まるで“みどりのイクラ”!?わさびの新形態『わさビーズ』が累計25万個の大ヒット

マスコミリスト大阪版発売

「若者の辛み離れ」について耳にしたことがある方もいるかもしれない。
「わさび」や「からし」が苦手という若者が増えているらしい。

実際、私の周りでも20代(特に男子)は、お寿司はさび抜き、おでんにからしはつけないという子が何人かいる。

そんな中、販売前からSNSで話題になり即完売、有名YouTuberやメディアもこぞって紹介し、生産が追い付かないほど人気となった「わさび」がある。それがわさび漬けで有名な田丸屋本店(静岡県)が販売する『わさビーズ』だ。

田丸屋本店『わさビーズ』

田丸屋本店『わさビーズ』

キラキラ輝くジュエルのようなわさび。これはテンションが上がる!せっかくだから、ビーズシリーズの「ラー油ビーズ」と「ゆず胡椒ビーズ」の3点セットで購入♪
「わさビーズ」の開発に携わり、広報も担当する田丸屋本店の松永さんからお聞きしたオススメの食べ方で食してみた。

シュークリーム × 「わさビーズ」と「ゆず胡椒ビーズ」

シュークリーム × 「わさビーズ」と「ゆず胡椒ビーズ」

松永さんは甘党ということで、甘いもの×ビーズを提案してくれたので、コンビニでシュークリームを買って、「わさビーズ」と「ゆず胡椒ビーズ」をトッピング★
見た目は超かわいい。子供たちも食べたがるけど、ビーズをぷちっと噛んだ時の辛さは大人向き。シュークリームとわさびの相性は正直良く分からなかったが(笑)、ゆず胡椒はアリだ!

生春巻きにトッピング

生春巻きにトッピング

その他にも生春巻きやネギトロ丼など、色々なものにビーズをかけてみた。いつものご飯がちょっと豪華に見える!で、実際食べてみた結果…

松永さん、我が家は「からあげくん」と一緒にビーズを食べる食べ方が一番好きでした!見た目がちょっと素敵に撮れなかったので、写真は割愛。(笑)

(編集部・若林)

構想から10年~わさびの用途を広げるため、“弱点”に向き合う

漬物を超え、もっと色々な用途に使ってもらえるわさびを開発したいという想いがあった。

漬物を超え、もっと色々な用途に使ってもらえるわさびを開発したいという想いがあった。

―田丸屋本店は創業140年以上の老舗企業で、サワラで造った丸い円形の化粧樽にわさびを詰めて売り始めたのが御社で、「樽詰めわさび漬け」で、全国に名が知られることになったのですね。

元々、様々な漬物を販売していたのですが、東海道の開通とともに主力のわさび漬けを樽詰めにして販売権を獲得し、お土産として全国に拡販できたことで、田丸屋本店の認知が上がっていきました。わさび漬けを樽詰めにして、お土産として購入しやすくしたのは、当社が初だと思います。

―わさび漬けの老舗が、なぜ「わさビーズ」を開発・販売するに至ったかですが、御社の社長が構想し始めてから、10年の歳月を経て商品化されたそうですね。なぜ社長はこういった商品を世に送り出したいと思われたのでしょうか。

わさび漬けは、漬物なので、いわば保存食です。先人の知恵で、生わさびは1~2週間程度しか日持ちしないことから、わさびに酒かすを入れ、酒のアルコールと混ぜることで1か月程度日持ちさせることができるようになりました。ただ、わさび漬けは、わさび本来のものではないので、社長としては、漬物を超え、もっと色々な用途に使ってもらえるわさびを開発したいという想いがありました。

開発に際して、わさびの熱や水に弱く、すぐに辛みが逃げてしまうという点をどう克服するかが課題でした。そこで、わさび本来の風味や辛みを閉じ込めるため、わさびチューブやわさびをキューブや細長い形状のものに入れるなどの試行錯誤を経て、現在のビーズに行き着きました。

業務用から販売開始~展示会での高評価を受け一般販売を早めることに

業務用販売からスタートしたわさビーズ。

業務用販売からスタートしたわさビーズ。

―2018年10月に業務用販売からスタートしたということですが、なぜ業務用から販売を開始されたのでしょうか。

一つは、レストランなどに卸していきたいという想いがあったことと、もう一つは、生産の面で大量生産ができなかったため、受注してその量を製造するという方針だったからです。
また、新商品ということで認知度もなかったので、まずは業務用で進め、展示会等でバイヤーの反応を見ながら一般への展開を検討しようと考えていました。

―販売戦略としては、業務用を発売した時点で2ヶ月後の12月に一般販売を開始しようと決めていたのですか。

当初は、翌年の年明けぐらいにはと考えていました。ただ、11月と12月頭に行われたGINZA SIXの展示会に参加した際に、来場されていた一般のお客様からかなり好評をいただき“一般にも販売してほしい”というお声もあったことから、急ピッチで一般向けに商品化し、12月22日に販売を開始したという経緯です。

展示会では、クラッカーにツナ×ビーズ、サーモン×クリームチーズチーズ×ビーズといった組み合わせで、新しい食の提案をしていました。この時に、各新聞社さんにもお越しいただき、新聞に掲載されるようなアクションも行っていました。

―来場者からすごく好評だったということですが、どういった反応が多かったのでしょうか。

展示会では、暗い会場の中でライトを使い演出をしていたので、「見た目がとても綺麗」という反応や「これが『わさび』で、食べられるものなの!?」と見た目とのギャップに対する反応が多かったと思います。

天然わさびから抽出した緑色の美しさから「映える」商品へシフトチェンジ

元々は“映える”商品にすることは想定していなかった。

元々は“映える”商品にすることは想定していなかった。

―開発を進めるにあたり、2016年に松永さんを含め、4名の社員でなる新商品開発チームが発足されたということですが、「わさビーズ」が形になるまでに、一番大変だったことは何でしたか。

元々、「わさビーズ」は“映える”商品にすることは想定しておらず、練り物やハンバーグの中に入れてもらい、全部をわさび味にするのではなく、噛んだ時にわさびの味がするというコンセプトで開発を進めていました。しかし、天然のわさびペーストを使い、色を抽出したところ、とても透き通ったきれいな緑色だったことから、方向転換をして、食べ物にのせると綺麗でおしゃれなわさびとして使っていただけるよう開発を進めることになりました。

「わさビーズ」の透明さやこの緑の具合には非常にこだわりがありまして、弊社が静岡県に工場と本社を持っていることから、静岡県産のわさびに限定して、この色を出しています。また球の大きさも“緑のイクラ”と例えられることから、イクラに合わせているほか、綺麗なだけではなく“わさびの辛さ”にもこだわっています。個人差もあり、わさびの辛さは経験の味覚と言い、経験すればするほど慣れるのですが、一般の方にとって食べやすいように一粒のわさびの辛さを調整するのに苦労しました。

でも、発想当時の10年前だったら、ここまでヒットはしなかったかもしれません。

―それはインスタなどSNSの影響が大きかったということでしょうか。

そうですね。広報としては、“インスタ映え”は言葉にしないものの、心では狙っています。(笑)

―私は商品を拝見した時に、今若者がわさびだけではなく辛み離れしていると言われているので、そういった若者に対してもわさびを食べるきっかけをつくるためにこういった商品を開発されたのかなと思っていました。でも元々は違ったということですね。

発想は全く違います。ただ、弊社は、昔からわさび漬けを作っているのですが、お漬物がなかなか食べてもらえなくなり、購入してくれる方も50代以上の方がかなり多いという状況でした。直売店も3店舗あるのですが、そこのお客さまの若返りも図りたいという想いもあり、「わさび漬け屋さん」から『わさびの総合メーカー』に転換しようとしている時期でしたので、「わさビーズ」で今までわさびに振り向いてもらえなかった方にも食べてもらうきっかけなってくれればいいなという想いはありました。

Twitterの通知が鳴りやまない!事前告知だけで、予約分が完売

工場を増設するまでは、1日30~50個程度販売していたが、早い日は1分程で売り切れるという状況がずっと続いていた。

工場を増設するまでは、1日30~50個程度販売していたが、早い日は1分程で売り切れるという状況がずっと続いていた。

―2018年12月の販売に先駆けてのTwitterでの告知は1万回以上リツイートされ、ネットでも即完売だったそうですね。これは想定できていましたか。

ここまでは想定できていませんでした。GINZA SIXでの展示会の際も、いいね数は300ぐらいでしたので、これくらいの反応かなと想定していました。ただ実際は、事前告知をしてまもなく、予約受付分が一瞬で無くなり、Twitterの通知も止まらず非常に怖かったです。(笑)
商品を販売する楽天には、全国からかなりアクセスいただき、すぐに販売を停止したくらいでした。その後も、店舗や楽天で数を限定し、1日30~50個程度販売していたのですが、早い日は1分程で売り切れてしまうという状況がずっと続いていました。そこから、翌年の6月に工場を増設し、増産できる体制になりました。

―ちなみに現時点での累計販売個数はいくつくらいですか?

「わさビーズ」の累計販売個数は、25万個くらいですね。

―ヒットの決め手になった出来事は何かありますか。

Twitter で非常に拡散したのと同時に、YouTuberの水溜りボンドさんが早々に「わさビーズ」を購入してくださり、12月27日にカンタさんのドッキリ企画をYouTubeにあげてくださったことも大きかったと思います。「わさビーズ」は、22日の発売後すぐ完売になってしまっていたので、よくご購入いただけたなと。(笑)
さらにその後、YouTubeをはじめ、色々なところで話題になっているということでメディアでも紹介され、徐々に認知度が高まっていったと感じています。

―その後も様々なメディアで「わさビーズ」は取り上げられていますが、御社からメディアに対してプレスリリースを出すなど、能動的なアクションはされていたのでしょうか。

静岡メディアにプレスリリースは出しています。一つテレビに取り上げられると別のテレビや新聞からも取材が入るようになり、発売から1年くらいは月1で取材が入っていました。今は少し落ち着いていますが、ラー油ビーズやゆず胡椒ビーズといったビーズ商品関連で取り上げてくれるところが多いです。

―2020年7月にテレビに取り上げられ、ECでの売り上げが伸びて今年は9月までに83,000個販売されたそうですね。この番組というのは「所さん お届けモノです!」ですか。

そうです。非常に長尺で取り上げていただいたということと、所さんが実際に食べてくださったのが大きかったと思います。

ちなみに、テレビは「ヒルナンデス」で最初に取り上げていただき、かなり動きがあったのを覚えています。放送当日に、静岡市で行われていた「SDGs COLLECTION supported by TGCしずおか2019 」に出展側として参加していました。来場者層が非常に若いので、「わさビーズ」はあまり認知されていないだろうと思っていたのですが、「ヒルナンデス」を見たという反応も多く、若い方にも購入してもらえました。

今も定期的にメディアに対しては情報提供していますが、他のメディアを見て、と取材をいただくことが多いです。特に、新聞・雑誌などの紙媒体がきっかけで他媒体からの取材がよく入ります。ただ、お客さまが購入しに来てくださるきっかけとなるのは、テレビとラジオが多い印象です。ラジオは県内や東海地方での放送がメインですが、名古屋地域はちょっと変わったものを取り上げる傾向があるのか「わさビーズ」を何回も取り上げてくれるところもあります。

Twitterのフォロワー数は1.5万人、他社とのコラボや「裏側」公開でファンを増やす

Twitterの中の人でもある松永さん。

Twitterの中の人でもある松永さん。

―松永さんはTwitterの中の人でもあるんですよね。どういった目的で今Twitterを運用されているのでしょうか。

弊社は今、TwitterとFacebook、Instagramを運用しています。Facebookはかなり前からファン作りの一環として私が運用しています。Instagramはビーズ専門と田丸屋本店公式の2つのアカウントがあり、別のものが運用しています。Twitterは2017年7月から田丸屋本店やわさびの使い方をもっと広めたいと思い、私が運用を始めました。ちょうどその頃、山芳製菓さんのわさビーフとコラボし、「わさビーフ佃煮」を作ったのですが、Twitterでも情報を拡散したいと思ったのも始めたきっかけの一つでした。

色々Twitterで投稿してきましたが、リーチ数が高いのは、「自分達にとっては普通のこと」でした。お客さまにとっては驚きや発見もあるようで、展示会の様子や新商品情報以外に工場の様子なども撮影し投稿しています。

―今は、1.5万フォロワーとかなり多くのフォロワーがいますね!

クリスタルガイザーさんと一緒にフォロー&リツイートキャンペーンを2回ほど行い、非常にフォロワー数が伸びました。ただ、キャンペーンの場合は懸賞目当ての方も多いので、キャンペーン後はガクっと落ちましたが、今は比較的一定数を保てています。

―「わさビーズ」を発売してから、Twitterに動きはありましたか。

購入してくださった方が、ビーズだけでなく、ビーズを使った料理をあげてくださっているので、“いいね”をしたり、ビーズの公式Instagramを運用している社員も色々絡んでくれるので、「わさビーズ」を知らなかった方たちにも情報を発信できているという実感はあります。

―今Instagramでビーズ公式アンバサダーを募集されてますね(取材時)。この取り組みは、若い方に「わさビーズ」を知ってもらい使ってもらうために始めた施策でしょうか。

そうですね。若い方たちにビーズシリーズを知っていただきたいという想いがあります。また田丸屋本店がオススメする食べ方だけでなく、実際、購入された方が作った料理をInstagramにあげてくださるので、使い方のバリエーションが増えますし、公式アカウントでリポストさせていただくとお客さまも喜んでくださるので、Instagramキャンペーン初の取り組みとして、ビーズアンバサダーの募集を始めました。

近い将来「甘いビーズ」が登場か!?

わさビーズは甘いものにもよく合うと評判。

わさビーズは甘いものにもよく合うと評判だ。

―Instagram キャンペーン以外に「わさビーズ」の売上アップや認知向上のために実施されている取り組みはありますか。

当初、「わさビーズ」は業務用として展開し、最初はマカオのホテルに卸し始めたという経緯もあり、高級なレストランやお寿司屋さんなどで起用いただけるよう力を入れています。

―今後、海外展開も視野に入れていらっしゃるのですか。

海外は、賞味期限が冷蔵で60日ないと難しいのでハードルが高いというのが実情です。船便の場合、常温で賞味期限が1年はないと難しいため、元々関係のあるイギリスの卸会社には、日本食レストランなどで需要があるということで、空輸で卸しています。

こういった状況もありますので、今は国内のレストランや飲食店を視野に入れ動いています。わさびの特性上、熱いものに非常に弱いので、冷たいもの使用されていることが多いと思いますが、「わさビーズ」はラーメンなど温かいものにも使っていただけますので、彩を豊かにするトッピングとして使っていただければと思っています。

―「わさビーズ」の今後の目標は。

開発者としては、次に何味を出すのか期待されていまして、頭を悩ませているところです。彩としては、今、緑・赤・黄色の3種類あり、香辛料としてもこの3種類で落ち着いているので、次は「甘いもの」など、香辛料以外のものができたらいいなと考えています。シリーズ化できれば、「わさビーズ」の売り上げもおのずと上がっていくと思っています。

また、広報としては今以上に認知を上げるために、「わさビーズ」単体ではなく、「わさビーズ」を使ったメニューを開発・発信していかなくてはいけないと思っています。

―松永さんオススメの「わさビーズ」の変わった食べ方を教えてください!

私は甘いものが好きなので、シュークリームと一緒に食べるのが好きです。「わさビーズ」を噛んだ時に甘いだけではない違った味が楽しめます。

松永さんオススメの「シュークリームとわさビーズ」。

松永さんオススメのシュークリームとわさビーズ。

―ちなみに、我が家にラー油ビーズとゆず胡椒ビーズもあるのですが、おススメの食べ方はありますか。

ラー油ビーズは中華料理に合います。卵かけご飯はよくアップいただいていて、黄身と赤のビーズで色合いが非常に良いです。ごまのラー油を使っているので香りも強く感じることができます。柚子胡椒ビーズは、皆さんソフトクリームに合うとおっしゃっていますね。

―やっぱり甘いものなんですね!!ありがとうございます!

わさビーズについて

株式会社田丸屋本店「わさビーズ」

株式会社田丸屋本店「わさビーズ」

構想から約10年。水や熱に弱いワサビの辛み成分はそのままに、生わさびよりも日持ちするわさびとして誕生。開発当初は「映え」を意識していなかったが、静岡県産ワサビから抽出した成分が透明緑で美しかったことから、海草由来の薄膜カプセルで包んだことで、SNSなどで話題の商品に。発売前から話題になり、一般販売告知時のツイートは1万回以上リツイートされ、ネットでは即完売となった。2019年には「グッドデザインしずおか」を受賞。2018年12月一般販売開始。累計販売個数は25万個超え。1瓶23g594円(税込み)。

広報担当者プロフィール

株式会社田丸屋本店 R&D部開発課 松永悠佑さん

株式会社田丸屋本店 R&D部開発課 松永悠佑さん

株式会社田丸屋本店 R&D部開発課
松永 悠佑(まつなが ゆうすけ)さん

大学で鮮度保持等について学んだ後、食肉加工会社に入社。その後、2012年に株式会社田丸屋本店に入社し、開発職として「わさビーズ」の他、漬物グランプリ2016『グランプリ』を受賞した「カマンベールWASABI」などのヒット商品を手掛ける。Twitterの“ナカの人”。

株式会社田丸屋本店(http://www.tamaruya.co.jp

明治8年創業。創業者が陸蒸気に注目し、わさび漬の計り売りをやめ、始めた「樽詰めわさび漬」が旅人たちに大好評を博し、「静岡名産田丸屋のわさび漬」の名が、全国に広まった。現在は、「わさビーズ」や「わさびとしらすの食べるオリーブオイルUMAMI OIL」など様々なわさび商品を発売し、「わさび漬けの会社」ではなく『わさびの総合メーカー』として、全国から注目を集めている。

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