PR担当者が意外と忘れがちな3つの購買行動モデルをおさらい!『AIDMA』『AISAS』『SIPS』ってなんだっけ?

『AIDMA』という言葉をご存じでしょうか。
PR・マーケティングの担当者ならば、誰しも一度は聞いたことがあるであろう言葉の一つですが、「何の頭文字だっけ?どんな概念だっけ?」とすぐに思い出せない方も多いはずです。

『AIDMA』は、消費者が商品を実際に購入するまでのプロセスを説明する購買行動モデルの1種です。購買行動モデルのフレームワークは複数ありますが、今回は基本3種類をおさらいします。それぞれの違いを理解し、今後のPR・販売戦略などにお役立てください。

購買行動モデルの元祖『AIDMA』

はじめにご紹介するのは『AIDMA』。1920年代に米国で誕生した考え方で、すべてのフレームワークの基礎となっている考え方です。『AIDMA』は5つのプロセスから構成されています。

『AIDMA』5つのプロセス
A (Attention) … 認知
I (Interest) … 興味
D (Desire)  … 欲求
M (Memory)  … 記憶
A (Action)  … 行動

Aさんは、テレビ番組で最新のプロジェクターが紹介されているのを見かけました【認知】。自動調光機能など、多彩なスペックに目が釘付け【興味】。すぐに欲しいと感じました【欲求】。後日、家電量販店に買い物に出かけたAさんは、店頭のPOPを見てそのプロジェクターを思い出します【記憶】。今が買い時と、Aさんは購入を即決するのでした【行動】。

このように、消費者がテレビやインターネット、チラシなどを通して【認知】した情報に【興味】を抱けば、実際に手に入れたいという【欲求】が生まれます。その気持ちが【記憶】され、購買という【行動】につながっていくのです。

この『AIDMA』という購買行動の基本パターンが、誕生から100年近く経った今も、汎用に使えるひな形として広く使われています。

2つの“S”からなる『AISAS』

インターネットが普及し、新たに出現した購買行動モデルが『AISAS』です。電通によって提唱されたモデルで、【検索(Search)】【共有(Share)】2つの“S”が考慮された考え方です。

購買行動モデル『AISAS』
A (Attention) … 認知
I (Interest) … 興味
S (Search) … 検索
A (Action) … 行動
S (Share) … 共有

Bさんは、テレビ番組で最新のプロジェクターが紹介されているのを見かけました【認知】。自動調光機能など、多彩なスペックに目が釘付け【興味】。すぐにインターネットで商品情報をチェックし【検索】、早速購入することに決めました【行動】。数日後、プロジェクターが届いたBさんは、その使い心地をブログにアップするのでした【共有】。

Aさんと同じく、商品を【認知】して【興味】を持つまでの流れは変わりません。しかし、インターネットで【検索】し、価格やスペックといった商品情報を確認した上で【行動】するという点が大きく異なります。また、ネット上で【共有】する文化も現代ならではの考え方です。

お分かりの通り、購買行動モデルは一昔前に比べ、大きく変化しました。しかし、『AIDMA』『AISAS』ともに、【A(認知)】【I(興味)】から始まる点は変わりません。そのため、消費者の興味がある“見られる場所”に商材が露出され、知ってもらうことが一番重要です。

さて、その“見られる場所”とは果たしてCM枠・広告欄でしょうか?私は、テレビ番組内・記事内で取り上げられることだと考えています。認知の機会を創出できるかどうか、これこそがPR担当者の腕の見せどころです。

SNS時代の新たなモデル『SIPS』

最後にご紹介するのは『SIPS』。2011年に登場した考え方で、【共感(Sympathize)】から始まることが特徴の新世代モデルです。

SNS時代の『SIPS』
S (Sympathize) … 共感
I (Identify) … 確認
P (Participate) … 参加
S (Share & Spread) … 共有と拡散

Cさんは、芸能人のSNSに投稿された流行りのプロジェクターの写真を見て、私もこんなオシャレな生活がしたいと憧れます【共感】。すっかり購買意欲を刺激されたCさんは、投稿へのコメントやレビューサイトを閲覧し、商品に対する評価をチェックします【確認】。そして、通販サイトで購入ボタンをクリックしました【参加】。数日後、プロジェクターが届いたBさんは、その使い心地をSNSにアップします。すると、友達のDさんやEさんが「いいね」してくれるのでした【共有と拡散】。

Cさんの事例は、まさにSNS世代の購買行動のパターンと言えます。インフルエンサーに【共感】し、商材情報を【確認】。情報の流れにみんなで【参加】しながら、【共有と拡散】を繰り返します。たとえ購買に至らなくとも、SNS上の「リツイート」や「いいね」を通した情報拡散がさらなる【共感】を生み、新たな情報の流れへとつながっていくのです。単なる購買行動でとどまらず、絶えず情報が流れ続けるという点で、『SIPS』は新時代のモデルパターンと言えます。

なお、ファッションの情報源はすでにインスタがGoogle検索を上回っており(※)、。情報収集にSNSを使う傾向はさらに加速することが予想されます。

※ モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2019年6月度)

まとめ

今回は、3つの購買行動モデルをご紹介しました。

① 購買行動モデルのひな形 『AIDMA』
② ネット時代の購買行動モデル 『AISAS』
③ SNS時代の購買行動モデル 『SIPS』

その他にも、『AIDMA』から【M(記憶)】を抜いた『AIDA』や、『AISAS』に【C(比較)】【E(検討)】を加えた『AISCEAS』などが有名です。そのすべてが消費者の心理や行動パターンを把握するために用いられます。

自社の商材・ターゲット層に合うフレームワークはどれか?消費者戦略を考える際には、購買行動モデルを一度参考にしてはいかがでしょうか。

【ニックネーム】Yuntuber
【これまで担当した業界】新人なので、これからいろいろ担当する予定。(ちなみにプレスリリース配信サービス出身)
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