宮崎駿監督からみるブランディング

こんにちは。
先週、久しぶりに宮崎駿監督4年ぶりの新作『崖の上のポニョ』が
公開されたということで映画館に行ってきました。
『崖の上のポニョ』は7月19日(土)に公開されてからの
3日間の観客動員数が興行収入304億円の日本記録を持つ
『千と千尋の神隠し』を超え話題となっています。

これまで日本で公開された邦画の興行成績は
1位 『千と千尋の神隠し』(304億円)
2位 『ハウルの動く城』(196億円)
3位 『もののけ姫』(194億円)
と宮崎作品が上位を独占しています。

モバイルリサーチを展開するネットエイジア社が
公開に先駆け、『崖の上のポニョ』を観に行きたいと
思っている人がどれくらいいるのかについて調査しました。
その結果、15~59歳の携帯ユーザー1000人のうち、
46.2%もの人が映画館で観たいと回答したのです。
なぜ、こんなにも宮崎アニメは多くの人から支持されるのでしょうか?


ネットエイジア社のアンケート調査で『崖の上のポニョ』を
観に行きたいと思っている人(46.2%)が
どのポイントに注目しているかというと…
「監督」 63.2%
「キャラクター」 45.7%
「製作会社」30.7%
「主題歌、音楽」 27.3%
「話題性」 27.1%
と続いています。
このアンケート結果の中から「キャラクター」と
「主題歌、音楽」に注目してみました。
まず、キャラクターについて。
宮崎監督のキャラクターに共通していえるのは、
1.主人公がどこかひたむきで応援したくなる存在
(共感したくなる存在)であること
2.脇役には、いそうでいないデフォルメされた
強烈な存在がいること
ではないでしょうか。
大人は主人公を通し、忘れかけていた夢や希望、
ひたむきに頑張るといった大切な何かを思い出すことができ、
子供にとって、登場する主人公は憧れや英雄といった
存在になっています。
また、『となりのととろ』の“まっくろくろすけ“、
『千と千尋の神隠し』の“湯婆婆(ゆばーば)”や“かおなし”のように、
脇役の存在は大人にとっても子供にとっても、そのストーリーを
鮮明に記憶する重要な要素となっています。
ストーリーはもちろん、このキャラクターたちの存在が
子供から大人まで幅広い層に支持される一つの要因だと
考えられます。
実際、ジブリの作品と言わなくても
キャラクターたちを見れば、多くの人がジブリの
作品だということがわかるのではないでしょうか。
そして、主題歌。
主題歌は、どの作品でも毎回話題となっています。
過去には、米良美一さんが歌った「もののけ姫」、
『魔女の宅急便』で荒井由美さんが「ルージュの伝言」
「やさしさに包まれたなら」など誰もが一度は耳にし、
耳にした多くの人が口ずさんでしまうような音楽ばかりです。
今回の「崖の上のポニョ」も、一度聞いたら頭から離れない
メロディーと9歳の大橋のぞみちゃんと中年デュオ
「藤岡藤巻」という異色な組み合わせがストーリーよりも
先行して話題となりました。
どんな映画なのかもわからないうちから、
なぜか「ポ~ニョポ~ニョポニョ」と口ずさんでしまった人も
多いのではないでしょうか。
このように、ジブリの作品は、
音楽から映画へ引き込むのが非常に上手いのです。
音楽を思い出すと作品を思い出し、作品を思い返すと
歌も連想され、見た人の心に印象深く残ります。
宮崎駿監督の作品は「監督の作品に対する想い」とその思いが
反映された個性的な「キャラクター」、そして、物語を印象付ける「音楽」
といった個々のパーツがうまく相乗効果を生み出し宮崎ワールドを
創り出していることがわかります。
つまり、多くの人から愛されるブランドイメージは
いくつもの要素が相乗効果を生み、創り出されるのです。
そしてこれは、企業のブランディングにも
同じことが言えるのではないでしょうか。
宮崎監督の例で言えれば、
・監督といえば~という監督個人のブランディング
・監督の作品に対する想い→経営者が描く会社のビジョンや企業理念
・個性的なキャラクター→会社の顔であり、会社のカラーを作る社員の魅力
・音楽→他にはない商品やサービス、USP
です。
ただPRを利用し経営者をメディアに掲載したり、
イベントを行うだけではブランドは作れないのです。
会社を構成する全ての要因を組み合わせ、
初めてブランドを構築することができます。
今回、宮崎アニメの作品を観て、
改めてブランディングの大切さを考えさせられました。
私もPRパーソンとして、知名度を上げるだけのPRではなく
企業のブランドイメージを構築するPRを心がけ、
目指していきたいと思います。

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