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“ひとり目”として、広報の基盤を構築。社内の連携体制を整え、一気通貫したメッセージを発信!—「ツクルバ」広報・高橋春香さん

株式会社ツクルバの「TSUKURUBA 3 VALUES」の一つ、『自分ごとでやりぬく』には、“どんな仕事も自分ごとで向き合い、最後までやりぬこう。自分の仕事に誇りを持ち、周囲の期待を超えていく。オーナーシップを究め、心を揺さぶる仕事をしよう。”と書かれている。

このValueが策定される前から、自分で今のツクルバに必要なことは何なのか、「広報」として仲間に頼ってもらうためにはどうしたらよいのかを自ら考え、上場までの半年で様々なアクションを起こしたのが、株式会社ツクルバの広報、高橋春香さんだ。

今回は、やがて文化になる事業をつくり続ける場の発明カンパニー、株式会社ツクルバの高橋春香さんに、広報・PRパーソンならではのリアルな企業広報のお話を伺った。
(インタビュー:編集部 若林)

コミュニティ運営を模索する中で、次々とツクルバの人たちに出会い魅了されていく

東証マザーズ上場時(2019年7月31日)

東証マザーズ上場時(2019年7月31日)

若林:本日はよろしくお願いします。背景をツクルバの新オフィスにしてくださっているのですね!今日はリモートワーク中ですか?

高橋さん:はい。実は今、北海道の実家に帰ってきており、実家でリモートワーク中なんです。

若林:そうでしたか!リモートワークが可能だと、だとそういう働き方もできていいですね!では早速ですが、今までのご経歴を聞かせていただけますか。

高橋さん:大学卒業後、女性の内外美容に関わる仕事がしたくて大手総合通販会社に入社、その後化粧品メーカーにて営業やマーケティングを経てサプリメントメーカーに入社しました。マーケティング職としての採用で、広告宣伝とPRを兼務していました。在籍6年半のうちの後半3年くらいでPRを強化していこうということになり、力を入れて取り組みました。

若林:そこで、コミュニティマネージャーも経験されたのですよね。コミュニティを主催する中で、関係構築の大切さに気づいてツクルバに入社されたということですが、どういった出会いだったんですか?

高橋さん:私はリファラル入社なのですが、前の会社ではスムージーをPRするために女性向けの朝活のコミュニティを主宰していました。そのため、コミュニティ活動を加速できるようなツールを探しており、様々なセミナーに出席する中で、弊社の代表・中村の話を聞く機会がありました。そこでツクルバの方針を聞き、すごく素敵な会社だなと思ったのがツクルバとの初めての出会いです。そこから、コミュニティ関連のセミナーや集まりに出席すると、ツクルバのメンバーとも知り合い、結果、リファラルに繋がっていったという流れです。ちなみに、当社にはもう一人、村上という代表がおり、村上の話も個人的に参加したセミナーで聴く機会があり、事業にとても魅力を感じていたというのも、入社を決めた理由の一つです。

若林:その時、ツクルバもちょうど、ひとり目の広報を探していたタイミングで高橋さんがリファラルで入社したということですね。今も広報はお一人ですか?

高橋さん:はい、ひとりです。2019年2月に入社して、もうすぐ2年になるところですが、今年の8月から弊社の期が変わり、広報とIRがグループになりました。グループとしては、IR担当の男性がマネージャーで、広報担当は私ひとりになります。あとは、外部のパートナーさんがひとり、週3時間ほどご協力いただいています。

(※取材後、広報の募集を開始されたとのこと。ご興味ある方は文末の募集ページのリンクを貼っているので、ご覧ください)

入社直後、自ら役割を考え、危機管理広報に着手!

高橋さんはまずは上場当日の準備以外に、危機管理広報をメインに着手した。

高橋さんは、まず上場当日の準備以外に、危機管理広報をメインに着手した。

若林:ひとり目の広報として入社された時に、何を期待されて、どんなところから着手されたんですか?

高橋さん:あらためて思い出してみますと、最初はCFO直下で入社し、「何か期待してることや、やって欲しいことはありますか?」と聞きましたら、「特にないので、一緒に考えましょう」と言われました。多分、そもそもがベンチャー企業ですし、上場前の忙しい時期だったので、自分の頭で何をすべきかを考えて提案して実行していってほしいということだったのだと思います。
ひとり目の広報として、ファウンダーとの情報共有の時間は豊富にとってもらっていましたし、当時は7月末の上場がひとまずの短期的な目標と入社時に聞いていましたので、とにかくそれまでに広報の基盤を整えようと考えました。そして、その中でもまずは上場でしくじることのないようにと、上場当日の準備以外に危機管理広報をメインに着手しました。

高橋さんのメモ

高橋さんのメモ

若林SNS利用についてのガイドラインは、ゼロから作ったんですか?

高橋さん:そうですね、独自のものはなかったので、いろいろと参考にしながら、ゼロから作りました。

若林:過去にもどこかの会社で、こういったガイドラインを作られたことはあったんですか?

高橋さん:ありませんでした。以前の会社は40名くらいの規模でしたし、社員全員がSNSを中心とした発信に積極的な会社というのはツクルバが初めてでした。

若林:ガイドラインを作ったのは、入社して何ヶ月目くらいの話ですか?

高橋さん:最初に着手したので、入社して3ヶ月目の4月に完成したガイドラインを全社へ共有しました。

若林:ベンチャーで、今までみんな自由にSNSをしてたわけですよね。そこにいきなり、ガイドラインを投入というのはびっくりされませんでしたか?

高橋さん:メンバー自身も結構、迷ってた部分があったようです。私が入社した時に、「こういうの発信していいのかな」と、口頭ベースで個別に相談を受けたこともあり、みんなツクルバの情報を発信したいとは思っているけれど、ガイドラインや発信に関する相談者がいないと迷ってしまうこともあると感じていました。そこで、固い守りだけではなく、攻めの広報として全員で広報していくためにも、CFOと話し合いながらSNSのガイドラインを作成し、全社へ公開しました。

若林:危機管理に関してですが、公式アカウントが40個もあったんですか!?すごい!でもこれはどういうことですか。

高橋さん:弊社では、中古・リノベーション流通プラットフォームの「cowcamo(カウカモ)」とシェアードワークプレイスを運営する「co-ba(コーバ)」というサービス展開をしており、SNSを中心に、その他YouTube、vimeo、Peatixなど様々なアカウントを含めると、全体として40個ほど公式アカウントがありました。そのため、運用の目的と担当者を明確にすることや、共通のワードや情報をサービス担当者と共に構築することで、統一された情報構築と管理をしました。

若林:個人の登壇チェック・管理という項目もありますが、当時から登壇依頼は入ってきてたのですか?

高橋さん:代表はもちろんですが、メンバーにも社外から登壇や取材の依頼をいただいてました。当時は、会社に申請するというフローはなく、個人で受けて上長に報告というステップくらいしかなかったので、危機管理の一環として会社の承認と広報チェックを入れるフローにしました。

ワンマン広報ではなく「寄り添う広報」で、相談役として社員からの信頼を得るように

ツクルバが運営するシェアードワークプレイス「co-ba ebisu(コーバ エビス)」完成内覧会・オープニングパーティー(2019年12月12日)

ツクルバが運営するシェアードワークプレイス「co-ba ebisu(コーバ エビス)」完成内覧会・オープニングパーティー(2019年12月12日)

若林:ひとり目の広報として入ると、会社の方々も、広報の人が何をしてくれるのかわからないですよね?その中で、どうやって自分の役割や存在感を出していったのですか?

高橋さん:本当にそれはすごく難しいことで、当時もすごく悩んでいました。といいますのも、カウカモもメディアとして運営していましたし、公式アカウントも40個くらいあるほど発信が活発で、社員も個人で情報発信ができるという中に私が入っていくので、“何をしてくれるの?”という目線はありました。そのため、最初は相談をしたら広報戦略を共に考えてくれるという安心感や、プレスリリースの情報構築を共に進行していく中で、広報のメリットを感じてもらえればと考えていました。

若林:なるほど。それが、「各部署との連携フローの構築」ということなんですね。プレスリリースはどのように連携されているのですか。

高橋さん:担当者が一番情報を持っているので、全て私が書くのではなく、骨子を一緒に考えて、基本的に初稿は担当者が記入、編集や社内での広報レギュレーションチェックはこちらで進行をしながら最終原稿に仕上げるというスタイルにしています。他社様との連携やIRが絡む内容に関しては、一から広報で書くこともありますが、サービスに関してはそういった流れで進めています。

若林各事業の広報レギュレーションとは、どういうことですか?

高橋さん:一貫したメッセージになるように、サービスを説明する文言も足りていない部分を補ったり、取材時に回答する数字などをきちんと統一していったということですね。

若林:めちゃくちゃ参考になりますね。今まで広報がいなかった会社に入ると、こういうことから始めたらいいんだって、わかりました。

高橋さん:ありがとうございます。私が入った時点でメンバーが120人ほど在籍しており、代表を含めてみんな結構広報に前向きでしたので、良い環境ではあったのですが、まだちょっと広報にバラバラなイメージはありました。

若林:なるほど…。危機管理広報で、「上場承認後にサイト閲覧率向上が予想されたので、サイトにアップされているニュースの整理」と書かれていますが、これは何ですか?いらないニュースは削除するということでしょうか。

高橋さん:そうですね、数年前からの様々な情報が全て掲載されていたので、情報的にいらないものは整理・削除していきました。

若林:よく上場後のことも予測できましたね。ケーススタディとか調べられたのですか。

高橋さん:いろいろと調べてはいました。少し前から、不動産とITの会社ということで上場が注目されてまして、おそらく閲覧数が上がるだろうという予想はついていました。

若林:すごいですね、結果、閲覧数が3倍になっているんですもんね。そして、二つ目に着手されたのが、メディアリレーションですね。

高橋さん:私の前職が化粧品やサプリメントなどで、今とは全く業界が異なっていたため、ビジネス系のメディアリストがなかったのですが、代表と繋がりのあるメディアが多くあったので、そちらをリスト化しました。ただ、さきほどもお伝えしたように、社内が広報慣れしており、社員が自分でも発信し、取材を受けている状況でしたし、代表自身も創業した2011年に、テレビやWEBメディアで多々取材されていたということもあり、普通の取材だけでは社内的なインパクトが薄い可能性があると考え、動画メディアに注力しました。

若林:面白いですね、普通だとテレビに行きそうなところが、動画メディアなんですね。

高橋さん:もちろんテレビ取材も欲しかったのですが、瞬間風速的に流れてしまう可能性があるため、創業からのツクルバのストーリーや、今後のビジョンを丁寧にと伝えることができ、長期的に情報が残るWEBの動画メディアに注力しました。NewsPicksなどはテレビと同等といえるくらいのパワーを持っていると思いますので、結果的にもとても良かったと思います。

若林:これらを上場までの6ヶ月に、全部やっていったということですよね。

高橋さん:そうですね。ちなみに、上場直前はメディア露出を控えていたので、メディアリレーションも露出ではなく関係構築を目的として行っていました。そのため、上場承認後にWEBの動画メディアへのアプローチを進めていきました。

広報ミッションは、一貫性を持った発信でツクルバのファンを増やしていくこと

社員のことはメンバーと呼ぶなど、共に前を向く関係性を目指している。

社員のことはメンバーと呼ぶなど、共に前を向く関係性を目指している。

若林広報のミッションについて再度確認させていただきたいのですが、入社直後からご自身でいろいろと考えて進められたということですけど、ご自身のミッションとして、『社内全体にツクルバという串刺しを強くして企業価値を高める』ということを掲げられていますよね。これは具体的に言うと、どういうことでしょうか。

高橋さん一貫性を持った発信でツクルバのファンを増やしていくということです。言うのは簡単ですが、実はすごく難しいことだと思っています。ツクルバの各サービスのユーザー様、株主様、メディアの方、様々なステークホルダーのそれぞれが欲している情報を、メッセージの一貫性を保ちつつ、切り口を変えてお伝えしていくことで、魅力的な会社であると思っていただけるよう意識しています。弊社の株主様はツクルバを応援してくれているサポーターのような存在ですし、ツクルバでは社員のことをメンバーと呼んでおり、共に前を向く関係性を目指しています。

若林:今回取材させていただくにあたり、広報として高橋さんは何に注力されてるのかなって、考えながらメディア露出を拝見していました。カウカモやco-ba、会社全体のPRといくつか軸はあるんだろうなと思っていましたが、今のお話を聞いていると、サービスの認知を上げるためのPRや、会員数を伸ばすためのPRというよりは、ツクルバ全体の事業に対する可能性を感じてもらうために、どうやって一貫した情報発信をしていくかの設計に注力されてるのかなという印象を受けたのですが、そのあたりいかがですか?

高橋さん:まさしく、その通りです!広報として、短期的には、社内の事業やプロジェクトメンバーと共にプレスリリースをどういったメッセージで発信していくかなどの広報戦略・発信をして、長期的には今まさに取り組んでいるところですが、コーポレートブランディングを行っていくことにより、会社の価値をどう適切に伝えていくかの戦略部分を担えればと思っています。

若林:コーポレートブランディングについてですが、今年11月にCIを刷新されていますよね。ツクルバが新しいフェーズに入ったと謳われていたと思いますが、今はどういうところに注力され始めているんですか?

高橋さん:上場後の1年間で、サービスが大きく取り上げられたほか、提携などIR文脈のニュースも増え、ツクルバのPRの方向性が見えてきたところです。同時に経営陣も、経営的側面での中期的な目標がかなり細かく具体的になりました。そこで、今の状況に沿うように、新CIを刷新したのですが、会社が普遍的に目指すミッションに向けた中継地点としてのVISION2025を目指すにあたり、全社的なメンバーの行動指針として、「TSUKURUBA3VALUES」を策定しました。
そして、創業者二人を模した二つの三角形から作られたコーポレートロゴから、メンバー全員で「場(BA)」を拡げていくツクルバの「場づくり」を表現する形で、新しいコーポレートロゴを作成しました。これからはそれらを活用し、一気通貫した公的メッセージを考える時だと考え、着手し始めています。

「オフィス」を切り口に、時流に合わせた広報を展開

浜松市ベンチャーフォーラムにて、ツクルバのプレゼンテーション(2020年1月21日)

浜松市ベンチャーフォーラムにて、ツクルバのプレゼンテーション(2020年1月21日)

若林:新しいロゴですけど、毛糸の編み目みたいなのを何気なく見ていたら、アルファベットのBとAが編まれていて、デザイナーが入るとこんなにクリエイティブになるんだとびっくりしました。11月9日に、ニューノーマルに対応した「時間や場所にとらわれず、それぞれが仕事に合わせて働く場を選択する働き方」を開始するというリリースを出されていて、社内に櫓(やぐら)やお祭り広場などを作られたそうですね。

私も今、働き方や、各社のオフィスの状況とかを追っているのですが「オフィスのあり方」についても色々な見解がありますよね。そういう中で、『ツクルバさんが櫓つくってる!』と思って(笑)この取り組みについての狙いや広報的な打ち出しをどうされていったのか、お聞きできますか。

高橋さん:「オフィスのあり方」についての、弊社の直近の広報について説明しますと、まず前提として、弊社は2011年の創業時にシェアードワークプレイスのco-baを始め、スタートアップやフリーランスの方々の新しい形のオフィスとして注目されていましたし、また、創業当時からオフィスデザインを手掛けていましたので、『ツクルバ=オフィス』というイメージが一定の層に対して浸透していました。ですので、広報をする土壌はあったと思います。しかしながら、どうやって広報をすれば良いかがわかっていなかった状況があると思います。

その一例として、例えば、今年6月にオフィスのプロジェクトチームから、既存のサービスを改めて打ち出したいが、「既存のサービスなのでプレスリリースは打てないから、noteで情報を出そうと思う」という相談を受けました。広報の観点から、「既存のサービスでも時流に乗せてPRすることはできる」とアドバイスし、代表取締役ファウンダーの中村も巻き込みながらPR戦略を考え、「オフィス縮小サービス」というコロナ禍における新サービスとしてローンチし、プレスリリースを発信しました。そうしたところ、メディア取材はもちろん、企業様からのお問い合わせも数多くいただきました。このことからも、コロナ禍により“オフィス文脈”がすごく注目されていることを実感していました。

その後、11月に弊社自身もコロナ禍を受けて改めて働き方を見直し、代表の中村を中心にこれまで考えていた新しい働き方やオフィスのあり方を考え、それに合わせて自社オフィスの縮小を行うことになりました。これについても、時流に鑑み、広報的にもよい反響が見込めると思い、プレスリリースを発信しました。

若林:では、代表の中村さんが、みんなが集まって、雑談できる交流スペースが、今後は必要じゃないかと考えていらしたのですね。

高橋さん:そうですね、コロナ禍によるオンライン化で、オフィスにおける雑談などの「交流の場」の重要性の再認識がなされたというところはあります。社内メンバーが集まる中で、“オフィスに来るとみんなとリアルで会えて楽しい”という感覚が生まれ、新しいオフィスは、賑やかで求心性のある場所にしたいという想いを込めて、櫓を象徴とした交流スペースを「お祭り広場」と名付けました。

若林:御社の働き方をリリースするに至った背景には、前段階にコロナ禍での「オフィス縮小サービス」があったんですね。

高橋さん:プロジェクトとしては別に進められていたのですが、広報としては一連の戦略がありました。

若林:今のお話は、高橋さんが社内で相談役になっていることを実感できるエピソードでした。広報視点でのアドバイスがなかったら、noteに書いて終わりだったかもしれないことを、コロナ禍でオフィス縮小を検討する会社が増えているという情報を元に、既存のサービスであっても、時流に沿った文脈に乗せてプレスリリースとして発信することでメディアも興味を持ってくれるのではないかと、広報から事業部に提案したということですよね、素晴らしいですね。ほかに最近反響のあったPR事例は、何かありましたか。

高橋さん丸井グループ社との資本業務提携です。プレスリリースの発信については、先方の担当者様とも連携して共に進めました。弊社代表取締役CEOの村上の熱意もあり、丸井グループ社の青井社長からプレスリリースに記載するコメントをいただけました。丸井グループ社はこれまでもベンチャーに出資されていますが、弊社の場合はプラス業務提携ですので、丸井グループ社の中でもかなり積極的に取り組んでくださいました。また、不動産企業と丸井グループ社との組み合わせは、外部からの期待値もとても高く、反響も大きかったです。

若林:反響としては、どういったものがありましたか。

高橋さん:PR TIMESの閲覧数が通常の3倍ほどありました。SNSの反応も良く、業界紙の取材もいただけました。

若林:広報として、こういった業務提携の時の難しさというのは、どういうところにありますか。

高橋さん:伝え方は会社によって様々ですが、弊社は、事実を簡潔に伝えるだけではなく、ストーリー立てて読み物として読んでもらいたいと考えていまして、他社に比べ文字量が多いと思います。対外的にはもちろんですが、社内メンバーにも、業務提携の経緯などをきちんと細部まで伝えたいという想いがありました。IR文脈的なところもありましたので、言語化するまでに、丸井グループ社の担当者や社内担当様と時間をかけて、何度もやり取りをしました。

若林:そうなんですね。仰ったように、ただ業務提携しましたという事実が書かれているリリースよりも、コメントや提携に至った経緯が書いてあった方が、ステークホルダーの期待値も高まりますよね。メディアに掲載されたあとに、何か反響はありましたか。

高橋さん:資本業務提携発表のリリースでしたので、IR文脈として株主の方には期待値を持っていただけたという手ごたえはありました。

コミュニティ運営の秘訣は、主催者の熱量! プライベートでも広報に向ける熱い想い

コミュニティ運営の秘訣は、主催者の熱量!と高橋さんはいう。

コミュニティ運営の秘訣は、主催者の熱量!と高橋さんはいう。

若林:高橋さんは「#戦略広報を目指す会」の運営にも携わってますよね。最近独立された、発起人の浜内久乃さんと一緒に運営されている形ですか?

高橋さん:そうですね、元々広報つながり仲良くしていて、メンバー8名で運営しています。

若林:本業とは異なるところでコミュニティを運営されていることで、何か本業へのいい影響があったりしますか。

高橋さん:ありますね。私としては、様々な方面からツクルバを知っていただき、ファンになってもらえることを目指しているので。
あとは、ベンチャーやスタートアップと一言で言っても、業種や事業内容(toCまたはtoB向け)の違いはもちろんのこと、伸び盛りで掲載を中心とされている会社、ツクルバのように掲載は欲しいけれど社内的な情報の統一や戦略を重視している会社があり、同じ広報でも業界・会社規模、そして広報戦略で全然違うと思います。そういう方々とコミュニティを通じて、お話できるのも大きいです。

若林:コミュニティって、うまくいって拡大してるものもあれば、作ったはいいけど衰退してしまうものと二極化してきているのかなと思うのですが、うまく軌道に乗せるためには何が大事なんですかね。

高橋さん:コミュニティによって違うと思いますが、やっぱり主催者の熱量じゃないですかね。

若林:会社経営と同じなんですね!

高橋さん:本当にそうだと思います!前職でコミュニティを運営していた時も、社内はほぼ私ひとりで企画運営していたという体制でしたので、そういう時に、コミュニティ参加者が運営を無償でサポートしてくれたり、何かやりますよって言ってくださったりしていました。熱量をもってやれば、その熱量に共感した人が手伝ってくれ、そうなると運営自体も盛り上がっていき、参加者にも伝播していって、長く続くコミュニティになるのではと思います。

あと、広報コミュニティを運営していて気づいたのは、私もそうですが、“ひとり広報”の方がとても多いということです。どの会社も広報は、会社に直接的に利益を生むことが難しいということもあり、なかなか増員できないのだと思います。その他にも、リリースのように最終的に見えるものが、日本語だから誰でもできると思われているということもあるかもしれません。だからこそ、社内に広報の意義や目的を伝えて、共に戦略を考え、統一した情報を構築・発信をする…ということをひとつひとつ丁寧にやっていかないと、広報に対する社内の理解が広まらないので、そちらにも注力しています。

若林:深いですね…。確かに広報って、専門知識は必要だけど、あまり認識されていないような気もしますもんね。

高橋さん:ディレクション要素もすごい多いと思っています。

若林:確かに!高橋さんはどこでそう感じられます?

高橋さん:会社の規模が大きくなるとさらにだと思いますが、弊社の規模で、私ひとりでも関係人口が多い状態で、それにプラスして、外部の提携先のほか、社内にもプロジェクトやデザイン担当、事業部の担当など関係人口が多い状況を踏まえた上で、各関係者の目線を把握したディレクションが大切であると考えています。特に今はオンラインでのやり取りが多く、Slackで連絡をするので、瞬時に判断できないと、情報も仕事も遅れるという状態です。自分の中でまとまっている相関図を、誰か増員できた時は引き継がなければですし、そのための資料も作らないといけないなと思っています。

若林:引き継ぐのも大変そうですね。(笑)ところで、高橋さんのTwitterはフォロワーが多くてすごいなと思って見てたんですけど、どういう思いで運営されてるんですか?

高橋さん:一番は、広報として、自社の情報拡散ですね。

若林:ツクルバになってから始められたんですか?

高橋さん:前の会社では、ほぼしていなかったです。ツクルバに入る1年前、その時はまだツクルバに入ろうとは思ってなかったのですが、SNSを強化しようと思い立ち、その時Twitterのフォロワーは200人くらいで、1年後に1000人になってたらいいなと思っていたら、ちょうどツクルバ入社の日に1000人になったんですよ!もともとSNSは好きでしたが、その1年間で面白さに気づきました。

若林:そうだったんですね。ちなみにプライベートはどうされてらっしゃるんですか?

高橋さん:最近は北海道釧路市の地元に帰省していることもあり、釧路市について何かできることがないか模索中です。釧路に住む同じ想いの方々と、アイディアベースで話をしたりなどの活動をしています。その中では、東京とローカルの情報発信や考え方の格差がとてもあると感じています。
そのため今後は、閉ざされがちなローカルの魅力を情報として、より全国に注目される切り口に変換し、情報発信をしていくこともプライベートでしていきたいと思っています。企業としてのニュースであればPR TIMES、個人であればTwitterなどオンラインのメリットは、日本全国に情報発信ができることだと思いますので、そのメリットをローカルに住む方々にも感じて欲しいです。

若林:いろいろお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。本当に、ひとり広報とか、広報がいなかった会社に入った方が何から始めるとよいのか、すごく学びのあるお話ばかりでした。

広報担当の募集を開始したそうです!
https://herp.careers/v1/tsukuruba/wfVg39q3Tb3O

PRマガジン編集部の「編集後記」

編集後記:編集部 若林

1人目広報が何から始めたらいいのか、めちゃくちゃよくわかった

ZOOM取材中の高橋さん

ZOOM取材中の高橋さん

「TSUKURUBA 3 VALUES」の一つ、『自分ごとでやりぬく』には、“どんな仕事も自分ごとで向き合い、最後までやりぬこう。自分の仕事に誇りを持ち、周囲の期待を超えていく。オーナーシップを究め、心を揺さぶる仕事をしよう。”と書かれている。

高橋さんはこのValueが策定される前から、自分で今のツクルバに必要なことは何なのか、「広報」として仲間に頼ってもらうためにはどうしたらよいのかを自ら考え、半年で様々なアクションを起こした。

その内容は本編で紹介しているが、「上場」を控えた企業や今まで広報がいなかった会社で、まず何から着手すべきかが非常に良くまとまっている貴重な情報をいただいた。
是非参考にしていただきたい。

社内の「相談役」というポジション

企業規模が大きくなると、社内から情報を集めるだけでも一苦労…という話をよく聞く。

ツクルバは、全てのプレスリリースを広報が一から書くのではなく、骨子は事業部メンバーと共に考え、初稿については事業部から上がってくる体制になっているという。そこで、打ち出し方や会社としてのメッセージの統一を広報で行うわけだが、高橋さんのアドバイスが秀逸なのだろう。

既存サービスを打ち出したかったが、新しいニュースがあったわけではないのでnoteに書くくらいしかできないと思っていた事業部に対し、「コロナ禍でオフィス縮小を考えている企業が増えているので、新サービスとしてローンチしてニュースとして情報発信をするのはどうか」とアドバイスした『オフィス縮小サービス』は、メディアから多くの反応を獲得できたという。

こういったことの積み重ねで、高橋さんが自ら情報を取りに行かなくても、困ったら高橋さんの元に相談に行くという流れが自然に構築できたのだと思う。広報は社外に対してはもちろん、社内でも実績を積み重ね信頼を勝ち取ることが非常に重要であると改めて実感させられた。

今回のPRパーソン紹介

高橋 春香(たかはし・はるか)

化粧品メーカーなど複数社を経て、サプリメントメーカーで広報・マーケティング・女性向けのコミュニティマネージャーを経験。コミュニティを主宰するなかで、人と人との関係性構築の大切さに気づき、ツクルバの企業方針に共感。2019年2月、1人目の広報として入社。「#戦略広報を目指す会」の運営にも携わっている。

株式会社ツクルバ(https://tsukuruba.com/

2011年8月設立。やがて文化になる事業をつくり続ける場の発明カンパニー。「『場の発明』を通じて欲しい未来をつくる」というミッションのもと、デザイン・ビジネス・テクノロジーをかけあわせた場の発明を行う。主な事業として、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」(https://cowcamo.jp/)の企画・開発・運営、シェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」(https://co-ba.net/)や空間プロデュースを含む不動産企画デザイン事業を展開している。