広くメディアアプローチ全般において、メディアコンタクトを図る為にメディア向けの企画書を作成します。
プレスリリースを執筆する際には、逆ピラミッド型を意識するとよいとされ、重要事項を上から置いていくといいとされますが、メディア向けのニュースレターと呼ばれる企画書の執筆の際には、どのような工夫が必要なのでしょうか。
わかりやすさや、起承転結など、作成するにあたり、こだわるポイントがいくつかあると思いますので、今回は、コンセプトワークの観点から、作成のポイントを整理してみました。
以下にご紹介します。
この記事の目次
【企画書作成のポイントとは?】
① PR課題のセグメント
PRを行うにおいて、与件について、まずコンセプト上の整理を行う必要があります。
主に以下の6点について関係出し(ネタ出し)をすることが必要です。
2. 消費インサイト(消費者の本音)
3. 社会課題
4. DX課題
5. 経営資源
6. 業界(業務)環境
以上6観点の整理を行うにあたり、本稿を進める上で、関係出しの意味を以下に記します。
2. 対立(課題)
3. わからない・解決できないこと(ニーズと課題の融和)
4. 現状の解決策(トレンドの消費インサイトの旨み)
5. わからないことの中でわかるアイデア(メディアとしての合理的判断)
6. わからないことの中でわかる快楽(メディアとしてのニーズ)
つまり、時流から始まり、業界(業務)環境に至る1→6のすべてにおいて、下段に記した観点の関係出し(ネタ出し)をして、整理することがまず、はじめに行うべきことです。
②社会課題に横断する矛盾点のネタ出し
メディアの掲載において、特にテレビの報道・情報番組では、第3者のメディアとしての客観報道によって、社会課題を解決するというスタンスでの放送がされています。
つまり、TVメディアに採り上げられる為には、いかにして社会課題を解決することができるのかという視点がわかりやすく示されていなければなりません。
そこで、①において作業した関係出し(ネタ出し)が1つ進んで、3. 社会課題の1. 矛盾(ニーズ)について、1. 時流(トレンド)→6. 業界(業務)環境への細分化を行い、何が社会課題の矛盾として横断しているのか?を明らかにする必要があります。
社会課題があり、社会課題の矛盾点の横断があることを示すことがここでの作業です。
③シナジーを作る
高等学校の数学の領域に、最大公約数と最小公倍数という概念が登場したことを皆さんも覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
簡単に説明すると、最大公約数とは、共通して括れる1番大きなものであり、最小公倍数とは、最大公約数に因子を掛け合わせてつくる最小の共通する倍数のことです。
ここで言う『シナジーを作る』の意味では、最小公倍数を考えます。
最大公約数と最小公倍数の関係には、以下のような定理があるそうです。
というものです。
ここでは、この定理を使ってネタを考えてみます。
まず、最大公約数とは何でしょうか?
①と②で考えた矛盾(ニーズ)と対立(課題)というのは、1. 時流・2. 消費インサイトという上記の定理におけるaとbの関係のものについての、関係出し(ネタ出し)と言え、関係は、矛盾(ニーズ)が対立(課題)に働くことで規定されるので、この2つは、共通して括れる1番大きなものとして考えることができます。
今は、コンセプトで考えました。次は、最大公約数について、ベクトルの観点で考えてみます。
ベクトルとは、対象に作用するものです。世の中では、目的をはっきりさせることを求められ、目的論などという言葉もアドラー心理学にあったりしますが、目的をここでは、作用と捉え、『作用(目的:ニーズ)→対象(社会課題)』として考えます。
この時、この作用(目的)と対象(社会課題)が、ベクトルの観点で言う最大公約数です。
最小公倍数とは、最大公約数に因子を掛け合わせたものでした。
定理では、aとbの積を、GとLの積と言っているので、G×G×因子となります。
Gの最大公約数は2つ出たので、次に因子としての最低条件を考えます。
最低条件とは、文字通り「最低限で成り立つもの」です。
ネタにおける最低条件には、2つあります。
→最低条件としてのできる解決の課題を施策(トレンドのアイデア)にする
2. 業界(業務)環境の矛盾(需要ニーズの変化)と対立(供給課題)の解消を考える
→最低条件としての社会課題の矛盾点の快楽の部分を解決する為のインサイトに変える
『できる解決の課題』と『社会課題の矛盾点の快楽の部分を解決するインサイト』の2つです。
最低条件(トレンドの消費インサイト)の考え方として、Aじゃないという矛盾が打算的な視点に働くこととも言えると思います。打算的視点とは、損得勘定であり、都合に対して働く視点ということです。
つまり、Aじゃないという自分の都合という主観が、打算的な視点という客観に対して働き、そのことの客観が、相手の都合になることが1つ。もう1つは、Aじゃないという相手の都合の悪さという客観が、打算的な視点という自分の都合という主観として働き、結果相手の都合が客観的になることの2つです。
この、主客客ないしは、客主客という視点で、上に挙げた2つの最低条件(トレンドの消費インサイト)を考えてみてください。
④最低条件を時流と消費インサイトの最大公約数としての「対立(課題)」から、「矛盾(ニーズ)の裏返し」にして『メディアゴト(私のあなた)』にする
③の続きとして、主客客ないしは、客主客の最低条件をPR的観点で、どのように結論(旨み)にすればいいのでしょうか?
ここでは、高等学校の英語で習った『仮定法』を考えてみます。
仮定法とは、現実性の乏しい仮定の帰結としての時制(条件法)という考え方で、
条件法としての時制の考え方は以下の3つです。
2. 実際に起こりえないこと(現在)
3. 過去として、事実とは違うことが起きていたら、違う結果になっていた(過去)
この仮定法をとっかかりに、この3つの時制が、
絶対条件(ネタ出し)と切り口(作用(目的)→対象(合理的判断))の最大公約数的混然が最低条件にまたいでいること(シナジー化する)を前提にしていると考えます。
作用を目的としていますが、その先に対象が存在しています。
この時、目的の先に対象があることで、手段と目的が融和する状態となり、その先の対象に至るベクトルについては、単純な足し算で得をする合理性として認識できます。
仮定法で考えている、仮定の帰結としての条件は、『3つの時制』でありつつ、条件としての、『媒介としての目的:手段と目的の融和』です。
現実性に乏しいこと(仮定)の時制から、手段と目的の融和を媒介とする条件を考えると、
現実性に乏しいことが、手段と目的の融和を媒介として為すということなので、手段と目的の融和を感じる当事者が、私たちではなく、消費者側に委ねられると考えることができます。
すると、私たち発信者は、消費者にとっての手段と目的の融和を合理性という足し算で認識しているwin-winの関係にあると想定することができます。
ここで、仮定法の3時制に話を戻します。
現実性の乏しい仮定の帰結として、
『①起こりうる未来②実際に起こりえないこと③過去として、事実とは違うことが起きていたら、違う結果になっていた』の3つが、相手にとっての手段と目的の融和であり、そのことを私たちは、足し算として得することができている状態です。
消費者の「なりゆき」として、私たち企画者が合理的に得するという発想です。
これを、PR観点からコンセプトにしてみると、以下のように言えます。
『問題視が、メディアの愛が感じる愛の波(あなたの私が私のあなた)』
このコンセプトを、矛盾(ニーズ)と対立(課題)に即して考えてみると、
あなたの私とは、対立(課題)であり、私のあなたとは、矛盾(ニーズ)の裏返し(合理的判断)です。
そもそも、矛盾(ニーズ)とは、あなたのあなたという消費者自身の問題です。
つまり、私のあなたとは、その矛盾(ニーズ)の裏返しということになります。
そして、私の私という、私としてのニーズが根幹にあります。
ここで、私として考えるべきなのが、メディアということです。
つまり、企画書(ニュースレター)に記載する4. 現状の解決策としては、
最低条件を、時流と消費インサイトの最大公約数としての「対立(課題)」から「矛盾(ニーズ)の裏返し」にして、『メディアゴト(私のあなた)』にするという発想をすると言うことができまます。
まとめ
今回はTVメディアプロモートも想定した企画書(ニュースレター)作成のコツをコンセプトワークとして簡単にご紹介しました。
関係出し(ネタ出し)をすることが、全体をつかみ、one of themとしての、矛盾(ニーズ)→対立(課題)として働く認識を整理する上で、まず必要なことです。
会議でも、何が求められているニーズで、それが何の課題に対して働いているのかを理解していなければ、話自体を理解できていないということになると思います。
矛盾(ニーズ)が対立(課題)に働くことが関係の最低条件であり、関係出し(ネタ出し)の最低条件です。それを踏まえ、現状の解決策を導くために、わからないこと・解決できないことを掘り下げていくというイメージで理解するとわかりやすいと思います。
そして、PRには企画書作成の前に、報道分析という作業も存在しますが、今メディアで何が採り上がっているのかについて理解し、そこに合致するネタを提供することでなければメディア露出は当然獲得できません。
その報道分析によりわかるメディア傾向の部分は、関係出しにおいて、5. わからないことの中でわかるアイデアと6. わからないことの中でわかる快楽として整理することができます。
社会課題(わからないこと・解決できないこと)の具体案としての、メディア露出があり、
それに対して、横断する矛盾点が存在しています。
この矛盾点を解決することが、矛盾(ニーズ)を満たすという営業課題であり、そのことを理解するために、対立(課題)が存在しています。
私たち1人1人というのは、対立(課題)として存在しているので、ぜひそこにどんな矛盾(ニーズ)が動因として働きかけているのかを日々考えてみる習慣があると、関係出し(ネタ出し)の矛盾を与件に見出す作業も簡単になってくるのではないかと思います。
そして、PRは、関係出し(ネタ出し)をして、それをPRストーリーにしていく作業です。
③シナジーを作ると④最低条件を時流と消費インサイトの最大公約数としての「対立(課題)」から、「矛盾(ニーズ)の裏返し」にして『メディアゴト(私のあなた)』にする、の部分が謂わばPRストーリーに充たる部分です。
③シナジーを作るでは、最大公約数と最小公倍数になぞらえて話をしましたが、矛盾(ニーズ)と対立(課題)を『絶対条件』、作用(目的)→対象が、最低条件にまたぐことを『切り口』として理解することもできます。
つまり、絶対条件が切り口になることがシナジーを作ることであり、ストーリーテリングです。そのストーリーテリングを『メディアゴト』に変えることができれば、魅力的な現状の解決策を提示することになるのだと思います。
ぜひ、日々の企画書作成のご参考にしていただけると幸いです。
【ニックネーム】ぽっぺん
【これまで担当した業界】鉄道、レジャー・観光・動物園・水族館・ハウスメーカー・情報通信・食品・酒造・美容外科・医療人材・ファストフード・地方自治体 など
【趣味】音楽鑑賞・歌うこと・ラジオ聴取・カフェ・ウィンドウショッピング
【プチ自慢】大学時代から、毎日日記をつけていること