新型コロナウイルスにより、マスク着用での生活を余儀なくされている今、暑さ対策は多くの人にとっての関心事ではないだろうか。
去年は、手に持つ扇風機が至る所で販売され、多くの方が利用している光景を目にした。私もその一人だ。
しかし、今年はさらに上を行くある商品がヒットしているということを知った。
それが東京・秋葉原に本社を置くサンコー株式会社が販売する「ネッククーラーNeo」だ。
手に持つことなく、首にかけることができ、さらに冷たい缶飲料を当てた時のようなひんやり感が朝から晩まで(最大20時間※)続くというのだ。
※10000mAhのモバイルバッテリー使用時
まさに『身に付けられるクーラー』!
2020年4月20日に発売し、6月23日時点で180,000個を突破したという。
これは買わねば!と思い直営オンラインショップに飛ぶと、3色あるうちホワイトとネイビーは「今年度販売分ご予約終了」となっていて、ブラックも8月下旬発送だった。。。
これは取材するしかない!と思い、取材を申し込むとサンコー株式会社の名物広報部長・﨏(えき)さんが猛烈な速さで取材を調整してくれた。(今までお会いした広報の中で1、2位を争うレスポンスの速さかも!!)
取材前は、事前に色々な角度からリサーチするのだが、調べれば調べるほどコンセプトがユニークで、季節や世の中のニーズにもマッチしている商品。だから、広報としてはあまり苦労しないでヒットしたのでは?なんて考えも一瞬頭をよぎったが、話を聞くと、その考えを覆される事実や広報テクニックが多数存在した。
「あ~だからサンコーの商品はどれもこんなにも多くのメディアに取り上げられているのか」と納得する話ばかり。
今回は、世の中にないモノを次々と製造・販売するサンコー株式会社の広報部長・﨏さんに「ネッククーラーNeo」が空前のヒット商品となるまでの道のりとPR戦略についてお聞きした。
この記事の目次
旧モデルの改良&値下げで販売台数が10倍に
─ネッククーラーNeoはどれくらい売れているのでしょうか?ネッククーラーNeoは昨年発売したネッククーラーminiという商品の進化版です。
元々、毎年真夏に開催されるコミックマーケットの常連である当社の社員が、あの暑さをどうにか解消できないかと考え誕生した商品です。
ネッククーラーNeoは、オリンピックでの需要も見込んでいたので、本来はもっと売れる予定ではありましたが、6月23日時点で販売台数が180,000個を突破しました。ネッククーラーminiが18,000台売れたので、すでに10倍は売れていまして、20万台にいくのではないかなと思っています。3色展開していたのですが、ホワイトとネイビーは6月頭には売り切れてしまい、現在はブラックのみ予約を受け付けている状況です。(2020年6月30日時点)
ちなみに、これまで当社は4500商品を世の中に送り出していますが、ネッククーラーNeoがダントツ1位の売上です。
小型冷蔵庫の技術をパプリカ1個分の重さまで軽量化
―ネッククーラーNeoがそのヒットに至るまで一番苦労されたことは?ネッククーラーminiもNeoも、小型冷蔵庫にも使用されているペルチェ冷却という技術を採用した2つの冷却プレートが首の両脇にある頸動脈を冷やし、熱くなったカラダや体温を効率的に下げてくれるのですが、これを首にかけても負担にならないくらい軽量化かつ小型化するのが一番大変でした。
最終的には、ケーブル部分も含め、一般的なパプリカと同じ150gまでの軽量化に成功しています。
ネッククーラーNeoはminiが売れたこともあり、他社からも同じような商品が出てくることが予想されました。そこで、さらなる改良を行ったのですが、その中でも一番大きな改良は「ゆらぎモード」という冷たさが自動で強弱を繰り返し、冷たさに慣れることなく、常にひんやり感を維持できる新機能を搭載したことです。
さらに、miniは7,980円(税込)で発売しましたが、Neoは5,980円(税込)まで価格を下げました。
テレビディレクターとは500人!直接連絡を取り合えるメディアにはプレスリリースに先駆け情報提供を
―テレビ露出も非常に多いですよね。広報戦略についてお聞かせいただけますか。サンコーがプレスリリースを出すタイミングは、商品の発売(あるいは予約)開始日です。Webなど特にそうですが、せっかく掲載されてもオンラインショップで販売されていないと購入できないからです。
そのため、テレビ等への情報提供という意味では、プレスリリースを出すよりも前に直接メールなどでご連絡しています。
テレビに関しては、今500名くらいのディレクターと直接つながっており、日々やり取りをさせていただいています。その中で「ディレクターから何かいい商品ない?」と連絡をいただくことも多く、要望に適した商品を紹介させていただいています。
販売に先駆け、3月に「王様のブランチ」でもサンコーのイチオシ商品としてネッククーラーNeoを取り上げていただいているのですが、これも同じような流れで露出に結び付いています。この時は、販売前の反応を取りたかったということもあり、発売まであと何日とカウントダウンするティザーサイトを作り対応しました。
―テレビ以外はどういった状況ですか?
Webメディアは今回「家電Watch」で5月頭に取り上げてもらっていました。
その後、あるメーカーさんのペルチェに関するニュースが取り上げられた際に、サンコーの記事が関連記事として取り上げられ、そこからオンラインショップへの流入がかなりありました。
現時点ではテレビ12媒体、ラジオ1媒体、雑誌11媒体、Web100媒体以上で露出しており、新聞などこれからも取材がたくさん入っています。ただ、もうブラックしか残ってないので、その旨テロップや注釈を入れるようにしてもらっています。
―メディアリレーションにおいて意識していることはありますか?
「メディアへのレスポンスはなるべく早く」ということです。
特にテレビは前日に連絡があり翌日取材したいという要望も多いです。なので、すぐに連絡を取れる環境をつくっています。
―もっとテレビ露出を増やしたいという方にアドバイスするとしたらどんなことがありますか?
テレビを雲の上の存在と思っている広報担当者さんも多いようですが、日々ディレクターの方々とやり取りしているといつもネタを探しているということがわかります。テレビも季節に合わせた特集などは毎年同じような時期にするので、そのタイミングに合わせて自社商品を紹介すると話を聞いてくれやすいと思います。
そうやってメディアとリレーションを取っていくと、メディアから「次こんな企画があるけどなんか合う商品ない?」と連絡がくる関係値が構築できると思います。
目標はサンコー特集を増やすこと
―今後の目標をお聞かせください。世の中にないものを出したときは、必ず違和感を持たれます。8~9年前に自撮り棒を出したのですが、あんなもの誰も使わないと言われました。4年前に首掛けの扇風機を他社に先駆け出した時にも同じ反応でしたが、翌年他社も続々と類似商品を発売し市場自体も広がっていきました。
ネッククーラーNeoもまさに同じで、まだ世の中にないものなので、さらに多くの人に使ってもらえるようにしていきたいと思っています。
サンコー広報としての目標は、現状は何かのテーマ括りでサンコーの商品を取り上げてもらうことが多いので、「サンコーの面白グッズ」といったサンコー括りでの露出をもっと増やしていきたいです。
ネッククーラーNeoについて
小型冷蔵庫にも使われているペルチェ冷却を軽量化・小型化して首にかけても負担なく、首の両脇を効率的にクールダウンしてくれる、まさに「身に付けられるクーラー」。冷却プレートは2秒で冷却。外気温から最大マイナス15度まで冷やされる。最大20時間使用でき(※)、朝から晩まで快適を維持できる。「世界に発信したい“日本ならでは”の魅力にあふれている」と認められた商品にのみ贈られるおもてなしセレクションの【日本通運 海外展開 ハイウェイ賞】の特別賞も受賞している。
※10000mAhのモバイルバッテリー使用時