新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワークを導入した企業が増えました。コロナ禍をきっかけとして、引き続きリモートワークを推進する企業も多いのではないでしょうか。
私たち株式会社ニットは、創業当初の6年前からフルリモートを前提に事業を行っており、400人全員がフルリモートで勤務しています。したがって、コロナより前からリモートワークには慣れており、業務フレームが出来上がっています。
そこで今回は「フルリモートでも、広報PRが存在感を発揮する社内コミュニケーション法」について私からお伝えしたいと思います。「広報は対面で行わないといけない業務も多いのに、それをオンラインで行うなんて厳しいのでは」と思っている広報担当の方も多いのではないでしょうか。どのように経営者や社内メンバーとコミュニケーションを取っているのか、社内からネタを収集するために行っている工夫などを私の体験を元にお伝えします。
この記事の目次
広報は経営。社員を巻き込む台風の目
今回は社内コミュニケーションの相手を「経営者」「社内メンバー」「広報チーム内」の3つに分けて考えていきたいと思います。
まず、経営者とのコミュニケーションについて私が意識していることを2つお伝えします。
タイトルにも書いた通り、広報は経営です。「今、自社をどのように露出していくか」「その露出が、自社へどのような影響をもたらすか」という経営観点が大切です。
①時流を読んで、提案する
経営者を巻き込むコツは、世の中の潮流から「次は●●が来る!」を予測して、「これを仕掛けていったら、きっと当たると思います!」と提言していきます。そして、「そうだな!よし!やってみよう!」と共感してもらうことが大事です。やはり、経営者というのは、常に未来を見ていますし、その未来へワクワクするような提案をすることで、承認が出やすいと思っています。
②社内の動きや出来事を共有する
会社はメンバーがいるからこそ成り立っています。そのメンバーが働いている現場で起こっている出来事は、経営者も知っておくべきだと私は思っています。「今日○○さんがこういう働きをしてくれました!」「オンラインコミュニティが盛り上がっています!」など、直接経営者には関係ない内容でも、社内の良い動きやハプニングなどを広報が潤滑油となって共有することで、経営者とメンバーの間接的なコミュニケーションを図ります。
社内メンバーへはgiveの精神と積極的なアプローチ
社内の忙しいメンバーを巻き込み取材の依頼をすることは、広報にとって大変な仕事のひとつですが、社外に自社の魅力を伝えるためには欠かせないコミュニケーションですよね。私は以下のように意識をしています。
①「giveの精神」で関係性を構築する
メンバーとは、日頃からの関係性作りこそ、肝だと思っています。私は常に「giveの精神」を大事にしています。見返りを求めず、「小澤さん○○で困っているのだけど・・」と言われたら一緒に課題解決に向けて取り組む姿勢を大事にしています。またある時は「こういう企画やってみたいな」という声があれば、一緒に実現に向けて自分が実行者となり進めています。
このように「giveの精神」を持つ姿勢により、こちらから何か依頼をする時に、「しょうがないなぁ、広報に協力してあげよう」と思ってもらえます。また、メディアを通じて綺麗事を言ったり、現実とギャップのあるようなことを言ったりすると、社内が白けてしまうので、あくまでも、「等身大な発信を心掛ける」「社内の人が自社を誇りに思えるか」という思考を大事にしています。
②オンラインで積極的にアプローチする
リモートワークだと、雑談の機会が圧倒的に減りますよね。ニットでは、毎週木曜の16:30-17:00に雑談タイムを設けています。それ以外にも、個人的に、気になった人には「ねぇねぇ、ちょっと話さない?」と声をかけてオンラインで1on1を実施したり、色んな会議にフラッと立ち寄ってみたり、社内イベントには積極的に運営側として参加したり、オンラインコミュニティには全てに入ったり、呼ばれた会議は絶対に断らなかったりなど、とにかくオンライン散歩をよくしています。
そのような些細な雑談やコミュニケーションの中で、「それプレスリリースネタになりそう!」「その発想、面白い!よし!イベントやろう!」と、ネタを収集したり、イベントを実現したりしています。広報は、社内の色々な人と絡むことで、関係性をつくり、ネタを探しやネタづくりを一緒にしていくスタンスが大事だと思っています。
ちなみに、株式会社ニットのオンライン入社式やメンバーのお子さん向けのリモートワーク体験、ハロウィンweekなどは、雑談から生まれた企画です。
株式会社ニットの広報チームは全てオンラインで業務を遂行
最後に私が一緒に事業を推進している広報チーム内のコミュニケーション方法をご紹介します。
私が所属する広報チームは、カナダのバンクーバー在住(時差16時間)のメンバーを含む計4人体制であり、全員フルリモートで運営をしています。
オンラインチームでの業務遂行ポイントは大きく4つあります。
①全員のタスク表を、全員で管理
誰かに業務を依頼する際は、依頼者のタスク表に入力し、抜け漏れのない状態を作っています。また、そのタスクが完了したかどうかのチェックボックスもつけているので、チーム全体の進捗状況も把握することができます。
②「私がやっておくよ!」の精神
気付いた人が、気付いたタイミングで、対応するという文化を作るようにしています。担当者が決まっていない業務を放置したら、それが流れてしまう危険性もあるので、自分の仕事の垣根を超えて、お互いにフォローし合うようにしています。
③テキストコミュニケーション力アップ
オンラインで業務を遂行する場合は、テキストコミュニケーションの量が各段に増えます。相手に伝わるか、分かりやすいか、気持ちよく仕事ができるかという意識を持って、テキストコミュニケーション力を磨く必要があります。
④愛と配慮
「誰かがやってくれるから、いいや」ではなく、「大丈夫かな。」「手伝えるよ!」「ありがとう。」など、お互いを想いあう気持ちが欠かせません。
そういった配慮を全員が持つことで、チーム力もあがり、対応できる業務の幅も増やすことができます。
ちなみに、チームメンバーとオンラインでは何回も顔を合わせているものの、対面では一度もあったことがありません。しかし、テキストコミュニケーションを中心とした小まめなやりとりにより、スムーズに業務を進められています。
また、疑問があればすぐに確認できる関係性や文化作りを心掛けているので、業務に関する認識のズレなどが起こることも少ないように感じます。
上記のように内部の広報業務に関してはオンラインで推進していますが、対外的な部分ではやはりオフラインでしかできないこともあります。それは「取材対応」「記者さんとのアポイントメント」の2つです。
現在は私がそのオフライン部分を主に担当しています。
広報業務に関してのオフライン部分
①取材対応
最近では、オンライン取材も増えているので、Webメディアや新聞などはオンラインで行うケースばかりです。TVはいわゆる「絵になる」ネタが大事であるため、オンラインよりはオフラインで取材いただく場合が多いです。しかし、最近、TVもオンライン化が増えてきています。北海道のTV番組に取り上げていただいた時は、TVの撮影もZOOMで繋ぎ、フジテレビさんに取り上げていただいた時は、動画をお送りして、それを放送していただきました。
②(必要があれば)記者さんとアポイントメント
関係性ができた記者さんをランチにお誘いし、会社へお邪魔させていただいて情報交換をすることがあります。こちらはオンラインよりも、ざっくばらんに情報交換ができるため、対面で会う機会を重視しています。皆さんお忙しい方ですので、1回は直接お会いするものの、その後は、メールと電話でのやりとりが中心です。
広報を通じて、『働く』の世界を変えたい
最後に、私の広報をするにあたっての想いをお伝えしたいと思います。
元々は新卒で入社したリクルートで営業を10年行ってきまして、その後ベリーズでの起業を経て、株式会社ニットへ転職いたしました。そして、昨年の7月に広報へ異動したばかりのまだまだ駆け出しの広報パーソンです。
それでも今は、「広報を通じて、『働く』の世界を変えたい」というのが、私の大きな夢です。
その先に、お客様への貢献・還元を実現し、社内メンバーが誇りに思えるような会社にしたい、というのが確固たる想いです。
執筆者プロフィール
株式会社ニット(https://knit-inc.com/)
小澤 美佳
Twitter:@mica823