こんにちは。
7月に入り、洞爺湖サミット開催の影響で、ここ六本木周辺でも警察官の姿が多く見受けられるようになりました。
これだけ多くの警察官が日々治安維持に努めているにも関わらず、世の中から事件・事故は尽きません。先日の秋葉原殺傷事件をみても、凶悪さがエスカレートするばかりです。
社会全体的に安全への意識が高まってきている中、6月27日(金)付けの読売新聞に、下記のような記事が掲載されてました。
「スクールバスで子供を守る」―徒歩、自転車より安全―
昨年12月から今年の1月にかけて、文部科学省が全国の小中学校を対象に実施したアンケート調査によると、スクールバス導入の背景として、「へき地への対応」(7割以上)という従来までの主用途に加え、「安全確保対策」(5割近く)という回答も多く出てきたそうです。
この「安全確保」のためにスクールバスを導入するという考え方は、社会的な関心の高さから、正当な理由として新たに確立されつつあると言うことができるでしょう。
こうしたアンケートなどの調査発表は、往々にして市場が動くきっかけとなり得ます。
なぜなら、調査によっては新たな社会的ニーズが浮き彫りとなり、そのニーズを満たすための商品やサービスが、消費者や利用者の大きな関心を集めるからです。
そういう意味で、実はこの「アンケート調査」というものは、活用次第でとても大きなPR効果を生むことができるツールなのです。
アンケート調査を戦略的に活用し、メディアの関心、社会的な関心を引いた例を2つ見てみましょう。
事例1
アンケート調査により、今までなかった新たな課題を提示し、その課題を解決する商品を販売する事で、認知度、売り上げUPを狙った例。
【ペットフードもヘルシーに!?】
ペットフード製造販売のマースジャパンリミテッド。「人間社会ではメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が大きな話題になっているが、近年、愛犬も肥満化の傾向にあるようだ。」との仮説をもとに、アンケート調査を実施。(2007年春ごろ、ドッグオーナー600人に実施)
結果、「ドッグフード以外に野菜を与えている」「お肉と野菜がバランスよくとれるフードを与えたい」と回答した人が多く、肉と野菜をバランスよく食べさせたいというニーズがあることが分かった。
この調査結果を2008年2月に発売したドッグフード「ペディグリー ナチュラルファーム」を発売する際に活用することで、今度の新製品が、ドッグオーナーや犬に対して、いかにそのニーズに応える商品であるのかを、客観的なデータ(アンケート調査)を元に謳えるわけです。
この調査発表は、マスコミでも取り上げられて、(2008/06/27, 産経新聞にて)注目率を上げることに成功しました。
事例2
アンケートにより、今までとは違う商品価値を見出し、気付きを与えることで、再度既存商品の需要を喚起する例。
【牛乳飲んで運動する女子学生は骨密度が高くなる!?】
福井県では、JA(全国農業協同組合連合会)が牛乳摂取の大切さに改めて気付いてもらうために、(副次的なニーズとして牛乳の消費量を上げるために)近年増加傾向にある病気との関連性を調べ、牛乳を飲むメリットを次のように発表しました。
女性の高齢者が寝たきりになる主な原因は、骨粗しょう症とされている。そこでJA県厚生連が、「牛乳摂取量と骨密度」の関係を調べたところ、「牛乳をよく飲み、運動に励む県内の女子学生は、骨密度が高い傾向がある」という結果を得ました。
具体的には、県内の高校生の場合、牛乳をほとんど飲まない人の骨密度平均値は106・8だったのに対し、毎日400ミリリットル以上飲む人は115・5。
また、毎日400ミリリットル以上牛乳を飲んで運動した人の平均値は125・5であるのに対し、ほとんど飲まず運動もしない人は105・5と大きな差が開いた。
この調査結果を公表したところ、「病気を未然に防ぐ」という現代の社会的関心にも合致し、マスコミでも取り上げれられ、(2008/06/25, 毎日新聞地方版にて)牛乳摂取の大切さを、広く知らせる事ができました。
既存商品の需要を改めて喚起するために、社会問題などと合わせた話題を公表することで、注目を集める事に成功した好例と言えるでしょう。
このように、アンケート調査の活用方法は様々ですが、いずれもPRの手法として、非常に興味深いものです。
アンケートという、客観性のある資料を用意することで、自分達が発信したいメッセージを戦略的に社会の関心と結びつけることが出来るのです。
戦略的にアンケート調査を活用し、市場を動かすほどの影響力を与えることができたなら……これこそPRの醍醐味です。
みなさまも、アンケートを活用したPR手法にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
想像以上の結果を手に入れることが出来るかもしれません。
さて、冒頭のスクールバスの話に戻りますが、今回のアンケート結果により、スクールバスを新たに導入する学校も増えてくるかもしれません。
今後は、学校側の「安全性の確保」を謳った新たなPRネタが他にもたくさん登場する事を、いちPRマンとして、楽しみにしたいと思います。
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