株式会社ニット流、成果につながるプレスリリースの書き方

株式会社ニットでは、毎月15本のプレスリリースを配信しています。そこからメディア取材、掲載につながったケースもあり、広報として力を入れている活動の一つです。当社がこれまで試行錯誤を繰り返しながら、質・量ともに上げてきた実績を元に、成果の出るプレスリリース配信のポイントを事例とともに紹介します。

プレスリリースで配信する企業活動とは

企業の新情報、新しい取り組みやサービスなどを報道機関に対して発表するプレスリリースですが、その配信契機となる企業活動は実にさまざまです。

大きく分けると、「事業展開」と「組織の取り組み」に分けることができます。さらに、それぞれ「実施すること自体」と「その結果」が配信契機となります。
例えば、事業展開でいうと新サービスを開始するということで1本プレスリリースを配信することができますし、サービスの導入実績や事例が出てきたタイミングでもプレスリリースを配信することができます。

組織の取り組みも同様です。オフィス移転や業務提携、SNSアカウント開設といった事業展開を行うことや公的機関等からの受賞・認定といった結果もプレスリリース配信の契機となります。

私たち広報は、こういった考えのもと、マーケ・営業、人事とディスカッションをしながら配信機会を創出しています。リリースネタを作るために、時には広報主体でイベントを開催することもあります。

プレスリリース配信による5つのメリット

当社が月に15本も継続してプレスリリースを出し続けるのには理由があります。それは、広報としてのメリットが大きいためです。以下で簡単にご説明します。

メリット①:メディア掲載のチャンス

PR TIMESのような大手のプレスリリース配信サイトを利用すれば、一度にメールで200メディアに配信することができたり、PR TIMESの提携メディアへ転載してもらうことができます。それが記者の方の目に留まれば、それを取り上げて記事化や取材される可能性もあります。

メリット②:世の中に広く情報発信できる

プレスリリースは誰もが閲覧できるため、メディア関係者だけでなく自社のステークホルダー、一般消費者、さらに社員やその家族にまで自社の動きを伝えることが可能です。また、企業の公式文書として、新規情報が簡潔に整理されているプレスリリースは、営業など企業のフロントとして対応する人が、自社の動向を説明する際にも活用できます。

メリット③:売上への寄与

プレスリリースの配信で世の中に情報発信ができれば、サービス認知の拡大が期待できます。また、サービス情報だけでなく、企業活動の姿勢や理念を発信することで、会社の信頼増幅、商品やサービスの売上向上につながる場合もあるでしょう。

メリット④:採用活動に貢献

会社の認知度が上がれば採用にも大きく影響します。当社でも、2年前から広報活動を強化してきた結果、以前より、採用に関する応募が各段に増加しています。Yahoo!のニュース欄に掲載された当社のプレスリリースを見て、会社のホームページへ来訪し、そのまま応募してくれたケースもありました。

メリット➄:費用対効果が高い

プレスリリース配信にかかるコストは、プレスリリース配信サービス料金のみです。広告出稿にかかる多額の費用と比べても、低コストで高パフォーマンスを発揮します。特に、①メディア掲載を獲得できればその効果は抜群です。

【準備編】プレスリリースを継続させるコツ

プレスリリースは上記費用のほかに、作成や配信業務などで手間と時間がかかるのも事実です。しかし前述のメリットが得られるならば、継続して取り組む価値は十分にあるでしょう。

以下は、私がプレスリリースを継続するために工夫していることです。

◆目標を設定する

まずは下記のような目標を設定することが重要です。

  • KGI→広報主体の露出:月40本
  • KPI→プレスリリース配信数:月15本
  • 当社の場合は、プレスリリース配信数は行動目標として置き、月15本配信を続ければ、自ずと転載が増えて認知度拡大につながり、売上や採用へ寄与できるという算段の元、この設計をしています。

    ◆オンライン散歩をする

    「ネタは全て現場にある」という信条のもと、営業のミーティングに参加したり、新人との座談会を開いたりすることもあります。現場で情報を収集し、プレスリリースにできそうなネタを拾ってくるのです。

    ◆自ら機会を創る

    それでもネタが落ちていなければ、広報からネタ作りを仕掛けるのも一手です。過去には、オンライン入社式や忘年会、お客様とのイベント実施などを広報が企画・実行し、発信してきました。

    ◆1つのネタを複数に分ける

    1つのイベントでも、工夫次第で複数回の配信につなげられます。例えば「イベント登壇」というニュースの場合には「①告知」と「②実施後レポート」に分けることができます。

    (例)
    ▼実施前告知プレス
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000354.000059127.html

    ▼実施後レポートプレス
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000360.000059127.html

    【実践編】プレスリリースをPVアップさせるポイント

    多くの人の目に触れるためには、やみくもに数を増やすのではなく、その内容にも配慮が必要です。1記事あたりのPV数平均が400~500と言われる中、当社のプレスリリースPV数は、平均で800近くあります。
    この成果は、内容を戦略的に作り込むことで実現できているのだと思っています。そのポイントをお教えします。

    ◆アイキャッチにこだわる

    「多くの人に見てもらいたい!」という場合は、まず目に入るアイキャッチ画像を当社メンバーの中のクリエーターに作成してもらいます。プロが作成するアイキャッチは、軒並みPVが良く、視覚的な第一印象は大きいのだと感じています。

    ◆構成にこだわる

    構成が分かりやすい記事は、Googleの評価が高くなります。当社での王道の構成は以下の通り。

  • キャッチーなタイトル
  • 結論
  • 実施する背景(★)
  • 詳細説明
  • 担当者の想い(★)
  • 会社紹介
  • (★)の部分で叙情的な内容を加え、より豊かな文章になるようにします。これにより、読者の滞在時間が長くなり、さらに記事評価が上がります。

    ◆画像挿入にこだわる

    これまでのプレスリリースを分析した結果、画像部分での読者の滞在時間が長いことが分かりました。そこで、効果的な写真や文章を強調するような画像を挿入することを意識しています。

    ◆関連したプレスリリースを載せる

    1つのプレスリリースの中に、関連した過去のプレスリリースのURLも記載します。こうすることで、過去にリリースしたプレスリリースへの訪問が増え、さらに会社として「アピールしたい」内容を強調し続けることもできます。

    【応用編】プレスリリース配信の意図を明確にする

    プレスリリースを作成する際には、配信の意図に合わせて記事の内容に変化をつけるといいでしょう。当社では、次の3パターンに分けています。

    (1)取材狙い

    「さらに話を聞きたい!」というような企業としての兆しや取り組み内容をプレスに記載
    + プレスリリースのURLを共有し打ち合わせ

    この場合は、プレスリリースだけで完結させるのではなく、プレスリリースの情報から関連して相手が気になる情報を用意して、電話で直接会話をしながら、提案まで持っていくことを目的にしています。

    例えば当社では、コロナ禍の4月には「オンライン入社式」情報の需要が増えると見込み、メンバーの「オンライン入社式」を1月と3月にプレス化し、GoogleとYahoo!の検索順位1位、2位を独占させる状態で4月に備えました。結果、テレビの取材につなげることができました。

    (2)転載狙い

    写真をたくさん使用 + そのまま掲載しやすい内容

    プレスリリースを見た記者の方に、記事を書いてもらうことを狙うパターンです。当社では「オンライン世界一周旅行イベント」のプレスリリースに、画像制限MAXの20枚を載せることで視認性を高めました。その結果、転載や記事化で取り上げてもらった数は他の記事の3倍近くにアップしました。

    満足度90%!参加者630人!世界12カ国・15拠点を繋いだ「バーチャル世界一周旅行第2弾」
    <イベントレポート>
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000059127.html

    (3)会社の信用度アップ狙い

    とにかくリリース!会社の動向を伝える

    「連載執筆スタート」「会社説明会実施」など、会社での取り組みをどんどん発信していくことです。これにより、「動きのある企業」と認識してもらえます。

    プレスリリースは重要な広報活動

    会社情報を「どう表現したらニュースとして発信できるのか」を日々思考し言語化するのも広報の重要な業務の一つです。会社情報の継続的な発信は、会社・サービスのブランドイメージ構築の一助となります。

    つまり、プレスリリースの強化は、企業ブランディングの強化につながると考えています。
    当社での事例が、皆さまのプレスリリース配信のヒントとしてお役立ていただけたら嬉しく思います。

    執筆者プロフィール

    株式会社ニット(https://knit-inc.com/
    小澤 美佳

    リクルートで10年間、営業マネージャーやリクナビ副編集長として勤務した後、中米ベリーズへ移住し起業。2019年に株式会社ニットに転職し、2020年7月より広報担当となる。副業で大学の非常勤講師として、キャリアや就職の授業を担当。
    Twitter:@mica823