目立たない九州のとある県が、ド派手PRで地方創生を変えた

先週末に民間調査会社の「ブランド総合研究所」が毎年恒例の「都道府県魅力度ランキング2016」を発表しましたね。私の出身である京都府は北海道に後塵を拝し、2位という結果でした。なかなか勝てませんね。

でも、いいんです。
アメリカの大手旅行雑誌が発表する「世界の人気都市ランキング」で2014年、2015年と2年連続で京都は1位となっていますので。(2016年は検索しないでください。)

「はいはい、のっけから出ました京都人」という声があちらこちらから聞こえてきそうですね。私のように、京都生まれであることをひけらかす京都人は少ないですが、『日本の心は京都にある』ということを京都人は心の中で本気でそう思っています。

地元に誇りを持つランキングだと恐らく1位になる京都ですが、この誇りがなければ恐らく京都は観光都市にはなれなかったはずです。その誇りが伝統や歴史、文化を守ってきたからです。その誇りを持たせるために『京都』という授業を小学校で習うくらいです。(全国で実施していると思っていました。)

観光客の誘致や消費額の向上、都心からの移住を推進するなど、日本各地で『地方創生』の動きが活発化していることはご存知の通りかと思います。
地元を活性化させようと動く地方自治体や企業の取り組みをニュースでよく目にしますが、称賛の意味で『またおまえらか!』と言いたくなる、異質なPRを展開する都道府県があります。

それは「都道府県魅力度ランキング2016」で38位(前年45位)になった佐賀県です。

なにが異質だったのか見ていきましょう。

今月7月、佐賀県唐津市に女性を中心とした観光客がたくさん集まるイベントが開催されました。それは同市と人気アニメ「おそ松さん」がコラボしたイベントです。

佐賀牛や呼子のイカなど、佐賀の名物の被かぶり物をキャラクターが身につけ、町中のいたるところに登場したほか、キャラクターが名産品にプリントされた限定商品を販売したり、オリジナルラッピングバスで観光地を回りスタンプラリーをするなどし、4週間で1万7千人の観光客が同市に来ました。

同アニメと縁もゆかりもない唐津市がなぜ?という疑問がありますが、唐津市には松林「虹の松原」をはじめ、銘菓の松露饅頭や松原おこしなど、「松」の名がつく県産品や場所が多く、その「松」と、おそ松さんの「松」つながりで実現しました。

『無理やり共通点を見つけた』感が否めません。
プライド高い京都人には絶対に思いつきません。

ほかにもあります。

任天堂の人気ゲーム「Splatoon(スプラトゥーン)」とのコラボイベント「Sagakeen(サガケーン)」です。ゲームの主人公が「イカ」であることから、唐津市呼子町の特産品である「イカ」とタッグを組んだようです。

ゲームのキャラクターでラッピングした観光遊覧船を走らせ、呼子のイカなどの飲食や観光スポットを楽しむスタンプラリーを展開し、人口4900人という小さな港町に、2か月間で約1万3000人を超える観光客が全国から訪れました。

まだあります。

ゲーム業界大手のスクウェア・エニックスの人気ゲーム「ロマンシングサガ」と、名前つながりのイベント「ロマンシング佐賀」イベントを開催。キャラクターを転写した有田焼を販売したほか、ゲームキャラクターのラッピング電車を走らせたことで佐賀駅のホームには大勢のファンが詰めかけました。

これらのPRがうまくいった理由は、『佐賀県ならでは』というものを、異色のコラボレーションという形で情報発信できたことに成功のカギがあったと考えられます。先述の通り、京都に観光客を呼ぶための施策としては絶対に適していません。

地方自治体のPRとしては、ゆるキャラを作ったり、PRムービーを制作したり、どこかの地方自治体が成功した手法と同じことをしますが、よっぽどの意外性やインパクトが無い限り埋もれてしまいます。

これは企業のPRにも同様のことが言えます。
企業が抱える課題はそれぞれ違うはずなのに、他社が成功したPR施策を模した取り組みでは、埋もれてしまうだけで課題解決に繋げることは難しいと言えます。

世の中の動きや時流をくみ取ったストーリーをきちんと構築できなければ、その企業『ならでは』のPR施策はなかなか実現できません。

他社とは差別化を図りたい、自分たち『ならでは』の新しい取り組みをしていきたい、『ならでは』を探していきたい、というご要望があれば、いつでも弊社までご連絡をください。

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