コロナより前からフルリモート組織が実践するインナーブランディングの進め方

こんにちは。株式会社ニットで広報を担当している小澤美佳です。
広報といえば、テレビや新聞、WEBメディアなどでの露出がメインミッションのように思われがちですが、私はその土台となる「インナーブランディング」が何よりも重要だと思っています。

当社では、定期的に「幸福度調査」を行っています。2022年2月に行った最新の調査では、企業風土については93.1%、働き方・業務内容については89.7%のメンバーが「とても満足」「おおむね満足」と回答しており、当社におけるインナーブランディング向上施策の成果が目に見える結果となりました。

これを踏まえ、今回はインナーブランディング向上のために実際に当社で行っている施策などを紹介します。

参照)第2回幸福度診断結果概要:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000337.000059127.html

インナーブランディングがなぜ重要なのか

一般的に企業のブランディングというと、社外に向けたアウターブランディング活動をイメージすることが多いと思います。それに対してインナーブランディングは、社内向けのブランディング活動のことで、従業員自身の企業に対するイメージ向上を図る施策のことです。

当社ではこのインナーブランディングを特に重要視しています。いくらメディアで「弊社の風土は温かくて、みんな生き生きとしています!」と表向きに発信していたとしても、実際には社内サービスが整っていなかったり、離職率が高い組織であったとしたらどうでしょう。その外部向けの偽りのメッセージに従業員は白け、士気が下がってしまうことも考えられます。また、それが引き金となり離職を増加させることにもつながりかねません。

このように土台となるインナーブランディングが整っていない段階で、外部広報活動を行うことは、時期尚早であると私は思っています。広報というのは、外部向け(アウターブランディング)と内部向け(インナーブランディング)とがシームレスに協業し、相乗効果を図ることが大事なのです。つまり、アウターブランディングを高めるためには、インナーブランディングを高めることは不可欠であると考えています。

インナーブランディング

弊社の目指すインナーブランディング

「400人×フルリモート×日本全国・世界33か国×働く時間も千差万別×フリーランス集団」というダイバーシティ組織である当社では、インナーブランディング向上のために、以下の2つの点を大切にしています。

①多様性の尊重

当社では、広報が主体となり、メンバー全員のデータをまとめました。特徴的な人たちを取り上げ表現することで、多様性を重んじる組織環境であることが分かる内容になっています。

参照)knit&HELP YOUメンバー図鑑:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000277.000059127.html

近年、日本では人口減少による労働力減少は深刻な問題です。このような中で、人材を確保するためには、時短女性、シニア、学生インターン、外国人など、多様な人材の採用が鍵になると考えています。テレワーク、外部リソース、ロボット化など、さまざまな境遇の人たちが働けるための柔軟な環境作りは、事業戦略にも直結していくでしょう。

②幸福度を高める

年に2回、メンバーに対して幸福度調査を実施することで、メンバーの幸福度の状態を数値化しています。これにより、組織全体・チーム・個人別の幸福度の実態を把握し、その数値をどのように上げていくのかの検討材料にしています。

先述の通り、当社メンバーの職場に対する幸福度は、全国平均より大きく上回り、他社比較でもトップクラスのスコアとなりました。これに甘んじることなく引き続き満足度向上のために取り組んでいきます。

参照)第2回幸福度診断結果概要:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000337.000059127.html

優秀な人に選ばれ続けるために、会社として従業員のエンゲージメントや幸福度を上げていく努力が不可欠です。多様性を尊重し、幸福度を上げていかなければ、事業存続自体も危ぶまれると私は思っているからです。

テレワークでもできる!インナーブランディング施策5つ

当社では、フルリモートという特性上、それぞれの環境・状況に合わせた働き方ができるという点においてメンバーの満足度は高まりやすいと言えます。その反面、帰属感が得られにくいという課題もあります。帰属意識は、社員エンゲージメント向上のために大切な要素でもありますが、オンラインでそれを向上させることは、オフラインの何倍も難しいのが現実です。

オンラインで組織文化を醸成・共有し、帰属感を得るためには、やはりインナーブランディングが有効です。ただし、1箇所に集まって何かをしたり、掲示物を掲げるなどという一般的な会社が実施できるインナーブランディング施策は講じられません。そこで、フルリモートであってもメンバー同士のつながりが感じられるような当社ならではの取り組みをご紹介します。

①コミュニティ/サークルを創出

雑談の時間が圧倒的に少ないテレワーク下では、業務・業務外に関わらず、メンバーとのやり取りをする場所を設けることが必要です。

当社では、普段から使用しているチャットツールを使い、コミュニティやサークルを創設しています。その数は現在では40以上もあり、日々の雑談や趣味に関することについて自由に発信、情報交換をすることで、メンバー同士のつながりを深めています。

②社長による定期的な発信

会社の顔である社長から、社内に向けて定期的にメッセージを発信することも大切です。月に1度、四半期に1度など、定期的にメンバーに対して、社長の思いを言葉にして伝えることで、会社の方向性の確認はもとより、従業員の仕事へのモチベーションアップにもつながります。

③社内イベントの実施

社内イベントの実施

特にテレワークでは、飲み会やお花見、キックオフなどの対面でのコミュニケーションが難しいため、当社では、様々なオンライン社内イベントを企画・実施しています。

壁紙を桜の花で揃え、それぞれ好みのドリンクを用意して開催する「オンラインお花見会」、世界各地にいるメンバーが現地から中継をする「バーチャル世界一周旅行」、年末には景品を用意したビンゴゲームで盛り上がる「オンライン忘年会」など、季節ごとに実施しています。

④社内報の活用

社内報は、会社の方向性を指し示すのに有効なツールです。各部署の取り組み、表彰者発表、結婚・出産報告など、会社に関わる人・モノ全てがテーマの社内報は、会社の文化醸成のために活用されることが多くあります。

フルリモート組織の当社では、紙ベースの社内報の代わりに、「喜びの部屋SPECIAL」という全メンバー参加型のオンラインコミュニティグループを創設し、この役割を担っています。このグループ部屋では、オンラインイベント開催情報、アップセル事例、お客様からの嬉しいお声、会社の新しい取り組みについてなどが通知され、メンバー全員で共有しています。

➄表彰制度の導入

表彰には、社員のモチベーションアップだけでなく、経営の方向性を伝えるのにも効果的です。事業戦略上の「こうあってほしい行動」を表出することでマネジメントにも有効活用できます。

目的別 表彰内容の選出ポイント例

・行動指針を浸透させたい場合:それを選出ポイントにする
・顧客志向を浸透させたい場合:お客様満足度を選出ポイントにする
・チームの相互理解を深めたい場合:自薦・他薦を現場から募る 等

インナーブランディング向上は企業ブランディング向上につながる

当社では、アウターブランディングもインナーブランディングも、どちらも広報組織が施策担当をしています。広報の視点から世の中の潮流を捉え、事業への提言を行ったり、組織開発へ加わったり、イベントの主催をしたりという、広報主体のネタを発信しやすいというのが、その理由です。

また、このようなインナーブランディング向上のための取り組みを積み重ねていくことでメンバーが誇りを持てるような会社になれば、それがサービスブランディングや採用ブランディング、さらには、社外に対する信頼にもつながっていくと考えています。

今回は、企業ブランディング向上にも結びつく大切な取り組みでもあるインナーブランディングについて、当社の取り組みを中心にお伝えしてきました。少しでも参考にしていただければ幸いです。

執筆者プロフィール

株式会社ニット(https://knit-inc.com/
小澤 美佳

リクルートで10年間、営業マネージャーやリクナビ副編集長として勤務した後、中米ベリーズへ移住し起業。2019年に株式会社ニットに転職し、2020年7月より広報担当となる。副業で大学の非常勤講師として、キャリアや就職の授業を担当。
Twitter:@mica823