選挙運動におけるSNSの活用がもたらす影響力とは

SNSは企業のPRや広報において、その影響力を活かした情報発信のツールとして広く活用されていますが、このようなSNSの活用は、最近では政治の分野でも広がりを見せ、選挙運動においてもSNSは欠かせないツールとして確立しています。

かつての街頭演説や選挙カーによる活動が主流だった中、SNSの登場により、候補者のメッセージがより広範囲で迅速に届けられるようになりました。そこで今回、SNSを選挙運動で活用した戦略や活用法などについて、最近の衆院選での事例も交えて見てまいります。

SNSが選挙に与えるメリットとデメリット

SNSは選挙活動において、さまざまなメリットを提供しています。
まず、SNSを利用することで幅広い層に情報を届けやすくなり、短期間で多くの有権者と直接つながることが可能になります。特に、若年層や投票に関心を持たなかった層にもリーチできる点は、従来の選挙活動では得られなかった利点です。

また、SNSはコストも低く、候補者が予算を抑えながら選挙活動を展開できる場でもあります。双方向性も大きな特徴であり、候補者と有権者が気軽に対話できるため、支持者との距離が近づきやすく、応援の意欲が高まることも多いです。

一方で、デメリットも存在します。最も懸念されるのは、フェイクニュースやデマの拡散が容易である点です。候補者やその周辺の情報が事実と異なる形で広まり、意図しない誤解を招くことが少なくありません。先の衆院選でも、SNS上に候補者に関する偽情報や真偽不明な投稿が飛び交う状況が多数、生まれていました。

また、SNSでの発言が過激になりやすく、「炎上」という形で批判を浴びるリスクもあります。慎重に情報発信を行わないと、かえって有権者に悪い印象を与えてしまう可能性もあります。こうしたメリットとデメリットを理解し、戦略的に活用することが重要です。企業広報での活用と変わらない懸念点となります。

SNSの影響力と選挙運動との相性

先に述べたように、SNSは候補者と有権者を直接結びつける双方向のコミュニケーションツールです。例えばX(旧Twitter)では、双方向のやりとりや瞬時の情報拡散が可能で、短期間で多くの有権者にアプローチできます。衆院選では、インスタグラムの候補者アカウントが前回より増え、特に若年層への接触が増加しています。

適切なSNSプラットフォームの選択と活用例

企業広報にも通じる例になりますが、各プラットフォームの特徴に応じたツールの選択も、選挙活動を成功に導く一つの要因となります。

X

ニュースや時事に敏感なユーザーが多く、迅速なメッセージ伝達に適しています。ハッシュタグを駆使した情報の拡散も効果的であり、ある候補者は特定のハッシュタグをトレンド入りさせることで注目を集めました。

YouTube

長時間のメッセージを伝えるのに最適で、候補者の演説やインタビューをアーカイブ化することで、支持者が選挙期間中いつでも視聴できるようにしています。
今回の衆院選では、YouTubeのライブ配信とショート動画が人気を集め、特に国民民主党はショート動画の視聴回数やライブ配信が数万回を超え、他党を大きく上回る結果となりました。国民民主党は議席を4倍に増加させましたが、SNS戦略の成功がその一因としても挙げられます。

Instagram

ビジュアルを重視し、候補者の活動や親しみやすさをアピールするのに適しています。候補者のカジュアルな一面を短い動画や写真で伝え、若年層との距離感を縮めることができます。衆院選でもInstagramの候補者アカウントが増加し、視覚的なアプローチが有権者層の拡大に貢献したとも考えられます。

TikTok

ショート動画の拡散に特化しており、若者層の関心を引きつけることができます。中でも、国民民主党やれいわ新選組は、ショート動画やライブ配信で大きな反響を得て、認知や支持を拡大させた要因にもなっています。

SNSを活用した効果的なコンテンツ戦略

SNS上で存在感を高めるには、単なる情報発信に留まらないコンテンツ戦略が必要です。
これらは、企業広報にも通じるコンテンツ戦略になると考えられます。

ストーリーテリング

候補者の個人的な経験や信念に基づいたストーリーテリングにより、有権者との共感を得ることができます。当選後のスキャンダルはありましたが、国民民主党の玉木雄一郎代表はYouTubeのライブ配信中に視聴者のコメントに応答するなど、候補者の親近感を訴える工夫は注目を集めました。衆院選とは異なりますが、兵庫県知事選などでも活用されています。

ライブ配信

ライブ配信は双方向のやり取りが可能で、有権者と直接対話する貴重な機会です。候補者紹介や視聴者のコメントに応答する形でのライブ配信が好評であれば、SNS戦略は成功ともいえます。ライブ配信により、有権者に親しみやすさと透明性を感じさせることができます。

視覚的なコンテンツ

InstagramやTikTokなどでは、視覚的なインパクトが重要です。ショート動画を活用し、候補者の活動風景や日常をカジュアルに紹介することで、支持者層の幅を広げることができます。好きな趣味や興味を候補者が共有することで、親近感を感じてもらいやすくもなります。

選挙活動におけるSNSの利点や活かし方

選挙活動におけるSNSの利点として、リアルタイムでデータを収集し、その効果を測定できる点が挙げられます。衆院選では、都市部の候補者がYouTubeとXを中心に活用し、地方ではLINEの利用が盛んだったようです。人口密度の高い地域でのSNSフォロワーの増加も含め、都市部でのSNS戦略は成功を収めたとも言えます。

また、SNSデータに基づき、投稿の内容やターゲット層を調整することで、次の戦略に活かすことができます。今回、得票を伸ばした国民民主党は、特に20代から40代の若年層からの支持を獲得したと報じられており、SNS戦略が影響した可能性も多分にあります。

SNS選挙戦略の今後

今回の衆院選におけるSNSの活用例からも、今後の選挙戦略においてSNSが重要な位置を占めることは確実と思われます。
今後は、政策に関する内容や行動を既存のファン層へ提供しつつ、新しい支持層をターゲットにしたショート動画などを組み合わせた、多様な戦略が必要になると思われます。
SNSの効果的な利用は、候補者のメッセージを多くの有権者に届けるだけでなく、共感を生み出し、投票行動を後押しする重要な手段ともなっているのです。

 

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株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

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【これまで担当した業界】IT、自動車、食品メーカー、飲料メーカー、自治体、
            医療、家電メーカー、レジャー施設、金融、教育、他多数
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