毎年2月が近づくと、広報、特に企業広報の現場では「今年はバレンタインに絡めて何かやりましょうか」といった会話が自然と生まれます。しかし一方で、そういった企業広報の施策に対してSNSなどでは批判や炎上が並ぶこともあります。
多くのケースで企業側に悪意はありません。むしろ「盛り上げたい!」「配慮したつもりだった…」というのがホンネでしょう。それでもなぜ、バレンタインPRは炎上してしまうのでしょうか。
本記事では、実際に起きた事例を手がかりに、バレンタインPRが抱えるリスクを紐解き、広報として取るべき判断軸を整理します。
この記事の目次
なぜバレンタインPRは「悪気がなくても」炎上するのか?
バレンタインPRの炎上の原因となるのは、「表現の言葉尻」だけではありません。バレンタインというイベント自体が持っている「性質」にもあります。
多くのバレンタインを絡めたPR施策には、無意識のうちに次のような前提が組み込まれがちです。
② 恋愛や異性愛を前提とした世界観。
③「その文化に参加するのが当然!」という同調圧力です。
これらは、普段であればそこまで深く考えることではないかもしれません。しかし企業PRとして発信された瞬間、それは「会社としてその価値観を支持しているメッセージ」へと変わります。
広報担当者にとっては“昔からある行事”でも、受け手にとっては「価値観の押しつけ」となりかねない、、、。このズレこそが、バレンタインPRが炎上しうる最大の理由です。
【実例①】「善意の義理チョコ企画」が批判を浴びた理由
数年前、ある企業がバレンタインに合わせて「職場のコミュニケーション活性化」を目的とした義理チョコ企画を発信しました。
内容自体は、「感謝を伝えるきっかけに」という前向きなもので、社内イベントとしては珍しいものではありませんでした。
しかしSNS上では、「なぜ特定の人が贈る前提なのか」「職場でチョコを配ること自体が負担」「断りづらい空気を作っている」といった批判が相次ぎます。
炎上のポイントは、“義理”という言葉が持つ強制性と、性別役割を想起させるというものでした。
広報側から見れば「やりたい人だけ参加」というつもりでも、社外に出た瞬間、その前提は共有されません。
この事例が示しているのは、善意や意図は、受け手には伝わらないことがあるという広報の基本原則です。
【実例②】「多様性に配慮したつもり」がズレてしまったケース
別のケースでは、「誰もが自由に楽しめるバレンタイン」を掲げたキャンペーンが話題になりました。
性別を限定しない表現、恋愛色を抑えたコピーなど、表面的には多様性に配慮した設計でした。
ところが、SNSでは「結局何がしたいのかわからない」「企業のスタンスが見えない」という声が目立ちました。
炎上とまではいかなくとも、好意的にも受け取られなかったのです。
このケースで問題だったのは、「炎上しないこと」を優先しすぎた結果、企業としての価値観やメッセージが希薄になった点です。
多様性配慮は、“何も言わないこと”ではありません。自社として何を大切にしているのかを、どこまで言語化できるかが問われます。
炎上を避けるために、広報が事前に問うべき3つの質問
バレンタインPRに限らず、季節イベントを扱う際、広報は次の3つの質問を自らに投げかける必要があります。
① 参加しない人が、気まずくならない企画か?
「自由参加」と言っていても、
参加しない人が“空気を壊している側”になっていないか?
バレンタインPRでよくある例
「バレンタインなので、社内で感謝チョコを配りましょう!」や、「もちろん任意参加です」といった声がけをしたものの、
実際には「配らない人が少数」であったり、配らないと「ノリが悪い人」扱いされそう…と思ってしまったり、後から「あの人、何もしてなかったよね」と言われる空気感があったりしませんか。
この状態は、形式上は任意でも、心理的には強制感があります。
広報としては「本当にやらなくても何も起きないか?」まで想像する必要があります。
② “なんとなくこの人がやるよね”を前提にしていないか?
誰かに「暗黙の役割」を背負わせていないかを疑います。
バレンタインPRでよくある例
「女性社員がチョコ手配・配布を担当する」「広報や若手が「イベント担当だから」という理由で準備役にまわる」といった例です。誰も「女性がやるべき」とは言っていなくても、「過去もそうだった…」、「気づいたら今回も同じ人がやっている…」といったことの積み重ねが、「時代遅れ」「配慮が足りない」と受け取られ、炎上の火種になります。
③ 若手や少数派が、NOと言える空気があるか?
「反対意見が出ない=全員賛成」と思い込んでいないか。
バレンタインPRでよくある例
会議で「今年もバレンタイン施策やろうか?」という声が上がったとき、誰も反対しないので「決定!」と判断が下ったとします。でも実際には、「正直、時代的に微妙かも」と思っている人がいるかもしれませんし、「言ったら空気悪くなりそう」と黙っているかもしれません。もしくは若手ほど、「文句言っていいのかな?」と感じているかもしれません。
この状態で施策を外に出すと、社内では出なかった違和感が、社外で一気に噴き出すことになります。
特に三つ目は重要です。炎上しやすい企画ほど、若手や少数派が違和感を抱きながらも言い出せないケースが少なくありません。
広報判断は、企画力以前に“対話の設計”が問われます。
それでもバレンタインPRをやるなら、どう設計すべきか?
結論から言えば、「無理にやらない」という判断も立派なPR戦略です。
その上で実施する場合は、バレンタインそのものを盛り上げるのではなく、「考え方」や「背景」を伝える設計が有効です。
たとえば、なぜ今年はあえて施策を行わないのか?社内でどんな議論があったのか?自社として大切にしている価値観は何か?といったストーリー。
こうしたストーリーは、短期的な話題性よりも、長期的な信頼構築につながります。
炎上を避けることが目的ではなく、信頼を積み重ねることこそがPRの本質です。
【ニックネーム】らめにき
【これまで担当した業界】コンサルタント・健康・教育・DX・企業PR
【趣味】音楽鑑賞・野球観戦・バンド・ライブハウス・数学・ラーメン・カラオケ
【プチ自慢】「イントロドン」で半分以上0.5秒以内に正答できること
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