人当たりの投下リソース(たとえば、費用や、時間・労力)のことです。言い換えれば、次期利用者が頭の中に「このカテゴリーの商品を選択するなら、コレが良い」という状態が生まれていることを示す指標です。

CPAが高ければ、新たな利用者の一人当たりの獲得にコストがかかってしまっており、継続するとだんだんと投下リソースの不足へと繋がってしまう、望ましく状態であるといえます。
これは、売れば売るほど儲からなくなる状態であり、いくら規模が大きくなっても問題は解決されず、このようなビジネスは瓦解すると言っても過言ではありません。

逆に、CPAが低ければ、それは新しいお客さんが自動的に入ってくる循環が出来ていることを意味します。口コミなどの評判により、新たな顧客を開拓している、「ありがたい状態」になっていると言えます。

2.生涯累積貢献(LTV:Life Time Value)

これは、すでに関係のできた利用者からの継続的な指示に貢献する指標です。
たとえば商品・サービスであれば、一定期間内に一人の消費者がリピートすることで得られる平均利益が該当します。崩して言うと、「これからもこのカテゴリーにおいてはコレを選択します」という状態が芽生えていることを示す指標です。

LTVが低い状態というのは、既存の利用者の一人当たりの継続的な利用が減り、徐々にコアの利用者がいなくなってしまっている、望ましくない状態です。
これは、商品・サービスに、価格に見合う魅力がないことの証と言ってもいいでしょう。

逆に、LTVが高い状態が意味することは、「既存の利用者とブランドの絆が深まっている状態」ということです。
次のブランド選択において、継続的に選ばれているのは、利用者の頭の中にあるブランドにおいて、比較的高い位置にいるということです。

3.第一再生記憶(TOM:Top Of Mind)

これは、頭の中のブランド選択時に高い優先度にある状況を把握する指標です。
言い換えると、利用者の頭の中にあるブランドが、選択時の第一シードになっている状況を測る指標のことです。「このカテゴリーを代表するブランドはコレです」が頭の中にあることを示しています。

通常、100人に聞いたカテゴリー内のTOMの数は100個です(すなわち、一人ひとつしかありません)。その中の自ブランドの数で、カテゴリー内の序列が分かります。TOMが弱いことが意味するのは、カテゴリー内の序列が低いことを意味します。

もし、自ブランドのTOMが相対的に最も多ければ、カテゴリー内での第一シードを獲得できている状態であり、望ましい状態であると言えます。

ただし、注意すべき点としては、TOMは広告などによる影響も無視できないということです。ブランドの想起はある程度はお金をかけることにより獲得できてしまいます。しかし、お金により指標を上げることは、前述したCPAを下げることに繋がりますので、こういったコストをかけないで、TOMが強くなっていくのが望ましいと言えます。

以上、ブランディングにおいて参照すべき指標を3つ紹介しました。
今回はKBIを紹介しましたが、これのマーケティングにおけるものがKPIとなります。こちらは、また別の機会で紹介するとしましょう。

ぜひ、上記3つのKBIを参考にして、ブランディング活動をより有意義なものにしてみてはいかがでしょうか。

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株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】らめにき
【これまで担当した業界】コンサルタント・健康・教育・DX・企業PR
【趣味】音楽鑑賞・野球観戦・バンド・ライブハウス・数学・ラーメン・カラオケ
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