新型コロナウイルスにより、多くの企業が打撃を受け、経費削減や売上増加を求められるシーンも増えているのではないでしょうか。
広報/PRは企業の持続的成長に欠かせない役割ですが、「コストセンター」と捉えられてしまうこともあります。そこで、今回は広報/PRが会社にとって「なくてはならない存在」になるために必要な視点や取り組みについてお話したいと思います。
この記事の目次
なぜ広報/PRがコストセンターと捉えられてしまうのか?
答えは明確で「経営者が広報/PRの効果性を感じられない」からです。
経営者は何かしらの効果を期待し、費用を投下します。
例)費用投下/営業の人材を増やす⇒期待すること/営業案件を増やし、売上を伸ばす
では、広報/PRで考えた場合はどうでしょうか?
1.認知向上
2.ブランディング
3.採用力向上
などをミッションに掲げているケースが多いと思います。
理由の一つとして、これら、特に1・2については、数値だけで効果性を判断するのが難しいことが挙げられます。
広報/PRとしては、多くのメディアに露出でき、認知向上やブランディングに貢献できたと感じていても、経営者としては、どの程度認知やブランディングに寄与しているのか、これらの露出が売上にどの程度貢献しているのか?という視点で判断していることも多く、そうなると「正直効果性がよくわからない」という結果になってしまうのです。
さらに言うと、昨今はSNSなどで広告を投下すると、非常に細かくその効果性がデータによって表されるようになったため、広報/PRに対してもより数値で結果を求められるようになったという声も聞かれるようになってきています。
二つ目の理由として考えられるのが、そもそも広報/PRのミッション(目的)をきちんと設定できていないまま、広報/PRの実務だけが進行していっているケースです。
景気が良い時は、特に問題視されることはありませんが、不況になると一気に見直しの対象部署になってしまいます。
どういった広報/PRであれば、なくてはならない存在になるのか?
これも答えは明確で
①会社の経営計画と連動した広報/PR活動をし
②会社の期待以上の結果を出せている
こういった広報/PRは、なくてはならない存在です。
会社の経営計画と連動した広報/PR活動
[会社の経営計画と連動した広報/PR活動]とは、会社の置かれている状況により課題や目標は違います。
・商品やサービスの売上を上げたい
・採用人数を増やしたい
・上場するための基盤を整えたい
とでは、広報/PRで何をすべきか、何ができるかも全く違います。
「商品やサービスの売上を上げたい」という場合、
・そもそもの認知が足りていないのか
・他の類似商品/サービスとの差別化ができていないのか
・企業としての信用力がネックになっているのか
…などが考えられます。
そもそもの認知が足りていないという場合、ターゲット層にリーチできる媒体への露出やSNSの運用等を中心に検討します。また、類似商品/サービスとの差別化ができず、マーケットニーズに対し、自社商品/サービスの売上が伸びていないという場合は、競合のリサーチから入り、自社の強みを明確にし、情報発信の際のキーメッセージを決めるというところから始める必要があるかもしれません。
その上で、ファクトシートなどを活用したアプローチで競合との比較記事を出していき、優位性を明かにしていくという手法も考えられます。
更に、企業としての信用力がネックになっている場合、商品やサービスの情報発信と並行し、社長のインタビュー記事獲得や社内のプロフェッショナルの連載や寄稿記事を獲得するといった企業PRを実施する必要もでてきます。
[採用人数を増やしたい]場合
対象が学生なのか、それとも社会人なのか、社会人でも未経験者でOKなのかスペシャリストを採用したいのかで広報/PRとしてのアプローチも変わってきます。
以前、私は新卒採用の母集団を増やしたい&ミスマッチを解消したいという課題解決のお手伝いをしました。
母集団を増やすためには「認知」が、ミスマッチを防ぐためには「発信する情報」が、そして入社を決める上では「信用力」が重要になってきます。
そこで、学生の間で話題になりそうな採用イベントやセミナーを企画[認知]、その後、企業が欲しい学生が好む内容のセミナーやイベントを実施[ミスマッチ防止]、そしてそれらの取り組み自体をメディアに露出させる[信用力]という戦略を立て、実行しました。
結果、母集団は前年度の約3倍、企業が欲しい人材を目標数以上に採用できました。
「上場するための基盤を整えたい」という場合
「信用力向上」「会社への期待値の向上」「危機管理」がポイントになってきます。
上場を目指す時期から遡り計画を立てる必要があります。
信用力や会社への期待値向上という観点では、ビジネス・経済誌(紙)で社長インタビューを獲得し、今後の事業展望などについての露出を増やしていくということも重要になります。
また、上場を目指す際に、広報/PRが着手しなくてはいけないのが「危機管理」です。
業種により、発生しうるリスクやその想定される程度はことなりますが、リスクへの対処フローやスポークスパーソンのトレーニングなどは早期から実施できるとベストです。
といったように、課題により広報/PRとしてのアプローチも全く異なってきますが、このように会社の課題や目標に対し、広報/PRもアクションを起こせているかというのが重要になってきます。
[会社の期待以上の結果を出す]というのはどういうことか
商品やサービスの売上が上がる、目標人数を採用できた、予定通り上場できたという結果はもちろんですが、プラスα『実感』という部分が大きいと思っています。
広報/PRのミッションとして、メディアへ露出させることは大前提と考えられていることが多いと思います。しかし、広報/PR以外の経営者や社員は、何にどの程度貢献してくれているのか、なかなか感じる機会がありません。なので、
・取引先や家族、友人などに「見たよ!」などの反響を直接もらう
・問い合わせが急増する
・メディア露出後、HPへのアクセスが伸び、サイトがダウンする
といった事象があると実感を持ちやすくなります。
通説「広報/PRは売上にコミットできない」にどう対峙するか
商品やサービスの売上は広報/PRだけで成り立つものではありませんし、メディア露出を確約できるものではないので、「〇〇メディアで放送してもらい、売上を〇億円アップさせます」とは言えないですよね。
根本的な課題は、広報/PRが売り上げにコミットできないのではなく、何にどう貢献できているかを示せていないことだと思います。
広報/PRの活動報告として、年間のメディア露出件数や広告換算額を報告するケース企業も多いと思います。これも一つの指標としては有効ですが、これだけだと何に貢献しているのかがわかりづらいのです。
そこで、直接的な広報/PRの結果報告だけではなく、間接的にどう売上に貢献しているのかを報告するのが有効な方法の一つです。
例えば、売上を上げるためには営業活動と集客活動が必要です。
社名と商品やサービスが取り上げられる露出を増やしたことで、「社名が知られていなく営業が門前払い」だったが、すんなりアポイントが取れるようになった、あるいは、問い合わせが前年度より増えたという結果があると売上に対し貢献できていることを提示できます。
また、例えば
テレビ番組への露出といった広報/PRの直接的な成果だけではなく、その後「サイトへのアクセスが上昇した」「SNSでの発信数が上昇した」といったその先の結果と紐づけて報告できると、売上への貢献が可視化されやすくなります。
このように、「メディアに露出できた!あ~良かった!」で終わらせず、その先にどういった好影響が起こったかをモニタリング、あるいは社内でヒアリングするようにし、直接的な成果と間接的な成果をセットで報告することで広報の重要性を理解してもらいやすくなります。
今求められる広報
「利益に貢献できる広報/PR」というのは、売上への貢献もありますが、『会社のためになる』という意味合いも込めて書かせていただきました。
会社の抱える課題や目標に対し、「広報/PRの力」を最大限活用し伴走できる広報/PRが必要とされる存在です。さらに、広報/PRは常に第3者目線を持ち続け、メディアという究極の第3者から意見を吸い上げることのできる存在です。
そこから得た情報をもとに新たな気づきを社内に与えられる存在になれると広報としてなくてはならない存在になれるはずです。
【PR歴】
2007年 PR会社コミュニケーションデザイン入社。10年間以上、PRコンサルタント&責任者として、ベンチャーから上場企業まで、様々な業種・規模感の企業広報を担当。
【これまで担当した業界】
オリンピック競技/選手のPR、会員制スポーツクラブ、食品メーカー、ホテル、旅館、金融(ネット銀行、証券会社) 、IT(アプリ開発、システム開発等)、人材研修、教育、化粧品メーカー、外資系企業(損保、調査会社等)等。担当実績の8割以上が年間を通してブランディングや認知向上を図る「リテーナー」クライアント。最長で10年間、広報業務をお手伝いをしたクライアントも。
【得意領域】
PR戦略立案、PR切り口の考案、人物リリース(魅力の引き出しや取材したくなる資料作成)、クライアント企業内での広報体制の構築
【趣味】 ものづくり! 何かを作っているときは集中力がMAXに★
【その他】 色々な業界や企業規模の会社の広報をお手伝いしてきたので何かお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください!お役に立てることがあると思います。