これまで、PRマガジンの「わが社のヒット商品」では、様々な地方企業を取材してきました。その中でも、全国区で注目を集めるようになった商品の広報PRには、ある共通点がありました。
本社や本店は地方、商品の販売は本店とECのみであったとしても、全国区で話題にさせることはできます!
PRマガジンで取材させていただいた地方企業は、超メジャーなメディアから次々と取材が舞い込んできています。一体、どのような広報PRを展開したのか?今回は、地方企業ならではの広報PRステップを解説していきます!
この記事の目次
最初はみな無名~まずは「地元メディア」に知ってもらう
今でこそ、超メジャーなメディアから多数の取材が舞い込む地方企業も、当然最初から知られていたわけではありません。いきなり全国メディアやWebメディアにアプローチできる広報体制があるのであればそれもいいかもしれませんが、なかなか難しいという企業も多いのではないでしょうか。取材させていただいた企業も、広報は兼務で対応されている企業がほとんどでした。
少ないマンパワーでまず対応すべきは、地元メディアへのアプローチです。地元メディアがあるというのは地方企業ならではのアドバンテージです。特に地方メディアは、地方で頑張る企業や人を積極的に取り上げる傾向にあります。つまり、頑張って新たな商品やサービスを開発したという時点で興味を持ってもらえる可能性があるのです。実際、取材させていただいた地方企業も最初に取り組まれているのは、地元メディアに対するリリース送付や記者クラブでの記者発表会でした。
地方メディアで取り上げられるときに大事なストーリー性
地方メディアで取り上げられる際、新商品として取り上げてもらうだけでもありがたいですが、その後、全国区で話題になる商品は企業のストーリーにも注目が集まっているケースが多いです。
例えば、「倒産寸前の企業が起死回生を狙い開発した商品」「老舗が挑む新たなチャレンジ」などです。
ただ「新しい商品を発売します!」ではなく、
・商品開発の背景
・商品開発秘話
こういったポイントも積極的にメディアに伝えていくことが重要です。
メディアと対話するときだけではなく、プレスリリースのタイトルや本文でもこれらについて触れると、メディアの注目度も高まります。
地方メディアでの露出記事をきっかけに、Webメディア→テレビ(全国)と報道の連鎖が始まる
地方メディアへのアプローチが上手くいき、いくつかの媒体で露出できると、それを見たWebメディアや他媒体から取材が舞い込んできます。ある露出をきっかけに、他の媒体から取材が入ることを「報道の連鎖」と言います。
この「報道の連鎖」が始まると、自分たちではコンタクトが取りづらい影響力のある媒体から連絡をもらえるようになります。
特に商品を販売している企業にとって全国で放送されるテレビは売上に直結するメディアということで、取材してもらいたいと考える企業も多いのではないでしょうか。ただ、全国放送は激戦区です。いきなり取材してもらえるほど甘くないというのが現実的です。だからこそ、地方メディアやWebメディア等で実績を積み重ねていくことが重要なのです。
「報道の連鎖」をただ待つだけではダメ!~広報主導で取り組むべきこととは?
「地方メディアに出たから、あとは自然に情報が拡散するのを待とう」ではダメです。全国区で注目を集めるようになった企業がその他にどういった取り組みをしていたのかご紹介します。
①消費者やバイヤーとリアルの接点を作る
メディア以外に、商品に注目し、販促や情報拡散に動いてくれるのが「バイヤー」と「消費者」です。展示会等のイベントに出展し、直接バイヤーに商品の良さを伝え、一緒に商品を広めてくれる仲間を作ることも必要です。また、消費者の代表としてインフルエンサーの存在も欠かせなくなっています。自らインフルエンサー施策を展開するのはハードルが高いという場合は、インフルエンサーが来場するようなイベントに出展するという方法もあります。
広報PRはメディアに出すだけが仕事ではありません。あらゆるコミュニケーションをデザインするのが仕事です。メディアリレーション以外は広報の仕事ではないと思わず、視野を広げる必要があります。
②「賞」の受賞で、メディアからの注目度アップ
商品やサービスを表彰する賞は、探してみると色々あります。自分たちで応募できるものもあります。こういった賞を受賞できると“拍”が付きますし、受賞をきっかけに影響力のある媒体から取材が入ることもあります。数ある商品やサービスの中で受賞するというのは簡単なことではありませんが、チャレンジしてみる価値はあると思います。
③SNSを積極的に活用
地方企業でも大手企業でも、対等に情報発信できるのがSNSです。SNSにはFacebookやInstagram、YouTubeなどありますが、情報の拡散性で考えた場合、Twitterの運用は欠かせません。
一つの動画がたちまち拡散され、これまで広告や店舗ではリーチできなかったターゲットに知ってもらい、フォロワー数も格段に増えた、商品販売前の告知で予約が殺到したといったケースもありました。
メディア掲載は見やすい形でホームページにアップ
せっかくメディアで取り上げられたのに、ホームページに掲載していない企業もありますが、非常にもったいないです。
例えば、話題の商品を出す企業に注目したテレビ番組の場合、長尺でその企業について放送するため、それに見合う内容を取材できるのかが、取材先を決定する上でのポイントになることもあります。その場合、過去のメディア露出実績は取材するかどうか決める上での貴重な情報源となり得ます。それだけではありません。メディア露出は信頼のおける第三者からのお墨付きとも言えます。消費者がホームページに訪れた際、安心や信頼感を与えることができます。
ただし、注意しなくてはいけないのは、無断での記事やテレビの映像・キャプチャをホームページで公開してはいけないということです。
新聞の場合、各社のホームページより転載申請をすることができます。利用期限や利用料については各メディアで異なりますので、事前に確認が必要です。
基本的に、購入しなくても誰でも読める雑誌の表紙やWebメディアのリンクは申請しなくても大丈夫ですが、いずれの場合もホームページで掲載をアップする際は「(メディア名)20●●年●月号」など出典元を記載しましょう。
一番重要な共通点は●●●
たくさんの商品やサービスであふれる昨今、良いモノ・サービスをつくっても情報を届けないことには、お客様の目にとまりません。だからこそ、広報PRが重要になってくるのですが、そもそも商品やサービスが良いものでないと、いくら広報PRを行い、一時的に情報が拡散されても恒常的に購入される愛され商品にはなりません。
全国区で話題になり、長く注目を集める企業に共通しているのは、やはり「商品力」なのです。こだわりを持って開発したオリジナリティのある商品だからこそ、広報PRをきっかけに話題となり、多くの方が商品を購入してくれるのです。
良いものを作ったのに、なぜか思うように売れないという場合、「広報PR」が上手く展開できていない可能性があります。また、広報担当者からみて、広報PRではなく、商品に課題があると思う場合、商品開発の段階から広報PRが参加し、商品を作り上げていくという方法もあります。
PRマガジンでは様々な企業の広報ご担当者様にインタビューさせていただき、余すところなく記事にしております。広報PRに課題をお持ちの方は、是非これらの記事も参考にしていただければ幸いです。
【ニックネーム】 おみみにアニマル
【PR歴】
2007年 PR会社コミュニケーションデザイン入社。10年間以上、PRコンサルタント&責任者として、ベンチャーから上場企業まで、様々な業種・規模感の企業広報を担当。
【これまで担当した業界】
オリンピック競技/選手のPR、会員制スポーツクラブ、食品メーカー、ホテル、旅館、金融(ネット銀行、証券会社) 、IT(アプリ開発、システム開発等)、人材研修、教育、化粧品メーカー、外資系企業(損保、調査会社等)等。担当実績の8割以上が年間を通してブランディングや認知向上を図る「リテーナー」クライアント。最長で10年間、広報業務をお手伝いをしたクライアントも。
【得意領域】
PR戦略立案、PR切り口の考案、人物リリース(魅力の引き出しや取材したくなる資料作成)、クライアント企業内での広報体制の構築
【趣味】
ものづくり! 何かを作っているときは集中力がMAXに★
【その他】
色々な業界や企業規模の会社の広報をお手伝いしてきたので何かお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください!お役に立てることがあると思います。