秋は、広報担当者にとって意外とPRネタに悩みやすい時期です。新年度や年末商戦のような分かりやすい節目が少なく、新商品や大型発表がなければ「発信できる情報がない」と感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、PRネタは必ずしも新しい情報だけから生まれるものではありません。顧客事例や問い合わせ傾向、現場社員の声、過去のリリースなど、社内にはまだ十分に活用されていない素材が眠っている可能性があります。
本記事では、秋のPRネタ切れを防ぐために、広報担当者が見直したい社内素材の棚卸し方法と、それらをニュースとして発信できる形に編集するポイントを解説します。
秋はなぜ「発信することがない」と感じやすいのか
広報活動には、季節ごとに話題化しやすいタイミングがあります。たとえば春であれば新生活や新年度。夏であれば猛暑対策や夏休み商戦。冬であればクリスマスや年末商戦、受験、年度末に向けた動きなど、比較的分かりやすい切り口があります。
一方で、秋はPRネタに悩みやすい時期です。新商品や大型発表があれば話は別ですが、そうしたニュースがない場合、「今月は出せる情報がない」と判断してしまう広報担当者も少なくありません。
しかし、ここで注意したいのは、PRネタが本当にないのではなく、「新しい発表=PRネタ」という考え方に偏っている可能性があるということです。広報におけるニュース性は、新商品や新サービスだけで生まれるものではありません。既存の商品・サービス、顧客の変化、現場で起きている工夫、問い合わせの傾向なども、切り取り方次第でPR素材になります。
秋に広報活動が停滞しやすい企業ほど、まず見直すべきなのは「新しいネタを探すこと」ではなく、「すでに社内にある素材をどう発信可能な形に整理するか」です。
まず棚卸しすべきは、社内に眠る“未活用素材”
PRネタを探すとき、広報担当者はつい経営層や商品企画部門に「何か新しい発表はありませんか」と確認しがちです。もちろん、新商品や新サービスの情報は重要です。しかし、それだけに頼っていると、発表事項がない時期に広報活動が止まってしまいます。
そこで必要なのが、社内素材の棚卸しです。まず確認したいのは、顧客事例や導入実績です。どのような企業・生活者に選ばれているのか、導入前後でどのような変化があったのか、利用者からどのような声が寄せられているのか。こうした情報は、単なる実績紹介にとどまらず、社会の変化や生活者ニーズを示す材料になります。
次に注目したいのが、問い合わせ傾向やFAQです。営業やカスタマーサポートには、顧客が今どのようなことに悩み、何を知りたがっているのかが日々蓄積されています。たとえば「最近こんな質問が増えている」「以前とは相談内容が変わってきた」といった情報は、メディアにとっても世の中の関心を示すヒントになります。
また、現場社員の知見や工夫も重要な素材です。広報担当者から見ると当たり前に思える取り組みでも、外部から見れば新鮮なノウハウや企業姿勢として伝えられる可能性があります。製造、営業、採用、カスタマーサポートなど、各部門が日々蓄積している経験には、まだ言語化されていないPR資産が眠っています。
過去のプレスリリースや掲載記事も、再確認する価値があります。一度発信した情報であっても、季節や社会状況が変われば、別の切り口で再編集できる場合があります。過去の素材を「もう使った情報」として終わらせず、現在の文脈で見直すことが、秋のネタ切れ対策につながります。
社内素材を“ニュースの形”に編集する方法
社内素材を集めただけでは、まだPRネタにはなりません。重要なのは、それをメディアや読者にとって意味のある形に編集することです。社内向けの情報をそのまま発信しても、企業の宣伝に見えてしまい、ニュースとしては扱われにくくなります。
まず意識したいのは、素材を「変化」として見せることです。たとえば「問い合わせが多い」という情報も、「昨年より相談内容が変わっている」「特定の課題に関する問い合わせが増えている」と整理すれば、世の中の動きや生活者の変化を示す材料になります。メディアが関心を持ちやすいのは、単なる事実ではなく、その背景にある変化です。
次に、社内の当たり前を読者の疑問に置き換えることも有効です。企業の中では当然とされている取り組みでも、読者にとっては「なぜそうしているのか」「どのような効果があるのか」が気になるポイントになります。たとえば、現場で続けている小さな工夫も、「なぜ顧客満足度につながるのか」「なぜ離職防止に役立つのか」といった問いに変換することで、読み物としての価値が生まれます。
さらに、単発の情報で終わらせず、背景・傾向・対策まで広げることも大切です。商品やサービスの紹介だけでは宣伝色が強くなりがちですが、その背景にある社会課題や顧客ニーズを説明し、企業としてどのように対応しているのかまで整理すれば、取材や寄稿のテーマとして展開しやすくなります。
つまり、広報担当者に求められるのは、社内情報をそのまま外に出すことではなく、読者やメディアが関心を持てる文脈に編集することです。この「編集」の工程を挟むことで、社内に眠っていた素材は、秋に使えるPRネタへと変わっていきます。
7月中から始める秋PRの準備手順
秋のPRネタ切れを防ぐには、9月になってから動き出すのでは遅い場合があります。メディアへの提案、プレスリリースの準備、社内確認、取材調整などを考えると、7月中から素材の棚卸しを始めておくことが理想です。
まず行いたいのは、9月・10月に使えそうなテーマを3本程度洗い出すことです。最初から完成度の高い企画にする必要はありません。「問い合わせが増えているテーマ」「顧客事例として紹介できそうな案件」「現場の知見をノウハウ化できそうな話題」など、候補を広めに出しておくことが重要です。
合わせて、社内で確認すべき情報も早めに整理しておきましょう。数字として出せる実績、顧客名を出せるかどうか、担当者コメントの可否、写真素材の有無などは、発信直前になって確認すると時間がかかります。特にお盆前後は関係者の予定が合いにくくなるため、7月中に素材収集を進めておくと、8月以降の動きがスムーズになります。
秋のPR活動は、派手な新情報がなくても成立します。重要なのは、社内にある情報を丁寧に棚卸しし、メディアや読者にとって意味のある形に編集することです。発信することがないと感じたときこそ、社内に眠る素材を見直すタイミングです。7月中から準備を始めることで、9月・10月の広報活動に余裕を持って臨むことができます。
【ニックネーム】 ナイトウォーカー
【これまで担当した業界】 食品・飲料・医療・美容・自治体関連・出版社
【趣味】 夜の散歩、温泉めぐり
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テレビディレクター時代に、レオナルド・ディカプリオやミラ・ジョヴォヴィッチなどハリウッドスターのインタビュー取材をしたこと
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