ヘルスケア広報は “1月” に何を出すべきか?新年の「健康決意」を成果へつなげる2段階のPRロードマップ

1月は、生活者の健康意識が一年で最も高まる“ゴールデンタイム”です。「今年こそは痩せたい」「生活習慣を整えたい」というポジティブな健康決意がピークに達する一方で、インフルエンザの流行や花粉症の早期飛散といった不安要因も重なり、健康情報への需要が爆発的に急増します。

しかし、2026年の年始は実働日が少なく、単に情報を発信するだけでは他社のリリースに埋もれてしまいがちな状況にあります。そこで今回は、1月を2段階のフェーズに分けた戦略的な活用法を解説します。

なぜ1月は、年間で最も「健康情報」が求められるのか?

ヘルスケア企業や医療関係者にとって、1月ほど健康に関する情報発信の影響力が高まる月は他にありません。Googleトレンドを見ると『ダイエット』『運動』『健康』といったキーワードの検索量は毎年1月頃に高まりやすく、SNSでも新年の抱負の投稿が目立ちます。

ポジティブな動機とネガティブな動機が同時に混在している傾向も見受けられます。
今年こそ、新しい自分になりたい!」といった前向きな決意と、「新年早々に体調を崩したくない、、、」という切実な不安が同時に立ち上がるため、生活者はあらゆる健康情報に対してとても敏感になっていると思われます。
この機会を逃さないためにも、生活者の心理の変化に合わせた「二段階攻めの広報」が効果的です。

第一フェーズ(1月上旬~中旬)

専門家の「知恵」で “からだのリセット” を支援する!

仕事始め直後の1月上旬は、年末年始の非日常から日常へ戻らねば、、ともがいている方も多く見受けられます。この時期に求められるのは、すぐに実践できる「リセット術」です。

「正月太り」「胃腸疲れ」「乱れた睡眠リズム」といった健康面での課題に対し、医師や管理栄養士などの専門家の知見を借りて「今日からできる解決策」を企画提示するのはいかがでしょうか。
例えば、「暴飲暴食後の胃腸を休める食事ルール」や「体内時計を戻す朝の習慣」といった、即効性のあるコンテンツはメディアに好まれる傾向にあります。

他にも「三日間で整える“ゆるプチ断食”スケジュール」や、「仕事始めの朝に効く“通勤中だけ小さく変える習慣アイデア集」なども企画アイデアの一つかと思います。いずれも「今日からできる○○」「3日で変化を感じる○○」といった見出しと合わせるような企画案とセットにすることをお勧めします。 

このような企画案は、メディアに載りやすい即効性のあるコンテンツとして興味関心を持たれやすい傾向にあることが、過去のPR経験からも見て取れます。

第二フェーズ(1月下旬〜2月)

ここが勝負所、「調査PR」で“ 現実と理想のギャップ” を可視化する

次に広報担当者やPR担当者が力を入れるべき時期は、1月下旬からの第2フェーズです。 1月も下旬になると、SNS上では「ダイエットが続かない」「寒くてジムに行けない」「お正月の食生活の影響が、、、」といった声が増えてくるなど、いわゆる健康面での“三日坊主”が顔を表してきます。

このタイミングこそ、「調査PR」の出番です。 メディアは、このような「理想と現実のギャップ」や「挫折からの再スタート」といった文脈の企画を探しています。では、具体的にどのような調査が刺さるのでしょうか。おススメしたいのは次の3つの切り口です。

①「今年こそは!健康宣言したばかりで早くも挫折が約8割」などの意識調査

例えばですが、「新年の健康決意、実は8割がすでに挫折している」といった実態を明らかにします。ネガティブなデータに見えますが、世間に「自分だけじゃないんだ」という安心感を与え、そこから「なぜ続かないのか」という“原因”と「どうすれば続くのか」「どうリカバリーしたら良いか」といった“解決策”などを提示することで、自社の商品やサービスへの自然な導線を作ることができるのではないでしょうか。

②「潜在的な隠れ不調」のような実態調査

1月に入ると一段と寒さは厳しくなり、「冬バテ」や「寒暖差疲労」といった不調が出やすい時期にもなります。例えば、「なんとなく不調を感じている人は9割以上」といった潜在的なニーズを掘り起こし、その原因が自社の解決できる領域(例えば、サプリメント補助、栄養不足、睡眠の質の改善、冷え対策など)にあることを客観的にデータで示すことも可能になります。アンケート調査で出た結果は、客観性の伴ったデータになるので、PRには適しています。

③「春への意識」調査

少し目線を変え、2月以降の「花粉症」や「新生活」への備えを問う調査です。例えば「今年の花粉対策、まだ始めていない人が7割」などという結果が出れば、「早期対策の重要性」を啓蒙する強力なファクトになります。このように、一例ではありますが、花粉症は様々なグッズやサプリメント、菌活、治療や食事面での補助など、多岐にわたる対策が可能です。
客観的なデータを示しつつ、訴求したい内容に導くPR施策として、効果を発揮する可能性があります。

いまからでも間に合う「調査PR」のスケジュール

年末年始も考慮し、調査PRを成功させるための理想的なスケジュールは以下の通りです。

≪12月中旬〜下旬≫ 企画・設計

年末の慌ただしい時期ですが、ここで調査票(質問項目)を確定させます。ポイントは「ニュースの見出しになりそうな回答」を想定して設問を作ることです。また、専門家の監修予定がある場合は、この段階でアサインしておくとスムーズです。

≪1月中旬≫ 実査(アンケート実施)

ここが重要なポイントです。年明け早すぎると生活者の感覚が正月気分のままであるため、仕事や学校が始まり「日常に戻ったタイミング(1月第2週目あたり)」で実査を行うと、よりリアルな「疲れ」や「挫折感」のデータが取れるでしょう。Web調査であれば数日で回収可能です。

≪1月中旬~下旬≫ 集計・リリース作成

回収したデータを分析し、専門家のコメント・考察を合わせます。「調査データ(事実)」+「専門家の意見(権威)」+「自社ソリューション(解決策)」の三段構成でリリースを仕上げるのが理想です。

≪1月下旬〜2月上旬≫ リリース配信・アプローチ

年始の健康管理に関する“三日坊主”が話題になりそうなタイミングに合わせてリリースを配信します。メディアの関心も引き寄せられそうな時期にプレスリリースを投下することで、記事化の確率も上がると想定されます。

戦略的な「二段構え」が信頼を育む

1月上旬は「リセット術」で生活者に寄り添い、1月下旬は「調査PR」で潜在的な課題を可視化して背中を押す。 この「二段構え」の戦略こそが、情報の洪水が起きる年始においても、埋もれずに成果を出すための広報活動のロードマップになります。

特に調査PRは、タイミングと切り口(世間のギャップを反映すること)さえ間違えなければ、確かな武器になり得ます。2026年の年始は、生活者の心の動きに合わせたスケジュールで、良いスタートを切ってください。
本稿で紹介した「2フェーズのPRロードマップ」はあくまで基本形に過ぎません。実際には、自社のターゲット、商材、メディア特性に合わせて、より精緻な設計が必要になります。

そこで今回の寄稿テーマを深掘りした「ヘルスケア 年始のPRバイブル」を用意しました 。
このバイブルでは、本稿で記載したロードマップを具体的なアクションに落とし込むための実践チェックリストや、広報担当者に寄せられる疑問に答えるFAQ、さらにはニュースの見出しを作る調査テーマの具体的な切り口など、本稿の内容を即座に実行に移すための実践的な付録と詳細なノウハウをさらに詳しく解説しています。
ぜひ以下より資料をダウンロードいただき、2026年のPR計画にお役立てください 。
▶︎『ヘルスケア 年始のPRバイブル』ダウンロードはこちら
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株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】カープマニア
【これまで担当した業界】IT、自動車、食品メーカー、飲料メーカー、自治体、
            医療、家電メーカー、レジャー施設、金融、教育、他多数
【趣味】高校野球、広島カープ、川崎フロンターレ、ハワイ
【プチ自慢】両利き。お箸も野球もサッカーも、手足を左右同レベルで扱えます

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