箱根駅伝から学ぶ大学スポーツのPR戦略  ブランド価値を高める秘訣とは

毎年正月に開催される箱根駅伝は、もはやスポーツイベントの範疇を超え、お正月の国民的な目玉イベントと言っても過言ではありません。
当然、大学のブランド価値向上に大きく貢献しています。

今回は、大学スポーツが持つ影響力をPRとして活用する方法やその効果について、箱根駅伝の成功例からひも解いてみようと思います。

箱根駅伝がもたらす大学のブランド力強化

箱根駅伝は、大学のブランド価値向上において非常に大きな影響力を持っています。

具体的には、特に青山学院大学は、駅伝での圧倒的な強さと、原晋監督のメディア戦略を通じて、極めて効果的にその名を知らしめました。駅伝の舞台に登場すると各大学の名前が連呼されるため、箱根駅伝での活躍は大学のPRに役立っています。

今年は、中央大学の名門復活や立教大学の検討も話題となりました。
中央大学は伝統校の誇りを取り戻し、強豪校としての存在感を再び高めています。また、立教大学は長年の不出場から見事に駅伝の舞台へ復帰し、往路での躍進により存分に注目を集めました。

大学スポーツ/箱根駅伝 効果的なPR戦略

では、どのようなPR戦略が効果的なのでしょうか。まずは以下3点を挙げます。

① 選手のストーリー発信

選手一人ひとりの背景や努力の過程をストーリーとして伝えることで、視聴者の共感を呼びます。
大学の公式SNSやウェブサイトで選手のエピソードを積極的に発信することが効果的です。

② メディア露出の最大化

メディア露出を視野に入れた情報発信という点では、もし可能であれば、テレビ中継のみならず、新聞、雑誌、webメディアとの連携を意識し、日ごろから積極的に情報提供を行っていくことで、幅広いメディア露出につながることも可能になります。

③ SNSの活用

SNSの活用は大学スポーツのPRに不可欠になってきました。

青山学院大学は数年前から原晋監督による方針で「自分たちの言葉で伝えること」を重視し、SNS戦略を先行させてきました。当大学の選手の中には、特技のアナウンス技術を生かして選手の解説動画を投稿したり、他大学の主力選手と協力してインスタライブを開催したりと、積極的なファンコミュニケーションを行っているコンテンツが見られました。

國學院大学もSNSの活用に注力しており、「現地の応援以外でも、メッセージが励みになる」と語る選手もいるなど、SNSがチームや選手のモチベーション向上にも役立っていることが分かります。

また、中央学院大学は地道な投稿で数多くのフォロワーを獲得しており、クラウドファンディングでは600万円近くの寄付を集め、選手の強化合宿費用やシューズ購入費用に企てています。

その一方、駅伝強豪の駒澤大学のように、個人のSNS使用を制限する方針の大学もあるなど、今後、SNSの活用は年を追うごとに変動していくことが想定されます。

ブランド価値向上の要素が見られた大学

青山学院大学の箱根駅伝での成功は、大学ブランドの飛躍的向上の象徴ではないでしょうか。
同大学は、競技の結果のみならず、監督の名言や独自のトレーニング法などを効果的にメディアで発信し、知名度や人気を高めています。

予選を1秒差で突破した順天堂大学は「下剋上」をチームスローガンに臨みました。
歴史ある大学としての実績を強調しつつ予選からメンバーを大幅に入れ替え、本番で巻き返しを狙う姿勢が見られました。最後に7秒差でシードを逃したドラマチックな展開は大いに注目を集めました。来年の頑張りに期待する視聴者も多かったのではないかと思われます。

先に述べましたが、中央大学の復活劇も見逃せません。かつての強豪としての伝統を背景に、近年ではチーム強化に成功し、見事な成績を残しています。
有力な高校生のリクルートにも非常に効果的です。立教大学は昨年、創立150周年を迎えましたが、箱根駅伝でのシード権獲得を明言するなど、現在、学校を挙げた強化策・事業展開を進めています。今年、多くの注目を集めたことは、成功の大きな一歩と考えられます。

國學院大學や駒澤大学も安定した成績を残し続けることで、大学名の浸透に大きく貢献しています。さらに、城西大学や東京国際大学など、駅伝での活躍が目立つ大学も、他の競技ではあまり知られていないものの、箱根駅伝をきっかけにブランド力が高まっています。

その他、大学スポーツを通じたブランディングを成功させるためには、以下のポイントを押さえることも効果的なのではないかと考えます。

一貫性のあるメッセージ発信
大学の理念やビジョンを軸に、統一感のある発信を続ける。

SNSの積極活用
動画コンテンツやライブ配信などで、選手の日常や大会直前の様子を発信。

OB・OGの巻き込み
卒業生の活躍を紹介し、大学の伝統と実績を強調。

箱根駅伝のような大学スポーツイベントは、大学のブランド価値を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。

どうしても注目される大学は限られてしまいますが、青山学院大学のブランド力向上や、中央大学の復活劇、立教大学の躍進など、これらの成功事例から学び、適切なPRを実践することは、学校の持つ魅力が効果的に発信され、これからの少子化時代に向けた未来の学生獲得へとつながっていく、「PR成功例」と呼べるのではないでしょうか。

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株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】カープマニア
【これまで担当した業界】IT、自動車、食品メーカー、飲料メーカー、自治体、
            医療、家電メーカー、レジャー施設、金融、教育、他多数
【趣味】高校野球、広島カープ、川崎フロンターレ、ハワイ
【プチ自慢】両利き。お箸も野球もサッカーも、手足を左右同レベルで扱えます

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